【事例229】注意欠陥多動性障害(ADHD)・うつ病|障害厚生年金2級(複数の精神疾患が発症している事例)

注意欠陥多動性障害(ADHD)・うつ病|障害厚生年金2級

対象者の基本データ

病名 鬱病(うつびょう)
性別 男性
支給額 年額 約169万円
障害の状態
  • コミュニケーションは苦手で対人関係は家族に限られる
  • 自己否定的な思考が強い
  • 文章の読解が苦手
  • 二次障害(うつ病)を発症している
  • 精神障害者保健福祉手帳2級
申請結果 障害厚生年金2級

 

ご相談までの経緯

Kさんは小学生の頃より友達つくりが苦手で一人でいることが多かったといいます。

大学卒業あとは就職をしても長続きすることがなく、相当数の会社を転々としていたそうです。

30代中旬で就いた職場は病気への理解やフォロー体制も整っていた為、10年程と長期間、続けることが出来ました。

それでも仕事中は周りと馴染むのが困難だったといいます。

幾度となく同じ失敗をしたり、意思疎通に苦労することが多く常にストレスを感じながら過ごされていました。

40代中旬にはストレスから、うつ病を発症し長期休職も経験されました。

またこの治療の際にADHDと診断を受けられたそうです。

休職中は、外出することは出来ず、家に引きこもった生活をされていました。

衝動的に目についた物を破壊したり、夏場であっても2週間に1度の入浴といった状態だった為、仕事を続けることが難しくなり退職されました。

ご本人様はその後もお仕事を希望していましたが、就労先が見つからないことから体調の良い時は就労移行施設へと通所されています。

そのような中、障害年金の存在を知りましたが、とても自力で請求は難しいと考え、ご相談に来られました。

 

申請結果

発達障害はその病気で初めて病院を受診した日が初診とされています。(参考ポイント①)

今回のKさんは初診日から2年が経過したタイミングだった事と、初診から同じ病院に通院していた為、準備する書類はシンプルでした。

そこで今回の一番のポイントは、発達障害という病気の特徴でした。

ご本人様はその障がいからストレスを多く抱えて生活されていますが、ご自身ではその理由が理解出来ず、エピソードを客観的に表現する事が難しい特徴があります。

つまり、その状態で障害年金の準備を進めても適切な書類に仕上がらず、本来なら受け取れるであろう障害年金が不支給となったという、ご相談が多く寄せられています。

そこで、丁寧にヒアリングを行いながら書類を作成していきました。

例えば

  • 衝動的な動き
  • 何か特別なこだわり
  • 日常のルーティーン
  • トラブルのエピソード

これは、ADHDや自閉症スペクトラムといったそれぞれの病気の代表的な特徴を元に、ご家族も巻き込んで進めていくことになります。

また、今回は二次障害としてうつ病も発症されていたため、その点についてもしっかり反映していきました。

その結果、障害厚生年金2級として認定を受けることが出来ました。

 

【ポイント1】発達障害と初診日

発達障害の初診日は「発達障害のために初めて医療機関を受診した日」です。

先天性の疾病のため、知的障害と同様に生まれた日が初診日になるという誤解が多いのでご注意ください。

また、20歳未満では親元で生活をしていることも多く症状が目立たないものの、社会に出てから、周りと上手くコミュニケーションが取れないなどの悩みが原因でメンタルクリニックを受診して発達障害と診断されるケースも多くあります。

このように幼少期より明らかに症状が現れていても、20歳を超えてから発達障害と診断された場合は、その初めて通院した日が初診日になります。

 

【ポイント2】発達障害の病歴就労状況申立書

発達障害は、先天的な脳機能の障害とされています。

幼少期から症状が現れるのことも多いですが、近年は大人になってから発覚するケースも増えています。

いずれの場合であっても、病歴就労状況申立書には『生まれてから現在まで』の病歴・通院歴・症状・日常生活の様子などを記入する必要があります。

 

【ポイント3】二次障害の発症している発達障害

発達障害の方が社会で生活をしていくにはストレスが多く、うつ病などの精神疾患を発症するケースがあります。

これを発達障害を原因とした二次障害といいます。

このように二次障害を発症しているケースでの発達障害は、それぞれの疾病をまとめて総合的に判断をされます。

例えば、発達障害と統合失調症が併発している場合、これを別々の病気として評価するのではなく、ひとつの病気として日常生活や就労にどれだけ影響があるのかがポイントになるということです。

 

その他の精神の事例

 

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