目次
対象者の基本データ
病名 | 慢性腎不全(まんせいじんふぜん) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約145万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は30代より会社の健康診断にて尿蛋白を指摘されていましたが、自覚症状がなく長らく放置をされていました。
43歳ころより物が2重に見えるなど、目に異常を感じてA総合病院眼科を受診されました。
検査の結果、糖尿病性網膜症と診断され、A総合病院糖尿病内科への受診を勧められました。
眼科の通院は継続しつつ、糖尿病治療についてはB糖尿病内科へ通院する事にしました。
長らくは自覚症状もなく過ごせていましたが、45歳頃より倦怠感や不眠といった症状があらわれました。
また、この頃より視力低下も出始めたといいます。
その後は、長らく症状に耐える生活を送っていましたが、52歳の時に急激に体調が悪化し、父親に連れられて病院へ行ったところ即日入院となりました。
溢水、慢性腎不全、糖尿病性腎症、2型糖尿病、高血圧、高尿酸血症と診断をうけ人工透析を開始しました。
それでも体調は完全回復とはいえず現在は家から近いB病院へ転院して治療を続けていますが、週3回の透析の日は特に体のダルさから動けないといいます。
透析以外の日でなんとか就労をしていましたが、それも出来ないことが増えていく中で、なんとか生活の糧にと障害年金の相談にこられました。
申請結果
この事例は糖尿病を原因とする慢性腎不全(人工透析)ということでした。
2つの病気の間には相当因果関係(ポイント①)が認められ、糖尿病で初めて病院を受けた日が初診日となります。
つまり、今回のケースでは43歳ころに受診した眼科が初診日ということになります。(ポイント②)
糖尿病という病気は、発症から慢性腎不全や人工透析に至るまでに長い期間がかかるという事がよくあります。
その場合、症状が悪くなったときには既にカルテが破棄されていたり、病院が無くなっているなどの理由で初診日の証明が出来ず、泣く泣く諦めるという方が多いというのもこの病気の特徴です。
今回も発病から既に10年以上が経過していた為、この初診日の証明こそが一番重要になると考えました。
調べてみると最初の眼科のA総合病院には他の診療科に定期的に通っていることもありカルテが残っているのが分かりました。
すぐに、初診の証明書(受診状況等証明書)を取得し、B病院から取得した診断書と合わせて提出を行いました。
その結果、無事に障害厚生年金2級として認定を受けることが出来ました。
【ポイント1】相当因果関係
「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。
つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。
例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。
- 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
- 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
- 肝炎→肝硬変
- 結核の化学療法による副作用として聴力障害
- ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
- 事故または脳血管疾患→精神障害
他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。
【ポイント2】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件
初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点
原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。
これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
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