目次
対象者の基本データ
病名 | 小腸穿孔(人工肛門) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約58万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
25歳頃より、排便時に血便が出るようになりました。
しかし腹痛等の自覚症状もなかったため、病院に行くほどでもないと考えしばらく放置していたそうです。
血便について、別疾患で通っていた内科の診察時に相談してみたところ要検査となり、検査の結果『潰瘍性大腸炎』と診断されました。
診断後、症状が急激に悪化したため要手術となり、大腸全摘出、同時に一時的人工肛門造設しました。
その後、すぐ人工肛門は閉鎖されましたが、頻繁な便意などの症状に悩まされることとなりました。
それから約1年後、潰瘍性大腸炎の影響と思われる腹膜炎(小腸穿孔)を発症し、緊急手術を実施。
その際再び人工肛門となりました。
医師と相談した結果、今度は永久的に装着し続けることになったそうです。
日常生活を取り戻しつつある頃、診察時に医師から障害年金を勧められ、申請したいと当事務所にご連絡がありました。
申請結果
2度人工肛門の増設を行っているとの事でしたので、まずは時系列の整理が必要でした。
1度目の人工肛門の増設は『潰瘍性大腸炎』が原因でした。
ただしすぐに閉鎖していたため、障害年金を請求することはできません。
2度目は『小腸穿孔』の永久人工肛門だったため、障害年金を請求することが可能です。
よって今回は『小腸穿孔による永久人工肛門』とし障害年金を請求することになりました。
つぎに初診日の特定です。
障害年金では『最初の病気』と『後の病気』の間に、非常に強い関連性がある場合、二つの病気が繋がっているものと評価されます。
これを『相当因果関係』と言います。
時系列をみると最初は『潰瘍性大腸炎』と診断され、次に『小腸穿孔』の診断されていました。
そこで、それぞれの病気の関連性を医師に確認したところ『小腸穿孔の原因は潰瘍性大腸炎であり、二つ病気には非常に強い関連性がある』との回答がありました。
よって、今回の初診日は潰瘍性大腸炎にて初めて病院に行った日となり、各医証にその旨を明記して貰いました。
加えて、お仕事されているとの事でしたので、職場での支障や制限などをヒアリングし診断書に反映、申立書でも主張しました。
請求内容は認められ『障害厚生年金3級』と認定を受けることができました。
【ポイント1】障害認定日の特例(人工肛門)
障害認定日は、原則『初診日から1年6ヵ月を経過した日』を言います。
しかし人工肛門を造設した場合は、特例として『造設した日から6ヵ月を経過した日』または『初診日から1年6ヵ月を経過した日』のいずれか早い方が障害認定日となります。
これを「障害認定日の特例」と言い、その日以降であれば障害年金の申請ができます。
【ポイント2】 相当因果関係について
「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。
つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。
例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。
- 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
- 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
- 肝炎→肝硬変
- 結核の化学療法による副作用として聴力障害
- ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
- 事故または脳血管疾患→精神障害
他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。
【ポイント3】 人工肛門は働いても受給可能
人工肛門の等級は、原則『3級』と定められています。
(※)症状によってはさらに上位等級の可能性もあり。
仕事が出来ていると「障害年金の受給は無理かな?」を思いがちですが、人工肛門を造設していることで生活や就労に制限が出てきます。
そのため、人工肛門の場合は「就労の有無・生活への支障」などに関わらず、3級と認定されます。
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