【事例296】うつ病|障害基礎年金2級(既にカルテが破棄されていた事例)

うつ病|障害基礎年金2級 

対象者の基本データ

病名 鬱病(うつびょう)
性別 女性
支給額 年額 約123万円
障害の状態
  • 家事全般が出来ない
  • 終日横になって過ごす事が多い
  • 複数回の入院歴がある
  • 精神障害者保健福祉手帳:3級
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

30歳の頃にご主人の浮気の発覚が全ての発端でした。

元々、おとなしい性格でしたが、ひどく取り乱して突然泣き出したりと不安定な状態で、夜も眠れず食事もほとんど口にしない状況が続いといいます。

家族も心配となり、近所のA内科を受診することとなりました。

内科でしばらくデパス(抗不安薬・睡眠薬)などの処方を受けていましたが、ある日、大量服薬(OD)による自殺未遂をしたことがありました。

A内科より専門医による治療を勧められBメンタルクリニックへと転院しました。

そこからご相談までの約5年間の間にも何度か転院や入院を行いながら治療を行ってきましたが改善は見られなかったといいます。

自宅内ではほとんど寝ている又は横になって過ごしており、家族からの助けで成り立っています。

今も希死念慮は続くため、大量服薬などを企てないように服薬管理も全てご主人が管理しているとのことでした。

ご本人は自分がお金を稼げないことを、引け目を感じており、治療に消極的な事が続いていました。

そこでご自身の権利として障害年金を受給することで治療に積極的になって欲しいという思いでご主人よりご相談を頂きました。

 

申請結果

障害年金の手続きはまず初診日の特定から始めます。(ポイント①)

今回のように最初の通院が内科のように精神の専門医ではないケースであっても、今の病気で一番最初に医療機関を受診しているのであれば、そこが初診日となります。(ポイント②)

ご相談者様もA内科は、ご主人の不倫による不眠や精神の不安定を訴えたというお話をお伺いしたため初診はA内科で確定でした。

ただ、初診から既に10年以上が経過しており病院にはカルテが残ってませんでした。

その他にも、診察券や領収書・お薬手帳なども探していただきましたが何も見つかりませんでした。(ポイント③)

障害年金にとって初診日の証明は生命線とも言えます。

初診証明が出来ずに諦めているという方がとても多くおられます。

こういったケースでは特に障害年金コンサルタントとしての炎が燃え上がります。

引き続き調査を続けたところBメンタルクリニックへカルテが残っている事が分かりました。

合わせて、初診のカルテの内容を伺った処、以下のような内容が記載されていることが分かりました。

  • 体調が悪くなった時期
  • 体調が悪くなった経緯
  • A内科でどのような治療を受けたか
  • A内科からBメンタルクリニックへ転院の理由

そこで、Bメンタルクリニックへはこれらの情報も含めて初診証明(受診状況等証明書)へ記入をして頂きました。

そして、この証明の内容を使って、初診日の推定時期とその正当性を、オリジナルの申立書を作成して主張することにしました。

また、発症から現在までの経緯についても病歴就労状況等申立書へ纏めたものを現在の病院へ診断書を記載するための参考資料として提供させて頂きました。

その結果、無事に障害基礎年金2級として認定を得ることが出来ました。

 

【ポイント1】初診日が大切な理由

障害年金では、初診日が最も重要とされています。

なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。

 

①制度加入要件

初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。

 

②保険料納付要件

障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。

 

③障害認定日の起算点

原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。

これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。

 

【ポイント2】前駆症状と初診日

病気が起こる前触れとなる症状のこと『前駆症状』と言います。

(例)体がだるい(前駆症状)ため風邪かと思い内科を受診したところ『うつ病』と診断され、その後に内科からメンタルクリニックに転医してうつ病の治療を行った。

このような場合は『内科』を初めて受診した日が初診日となります。

一見、初診日とは関係ないように感じる症状であっても、前駆症状に含まれる場合があります。

もし初診日がいつか判断できないようでしたら、ぜひ専門家にご相談ください。

 

【ポイント3】初診日の証明が出来ない場合の対処法

障害年金では初診日の証明がとても重要です。

この証明に使う書類を受診状況等証明書といいます。

これが取得出来なければ、最悪は請求ができなくなります。

特に、初診日がかなり昔の場合、当時の病院が廃院になっていたり、カルテがなく「受診状況等証明書」を書いてもらえないといった事が起こります。

この時は、古い順に「受診状況等証明書」が取れるまで病院に作成を依頼していきましょう。

また、紹介状があれば忘れずに頂きましょう。

それと同時に、初診の病院を受診していた証拠になる物(診察券や領収書、お薬手帳など)なども探して下さい。

こういった資料を「受診状況等証明書が添付できない申立書」と一緒に提出すれば初診日として認定される可能性があります。

また、カルテがないという理由で「受診状況等証明書」作成を断られても、病院のパソコンに通院記録が残ってる場合もありますので、確認して下さい。

このように、すぐに諦めず、いろいろな方法を探っていきましょう。

 

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