目次
対象者の基本データ
病名 | パーキンソン病 |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約61万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金3級 |
当事務所スタッフによる事例紹介動画
当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。
当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。
ご相談までの経緯
ご依頼者様は、パーキンソン病を患っており、令和5年8月に初めて障害厚生年金の申請をされました。
しかし、不支給という結果に終わりました。
当時の診断書には、日常生活における動作の殆どの項目が、「1人でうまくできる」という軽い評価になっていました。
このため、当社としても不支給はやむを得ないと判断し、ご家族にもその旨を丁寧に説明しました。
審査請求なども行わず、一旦申請手続きを終了されました。
その後、病状が進行し、令和7年1月に改めてご相談を受けました。
そこで、再度の申請に向けてサポートを開始しました。
①診断書の工夫
診断書は前回と同じ医療機関・医師に依頼しましたが、記載内容には大きな違いがあります。
前回は病気が「軽い」と見なされやすい内容でしたが、今回は「薬が効いている状態でも、細かい作業が困難である」ことや、「一人での生活動作にやや不自由が見られる」ことを明記していただきました。
また、関節の可動域や筋力の測定は行っていませんでしたが、パーキンソン病ではON時での日常生活の動作が非常に重要となります。
そのため、ON時の日常生活の動作での支障や困りごといついた詳細な資料を作成し医師に橋渡ししました。
なお、些細なことですが、診断書の備考欄には「診断書はON時の状態で評価した」と記載していただきました。
②申立書の強化
1度目の不支給以降、症状が進行している点を、病歴・就労状況等申立書で丁寧に説明しました。
また、服薬については、1日4回の服用が必要であり、薬の効果も短時間で切れてしまうことを具体的に記載しました。
診断書には明記されなかった内容も、申立書でしっかり補足することで、実態に即した判断がされるよう工夫しました。
③結果
結果として、令和7年1月の再申請にて、障害厚生年金3級として認定されました。
認定は5年更新となり、進行性の傷病のため、将来的には等級改定の可能性もあります。
なお、今回は再申請という形でしたが、初診日が前回申請時に認められていたため、初診証明書の再提出は不要となりました。
こうした点も、再申請時の大きなメリットとなります。
④スタッフの感想と振り返り
このケースでは、「薬が効いている状態での生活障害の実態をどう記録するか」が最大のポイントでした。
前回の不支給経験を踏まえ、診断書の記載内容や申立書の充実を徹底することで、審査側にご依頼者様の実際の苦労や制限が伝わるように意識しました。
スタッフからは「進行が早く、今後は2級相当の状態になる可能性もあるため、5年更新を待たずに額改定請求の可能性も見据えて準備をしていく必要がある」との声がありました。
ご依頼者様やご家族にとっても、1度不支給となったことで不安も大きかったことと思います。
しかし、諦めずに再チャレンジした結果、適切な等級での認定を得ることができ、当社一同も安堵いたしました。
【ポイント1】肢体障害の症状が広範囲に渡る場合の認定方法
肢体の障害が四肢全体の広範囲にわたるケースで認定は『日常生活における動作』がポイントになります。参考とされる日常生活動作は、以下のとおりです。
□手指の機能
(ア) つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
(イ) 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
(ウ) タオルを絞る(水をきれる程度)
(エ) ひもを結ぶ
□上肢の機能
(ア) さじで食事をする
(イ) 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
(ウ) 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
(エ) 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
(オ) 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
(カ) 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
□下肢の機能
(ア) 片足で立つ
(イ) 歩く(屋内)
(ウ) 歩く(屋外)
(エ) 立ち上がる
(オ) 階段を上る
(カ) 階段を下りる
【ポイント2】一度不支給となっていても受給の可能性あり
過去に不支給となっても、障害年金を再度申請することは可能です。
大切なのは「なぜ不支給となったか」原因を見つけることです。
原因を見つけるのは慣れていないと難しいこともありますので、ぜひ専門家にご相談ください。