目次
対象者の基本データ
病名 | 知的障害 |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
幼少期は「他の子より動きが遅いかな?」と父親は感じていましたが、個人差もあるため深くは考えず過ごされていたそうです。
保育園に入園した頃より、先生から「他の子供の動きについて行けず一人遊びが多い」という話を聞くようになりました。
この頃に、ご両親は知的障害に気づかれたとのことでしたが、病院へは通院はしないという方針にされました。
小学校へ入学後は、ご両親の意向で普通学級で勉強をされていましたが、周りについていくことが難しく、お父様が送迎、勉強とフォローをされていました。
大学卒業後はアルバイトを希望するも長続きせず、毎回すぐにクビになっていました。
35歳頃に就職活動でハローワークを訪れた際に職員より検査を勧められ、初めて知的検査を受けたところIQ50未満と判明し療育手帳を取得しました。
その後も、障害者枠にて就労をするも、コミュニケーションの困難さから長続きは出来なかったといいます。
40歳のころ、これまで生活や仕事などを全般的にフォローをしてくれていたお父様が他界し、今後の生活を心配したお母様よりご相談を頂きました。
申請結果
知的障がいと聞くと早い時点から障害年金を受給しているとイメージしがちですが、今回のように20歳を超えても長らく障害年金を受給していないというご相談は意外と多く寄せられます。
理由は様々ですが、このような場合であっても知的障がいで障害年金を請求する場合は、生まれた日が初診日となります。
そこで、病歴就労状況等申立書(ポイント②)は生まれた日からの事を時系列に纏めて記載をしていくこととなります。
知的障がいではご両親やご友人など身近な方にご協力をお願いして、幼少期からのエピソードを具体的にヒアリングしていきます。
知的障害で障害年金を受給する為に忘れてはならないのは、認定基準には以下のように記載されている事です。
『知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する』(ポイント③)
つまり、IQが低くても、日常生活に支障がなければ障害年金は支給しないということです。
事実、当事務所に寄せられるご相談の中には、「これで落ちるか!?」とビックリするような決定があります。
そこで、上記で得たヒアリングの結果を用いて主治医にも障がいによる支障を橋渡しさせて頂くことで、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を適切に表現するよう心がけました。
その結果、障害基礎年金2級として認定となりました!
【ポイント1】知的障害の初診日
精神発達遅滞(知的障害)は、知的機能の障害がおおむね18歳までに現れることが多いとされています。
そのため、初診日が20歳未満であると推定されます。
よって、原則として初診日を証明する必要が無く、申請に必要な『受診状況等証明書』も不要です。
(※)軽度の知的障害の場合は、初診日の証明を必要とする場合があります。
【ポイント2】知的障害・発達障害と病歴就労状況等申立書
知的障害や発達障害がある場合は、病歴・就労等申立書(以下、申立書という)が認定の大きなカギとなります。
この場合、初診日からでなく、出生日から現在までの経緯を記載していく事が大切です。
例えば、就学前では言葉の遅れや極端な人見知りが無かったか、就学後は成績、友人関係はどうだったなどのエピソードを書いていく必要があります。
また、現在、不適応行動についても申立書に反映させてください。
【ポイント3】知的障害はIQのみで判断しない
精神発達遅滞(知的障害)は、IQのみで判断されると思いがちです。
しかし障害年金では、IQに加えて『日常生活のさまざまな場面における援助の必要度』が重視されます。
そのためIQレベルが軽度に分類される場合であっても、支援状況などによっては障害年金の受給が認められる場合があります。
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