目次
対象者の基本データ
病名 | 大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約68万円 遡及金額 約164万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
7年前頃から会社の健診で心雑音を指摘されていましたが、当時は自覚症状もなく、支障に感じる事も無かった為、その後医療機関へ受診していなかったそうです。
2年前の健診でも心雑音の指摘を受け、その約1ヵ月後からは息を吸うと苦しさを感じるようになり、急ぎ足や階段の昇降では息苦しく、激しい息切れ、夜間呼吸苦を自覚するようになったそうです。
不安になり、医療機関を受診したところ、大動脈弁狭窄症と診断され、入院精査の上、人工弁置換が必要になりました。
初診から約1ヵ月後には大動脈弁置換術を行い、心機能は回復しましたが、手術時に脳梗塞を発症したことで、右半身に軽度の後遺症と高次脳機能障害を併発し、治療・経過観察のため通院を続けていました。
仕事には復帰したものの、今後も治療を継続して行く事に不安を感じていた中で障害年金の制度を知り、対象になるのか?当事務所にご相談をいただきました。
申請結果
複数傷病を併発していた為、どの傷病で申請を行うべきか方針を立てる必要があります。(ポイント①)
まずはそれぞれの症状について、ヒアリングを行いました。
- 大動脈弁狭窄症:人工弁置換術後、ワーファリン投与で経過観察中
- 脳梗塞後遺症による半身麻痺:痺れや力が入りにくいなどの症状もあるが、歩行や身の回りの事も支障なく、生活は自立している
- 高次脳機能障害:診断を受けたが現在は特段治療や診察も受けておらず、日常生活も自立している
いずれも初診日時点で厚生年金に加入しており、現在は仕事にも復帰、日常生活は自立していることから脳梗塞後遺症(半身麻痺、高次脳機能障害)では等級に該当しないことが見込まれたため、大動脈弁狭窄症に絞って申請を行うことにしました。
申請方法が決まれば、初診日の証明を取得し、次に診断書の依頼を行います。
初診日から約1ヵ月後には大動脈弁置換術を受けているため障害認定日の特例(ポイント②)に該当し、障害認定日時点から遡って請求できる可能性がありました。
現在の診断書1枚で障害認定日時点で人工弁置換術を受けている状況が確認できることから、診断書1枚で遡及請求も行いました。(ポイント③)
結果、障害認定日時点から現在までの約2年半の遡及と今後の分の年金が支給されることとなりました。
【ポイント1】複数傷病がある場合は併合認定も検討
2つ以上の障害がある場合、それぞれの傷病について申請することで、障害の状態を併せて認定されると受給の可能性が高くなったり、更に上位等級での認定となることがあります。
全ての傷病で併合認定が出来るわけではないため、複数障害がある場合は、闇雲に申請するのではなく、どのように組み立てて申請していくか検討する必要があります。
複数傷病でどのように手続きを進めていくのが良いか判断が難しい場合はぜひ専門家へご相談ください。
【ポイント2】障害認定日の特例(心臓)
障害年金を請求できるようになるのは、原則として初診日から1年6ヶ月を経った日です。この基準日を障害認定日といいます。
しかし、以下の心臓の手術を行った場合、『初診日から1年6ヶ月』と手術日を比べて、どちらか早い方が障害認定日となります。
この障害認定日が初診日から1年6ヶ月以前になることを障害認定日の特例といいます。
- ペースメーカーを装着した日
- 人工弁を装着した日
- 人工血管(ステントグラフト含む)を装着した日
- ICD(植込み型除細動器)を装着した日
- CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓同期医療機器)を装着した日
【ポイント3】診断書1枚で遡及請求が出来る傷病
障害年金を1年以上、遡って請求する場合、原則として2枚の診断書が必要となります。
2枚というのは記載された症状が、それぞれいつ分が必要なのかが異なるためです。
1枚目:障害認定日の症状
2枚目:請求時の症状
しかし現在の診断書だけで、初診日から1年6ヶ月の段階で以下に該当することが分かる場合については、例外的に1枚の診断書だけで遡及請求が出来ることになります。
- 人工関節や人工骨頭を挿入置換
- 植込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着
- 新膀胱を造設
- 人工肛門を造設
- 手足を切断または離断
- 在宅酸素療法を開始
- 喉頭を全摘出
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