目次
対象者の基本データ
病名 | 双極性障害(そうきょくせいしょうがい) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約146万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
20代の頃はバリバリのキャリアウーマンとして忙しく働かれていたとのことでした。
30歳ころより気分の落ち込みやイライラといった症状が現れたとのことです。
ある日、通勤中の電車で突然、涙が溢れて動けなくなり、通勤ができなくなりました。
家族からの勧めもあり、会社近くのクリニックへ通ったところ、うつ病と診断されました。
当時働いていた会社は一旦退職し自宅療養をするも改善と悪化を繰り返す状況が続いていました。
時には、仕事が出来ない焦りや生活への不安から必死で仕事にチャレンジをしたこともありましたが、感情の波が激しく長く続けることが出来ませんでした。
毎日、不眠、食欲不振、不安感、気分の落ち込みという症状から1日中、自殺願望と戦う日が多いということでした。
また日常生活全般はお母様の介助で成り立っていました。
45歳頃にネットで障害年金を知り自力で手続きをはじめましたが、最初に通院したA病院にカルテが残っていないという事から、どうして良いのか分からなくなってしまい、当事務所に相談に来られました。
申請結果
最初の問い合わせで、お話をお伺いした時点で十分に障害年金の可能性があると感じました。
ポイントは初診日の証明でした。
障害年金は初診日主義とも言われています。
つまり、障がいがどんなに重たくても初診日の証明が出来なければ障害年金を受給することが出来ないということです。
カルテの保管は最後の通院日から5年と定められています。
つまり、5年を経過すれば破棄しても良いという事になります。
今回のケースでも既にカルテが破棄されていました。
そこで、病院への問い合わせの際には、もう少し詳しく質問を深堀りしてみます。
- 院外の別倉庫に保管はされていないか?
- カルテが無くても他の記録が残っていないか?
今回のケースでは倉庫に受付記録が残っていることが判明しました。
そこで、初診と終診のだけでしたが、初診証明(受診状況等証明書)を記載していただくことが出来ました。
このように、カルテが無い場合であっても病院の協力のお陰で前進するケースはよくあります。
次に取り掛かったのが診断書でした。
ご依頼者様は普段の通院の中では日常生活の様子などを伝えきれていないとのことでしたのでオリジナルのアンケートを使って先生へ症状を橋渡しをさせて頂きました。
完成した診断書を確認すると、思ったよりも少し軽めの評価となっておりました。
とはいえ、診断書の中身に関しては社労士は意見をすることは出来ません。
そこで、病歴就労状況等申立書を使い、診断書だけでは見えてこないご依頼者様の病歴や日常生活の様子が伝わるように準備を行いました。
その結果、障害厚生年金2級として無事に認定されました。
【ポイント1】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件
初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点
原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。
これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は、本来であればカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
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