【事例1854】脳性麻痺|障害基礎年金2級

脳性麻痺|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 脳性麻痺
性別 女性
支給額 年額 約82万円
障害の状態
  • 両下肢の筋力の低下が顕著であり屋内の移動でも杖が必要で、買物などの際は車椅子を利用している。
  • 障害者雇用で事務職に従事。
  • 家事だけでなく入浴や用便の処理など基本的な身の回りのことにも家族の助けが欠かせない。
申請結果 障害基礎年金2級

当事務所スタッフによる事例紹介動画

当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。

当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。

ご相談までの経緯

ご依頼者様は、出生後間もなく下肢の運動機能障害を指摘され脳性麻痺と診断されました。

自力歩行が困難で通学は家族に送迎してもらい体育の実技授業にも参加できませんでした。

今も、日常生活や外出時には杖や車椅子を常に使用し、歩行には大きな困難を抱えていらっしゃいます。

周囲からは障害年金の申請を進められていましたが、20歳前の初診であるために初診証明の取得が難しいと考えられ、障害年金の申請に踏み切ることをためらっておられました。

特に初診証明が必要になる場合、過去のカルテが廃棄されていることが多く、申請のハードルが高く感じられることが一般的です。

そんな中、当社の実績と初診証明取得へのサポート体制を知り、ご相談にいらっしゃいました。

申請のポイント

初診証明の取得と申請方法

初診日は50年ほど前ですので、初診病院を思い出すことが困難でしたが、当時の受診予約カードが見つかったことで初診病院を特定することが出来ました。

早速、初診病院に問い合わせたところ、奇跡的に紙カルテが残っており受診状況等証明書(初診日の証明書)はスムーズに取得することが出来ました。

初診日が特定できた後は申請方法を考えることになります。

20歳前傷病ですので障害認定日は20歳のお誕生日の前日となりその前後3ヶ月間の診断書が取得できれば遡及請求が可能となります。

しかし、当時受診していた病院ではすでにカルテが破棄されており診断書が取得できないため遡及請求は断念し事後重症請求で申請することになりました。

診断書の内容と審査の焦点

事後重症請求のため直近のカルテに基づいた診断書を取り寄せました。

完成した診断書では四肢に障害が認められ、特に両下肢に関しては筋力がほぼ消失していました。

これだけを基準にすると障害等級1級相当といえる状態でした。

しかし、脳性麻痺の場合、障害が広範囲(四肢)に及ぶため、日常生活の動作がどれだけ制限されているかが審査では主要なポイントとなります。

ご依頼者様の場合、日常生活動作においては、「一人でできるが非常に不自由」という評価が目立つ状態であり障害等級2級での認定を想定しました。

結果

申請手続きの結果、ご依頼者様は障害年金2級の認定を受けることができました。

なお、5年更新となりましたが、ご依頼者様の症状が固定となっていることから、認定が継続される可能性が高いと考えられます。

【ポイント1】初診日が大切な理由

障害年金では、初診日が最も重要とされています。

なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。

① 制度加入要件

初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。

② 保険料納付要件

障害年金を申請するには、初診日の前々月から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。

③ 障害認定日の起算点

原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。

これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。

初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

【ポイント2】「事後重症請求」と「遡及請求」

本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。

『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。

つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。

注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。

遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。

以下の動画でものポイントをご説明していますので是非ご覧ください。

【ポイント3】肢体障害の症状が広範囲に渡る場合の認定方法

肢体の障害が四肢全体の広範囲にわたるケースで認定は『日常生活における動作』がポイントになります。参考とされる日常生活動作は、以下のとおりです。

手指の機能

(ア) つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
(イ) 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
(ウ) タオルを絞る(水をきれる程度)
(エ) ひもを結ぶ

上肢の機能

(ア) さじで食事をする
(イ) 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
(ウ) 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
(エ) 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
(オ) 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
(カ) 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

下肢の機能

(ア) 片足で立つ
(イ) 歩く(屋内)
(ウ) 歩く(屋外)
(エ) 立ち上がる
(オ) 階段を上る
(カ) 階段を下りる

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