目次
対象者の基本データ
病名 | 自閉スペクトラム症・注意欠陥多動性障害 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約113万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
飲食店で就労されていましたが、職場での人間関係がうまくいかず、不眠が続いていたそうです。
ご両親の勧めで、心療内科を受診されたところ、うつ病と診断されました。
しばらく薬を服用されていましたが症状が改善せず、転院されたところ、次の病院では発達障害と診断されました。
仕事に関しては、どの職場でも人間関係がうまくいかず短期間での退職、転職を繰り返していました。
今では、働く意欲も自信も無くし、就労できず、家に引きこもって不安な日々をお過ごしです。
そんな時、知人から障害年金の話を聞き、医師に相談をされたそうです。
ところが、医師からは、今の状態では等級に該当しないと言われ診断書の作成も断られました。
医師の対応に納得ができず、本当に等級に該当する見込みがないのか、専門家の意見を聞いてみようと思われ、ネットで当事務所のホームページをご覧になりご相談を頂きました。
申請結果
ご相談者様より、今までの受診歴をヒアリングすることから始めました。
遡及請求も検討しましたが、障害認定日頃は全く通院されていないことが判明し、事後重症請求に切り替えて準備に着手しました。
まず、初診の病院で「受診状況等証明書」(初診日の証明)を記載して頂きました。続けて、現在、通院されている病院へ、診断書を依頼しました。
主治医の先生には、ご相談者様の日常生活や今までの就労の経緯と現在、就労できないでいる状況を詳細にお伝えしました。
完成した診断書は、現在のご相談者様の状況を正確に反映された内容となっていました。(ポイント①をご参照ください)
ここまでは、スムーズに申請準備は進みました。
ところが、診断書の傷病名が「発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD)」となっており、当初、ご相談者様からお聞きしていた傷病名「うつ病」とは異なるものでした。
「発達障害」の場合は、「病歴・就労等申立書」は出生時から記入しなければなりません。(ポイント②をご参照ください)
そこで、ご相談者様に出生時からのご様子をお尋ねしましたが、さすがに記憶がないとのことでした。
そこで、お母様にお話を聞くとともに、学生時代の通知表を拝見し学習成績と担任の先生の所見欄を参考に「病歴・就労等申立書」を作成し、少し時間は要しましたが、自信をもって申請することが出来ました。
結果は2か月たらずのスピード審査で、『障害厚生年金2級』に認定されました。
【ポイント1】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
【ポイント2】発達障害の病歴就労状況申立書
発達障害は、先天的な脳機能の障害とされています。
幼少期から症状が現れるのことも多いですが、近年は大人になってから発覚するケースも増えています。
いずれの場合であっても、病歴就労状況申立書には『生まれてから現在まで』の病歴・通院歴・症状・日常生活の様子などを記入する必要があります。
【ポイント3】発達障害と初診日
発達障害の初診日は「発達障害のために初めて医療機関を受診した日」です。
先天性の疾病のため、知的障害と同様に生まれた日が初診日になるという誤解が多いのでご注意ください。
また、20歳未満では親元で生活をしていることも多く症状が目立たないものの、社会に出てから周りと上手くコミュニケーションが取れないなどの悩みが原因でメンタルクリニックを受診して発達障害と診断されるケースも多くあります。
このように幼少期より明らかに症状が現れていても、20歳を超えてから発達障害と診断された場合は、その初めて通院した日が初診日になります。
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