目次
対象者の基本データ
病名 | 癲癇(てんかん) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約193万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
20年程前、発熱あり、意識消失しているところを家族に発見され、救急要請となりました。
病院に運ばれた際にけいれん発作が続いており、症候性てんかんと診断を受け、治療が始まりました。
発作の度に意識が飛び、その後は重度の頭痛と吐き気が襲い、過去の記憶が戻らず、文字が分からなくなるなどの症状があり、発作の度に転職を余儀なくされていました。
いつ発作が起こるか分からない為、独居での生活は不可能で、家族の見守りや支援がなければ日常生活もままならない状況が20年程続いていました。
薬物療法を継続していますが、今もなお月に数回は意識消失を伴うけいれん発作があり、仕事が出来る状態になく、将来への不安を抱えていました。
そんな中で障害年金の制度を知り、申請の準備を進められていましたが、書類の作成に不安があったため当事務所にご相談を頂きました。
申請結果
手続きの途中も発作の度に記憶障害を起こしたり、体調の優れない日も多い状態であったため、やり取りは記録が残り、ご都合に合わせていつでもご確認いただけるLINEで行いました。
途中までご自身で手続きを進めていたため、既に取得済みの資料を引き継ぎ申請の準備を進めていきました。
既に初診日の証明となるB病院の受診状況等証明書は取得されていましたが、内容を確認したところ前医(A病院)受診の記載があったため、改めて初診日を追求する必要がありました。
受診状況等証明書に記載されたA病院にカルテが残っているか確認をしましたが、20年程前に1回受診したのみであったため、既にカルテが破棄されており、初診日の証明を取得することが出来ませんでした。
しかし幸い、既に取得済みのB病院の受診状況等証明書内にA病院における初診日及び当時の受診状況等が詳細に記載されていたため、当該証明書において、初診日は十分に確認できるものとして、引き続き申請を進めることとしました。
初診日が確定したため、次に申請方法を検討しました。
遡って障害年金を申請する場合は初診日から1年半後の障害認定日当時の障害状態の確認できる診断書が必要となります。
記憶にある限り当時通院していたと思われる病院へ連絡を取り、診断書の作成が可能かどうか確認しましたが、既にカルテが破棄されていたり、障害認定日頃の通院歴がなく診断書の発行は出来ない等で診断書を取得することが出来なかった為、一月でも早く今後の分の障害年金を請求することとなりました。
請求方法が決まり、すぐに現在通院中の病院へ連絡を取り、発作や日常生活の状況等を参考資料として纏め、医師への橋渡しを行うことでスピーディーかつ的確に障害の状態が反映された診断書を作成していただくことが出来ました。
請求の結果、障害厚生年金2級として認定されました。
【ポイント1】 初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は、本来であればカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】てんかん発作の種類
障害年金では、てんかん発作を重症度別に下記の4タイプに分類します。
A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作
B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作
C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作
当てはまるタイプによって等級も変わりますので、ご自身の発作がどれに該当するか確認しましょう。
【ポイント3】 てんかんの注意点
てんかんで障害年金を申請する際には「精神の診断書」を利用します。
その中でも、認定の基準として重要となるのが以下のポイントとなります。
①発作の重症度と頻度
②日常生活能力の判定
病気の特徴として、発作の起きない期間(発作間欠期)は、日常生活は問題なく見えます。
例えば、食事を作ったり、お風呂に入ったり、散歩をすることも出来るのです。
その部分だけを切り取って診断書の日常能力を「できる」と評価されてしまうと、「発作はあるけど生活には問題がないんだね」と不支給とされるケースがあるのです。
それを防ぐためにも、発作の無い期間であっても、いつ発作が起きるか分からない事から、どのような影響があるのかを、しっかりとわかるように申請を行う事が大切となります。
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