【事例1519】アテローム血栓性脳梗塞|障害厚生年金1級(診断書無しで遡及が認められた事例)

アテローム血栓性脳梗塞|障害厚生年金1級

対象者の基本データ

病名 アテローム血栓性脳梗塞
性別 男性
支給額 年額 約152万円
遡及金額 約205万円
障害の状態
  • 右側の上肢・下肢の筋力消失または著しい減少がある
  • 常時、車椅子の使用が必要
  • 日常生活全般に介助を要する
申請結果 障害厚生年金1級

当事務所スタッフによる事例紹介動画

当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。

当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。

ご相談までの経緯

今回のご依頼者様は脳梗塞により、高次脳機能障害と右半身の麻痺が後遺症として残りました。

入院治療中に障害年金制度を知り、初診日から1年6ヶ月が経過した頃、手続きのために他の社労士事務所にご相談をされていたそうですが、思う回答が得られなかったため、当事務所にもご相談をいただき、一緒に手続きを進めていく事となりました。

申請のポイント

障害年金では原則、初診日から1年6ヵ月経過した日を障害認定日として、その日を基準として障害年金が支給されることとなります。

しかし、脳梗塞のような脳血管疾患の場合は障害認定日の特例として、初診日から6ヵ月経過した日以降において症状固定が認められた場合はその症状固定日を障害認定日として認められるケースがあります。

今回のご依頼者様の場合、初診日から7ヶ月後に症状固定が確認されていた為、当該症状固定日時点の診断書が取得できれば障害認定日に遡って障害年金が支給される可能性がありました。

そのため、症状固定日当時に受診されていた病院に診断書作成依頼を行いましたが、カルテ自体は残存しているものの当時の主治医が退職している為、診断書作成はできないとして診断書を取得することができませんでした。

このままでは遡及請求が不可能となってしまうため、他の手段を模索しました。

ご依頼者様は障害認定日頃に身体障害者手帳を取得されていました。

身体障害者手帳申請時には医師の診断書が発行されている為、この診断書が障害認定日当時の状態を示す有効な客観的資料になり得えるのではないかと考え、役所より障害者手帳申請時の診断書を取り寄せ、その診断書の内容を基に認定日請求を行うことにしました。

申請方法が通常、審査機関が求めている申請方法・書類とは異なるため、審査担当者に申請方法の趣旨や意図、障害認定日当時の状態が理解してもらえるよう、請求内容に関して補足申立て書類を別途作成し提出しました。

結果として、主張申立ての通り、障害認定日および事後重症ともに1級に認定されました。

これは、ご依頼者様の状態を正確に伝えるための証拠資料が揃っていたこと、そして詳細な申立書が功を奏した結果です。

今回のケースでは、診断書が取得できない状況ではありましたが客観的な資料(障害者手帳申請時の診断書)を活用することで、障害年金の認定を得ることができました。

この事例は、診断書がなくとも他の客観的資料を駆使することで認定されるが可能であることを示しています。

申請に不安を感じている方々にとって、勇気を与える事例となりました。

【ポイント1】障害認定日の特例(脳血管障害)

障害認定日は、原則『初診日から1年6ヵ月を経過した日』です。

しかし脳梗塞などの脳血管障害の場合は、特例として以下を全て満たすと1年6ヵ月を待たずに障害年金の申請ができます。

 ①初診日から6ヵ月経過している
 ②医学的にこれ以上の改善が見込めない
 ③症状固定と判断されている

これを障害認定日の特例と言います。

【ポイント2】障害認定日の診断書がない場合の障害認定日による請求

障害認定日による請求を行う場合、原則として障害認定日頃の診断書が必要となります。

しかし、これはあくまでも原則論であり、必ずしも医証によらずとも、障害の程度を判断するための合理的な資料等が得られる場合には認定される余地があると考えられます。

障害認定日頃の診断書が得られないからといってすぐに諦めることなく、医証以外の方法で認定を得られないか一度検討する価値はあると思います。

ただし、全ての傷病で医証がなくても受給ができるというものでは有りませんので、ご注意ください。

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