【事例181】持続性気分障害(気分変調症)|障害基礎年金2級

持続性気分障害|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 持続性気分障害(じぞくせいきぶんしょうがい)
性別 女性
支給額 年額 約100万円
障害の状態
  • 外出は通院時のみ
  • 家事全般を家族の介助が必要
  • 育児が困難
  • 精神障害者保健福祉手帳:なし
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

20代前半より不眠や倦怠感といった、うつ症状で悩むことがありました。

身内がメンタル疾患で治療を行っていたこともあり相談をしたところ、睡眠導入剤や抗うつ剤を分けてもらい服用していました。

しばらく続けていましたが、分けてもらうにも限界があると考えてご自身で受診を決意されたそうです。

A病院の初診時、これまで貰って服用していた薬と同じ処方を希望していたため「前の病院(X病院)で○○を貰っていました」と主治医に伝えたとのことでした。

その後も症状は改善されず、悪い時は入院をされたり、衝動的な行動によるトラブルで警察にお世話になった事もありました。

現在は、自力では家から出ることも出来ず、横になって生活をしており、将来を心配したご家族よりご相談に来られました。

 

申請結果

通常、障害年金の手続きは初診日の確認から開始します。

今回のケースで問題となったのは、あるはずのない架空の初診日を本当の初診病院のカルテに作ってしまっていたという点でした。

X病院:架空の初診日
A病院:本当の初診病院

「ある」初診を客観的に証明するというのはこれまでに幾度となく行ってきましたが、今回のように「ない」を証明するのは初めての取り組みでした。

ご本人様からは「A病院に同行してカルテから消してほしい」というご希望を頂きました。

しかし、社労士の立場からカルテの変更依頼は出来ません。

また「ない」が証明出来ていない段階でA病院を初診として組み立てる事自体に問題があると考え、別のアプローチを考える事にしました。

そこで「なぜ初診日が重要なのか?(参考ポイント②)」に着目しました。

この中でも特に重要なのが納付要件の確認という点です。

納付要件とは初診日の前日時点で一定の年金を納めていなければ障害年金はもらえないというものです。

幸いなことに、ご依頼者様は10代の早い時点から厚生年金に加入されていました。

これを用いて、以下の2点を証明することにしました。

  • A病院の段階で年金を納めていること
  • X病院があったと仮定して、ご依頼者様のA病院以前の何歳の時であったとしても年金を納めている事になること

その結果、想定通り障害基礎年金2級として認定を得ることができました。

 

【ポイント1】初診日が大切な理由

障害年金では、初診日が最も重要とされています。

なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。

①制度加入要件

初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。

 

②保険料納付要件

障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。

 

③障害認定日の起算点

原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。

これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。

 

【ポイント2】初診日の証明

障害年金は初診日主義とも言われています。

つまり、障がいがどんなに重たくても初診日の証明が出来なければ障害年金を受給することが出来ないということです。

カルテの法定保存期間が5年と定められている為、初診日の証明が出来ず悔しい思いをする方が多くおられるのも事実です。

そんな時でも証拠を積み上げて、間接的に初診日を証明出来たケースが多くありますので諦めない事が大切です!

 

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