【事例126】双極性障害|障害厚生年金3級(初診日が約25年前の事例)

双極性障害|障害厚生年金3級 

対象者の基本データ

病名 双極性障害(そうきょくせいしょうがい)
性別 女性
支給額 年額 約59万円
障害の状態
  • 発症は約25年程前で症状は一進一退が続いている
  • 躁状態はまれで、基本はうつ状態である
  • うつによる意欲低下が著しく、生活のほとんどに家族の援助が必要
  • 就労できる状態では無く、現在は無職
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

高校卒業後、事務職に就き働いていたTさんは20歳頃に部署異動があり、役職がつくようになったそうです。

多忙とプレッシャーの中、周囲の期待に応えようと懸命に働いていたのですが、業務に慣れが出てきた頃から憂うつ気分や意欲の低下を感じだしました。

日に日に出勤したくない気持ちが強くなり、悩んだ末に心療内科を受診。

それから週に数回、治療に通いつつ就労していましたが、発症から約2年後、自殺未遂を起こしてしまい翌日から休職となりました。

約半年後に復職のためリハビリ出社を開始しましたが、間もなくフルタイムで働くと思うと症状が悪化してしまい突発的に自殺未遂を図りました。

復職は難しいと考え、そのまま職場を退職。

以降は療養に専念することになりました。

それから結婚、出産をしましたが、症状は一進一退の状況が続き、40歳頃になって育児がひと段落したことをきっかけに重いうつ状態となりました。

まれに急激に元気になることもありましたが、現在はほとんど寝たきりで、生活のほとんどに家族の支援が必要な状況との事でした。

現在は傷病名がうつ病から双極性障害となり、適切な治療を受けていますが改善の兆しがなく、障害年金に該当する可能性が高いとして病院から申請を勧められ当事務所にご連絡がありました。

 

申請結果

初診日が約25年前という事で、申請に必ず必要となる初診日証明書(受診状況等証明書)が取得できない可能性がありました。

そこで早々に初診病院へ連絡すると、過去のカルテは別で保管しているため残っているか不明であると返答がありました。

障害年金は初診日主義とも言われるほど初診日が重要となってくるため、病院にお願いしてカルテを捜索して頂くことになりました。

その結果、無事にカルテが見つかり、時間はかかりましたが初診日証明書を取得することができました。

次に過去の障害年金も受給することが出来ないか、検討することにしました。

障害年金は、原則として初診から1年6ヵ月後の状態が等級に該当している場合、過去の貰い忘れていた年金を請求することが可能です。

これを『障害認定日請求』と言います。

捜索して頂いたカルテから該当する時期の状態を確認したところ、当時は就労も出来ており症状も比較的安定していたことから、障害認定日請求は諦めて今後の障害年金のみを請求することにしました。

申立書には約25年分の病歴等を記載する必要があるため、複数回のヒアリングにより若干時間を要しましたが、その後の診断書取得や諸証明の手配はスムーズに進み申請を終えました。

約2ヵ月後の申請結果では『障害厚生年金3級』と認定され、無事に障害年金を受給することができました。

 

【ポイント1】初診日の証明

障害年金は初診日主義とも言われています。

つまり、障がいがどんなに重たくても初診日の証明が出来なければ障害年金を受給することが出来ないということです。

カルテの法定保存期間が5年と定められている為、初診日の証明が出来ず悔しい思いをする方が多くおられるのも事実です。

そんな時でも証拠を積み上げて、間接的に初診日を証明出来たケースが多くありますので諦めない事が大切です!

 

【ポイント2】認定日請求(遡及請求)

何らかの理由で障害年金の請求が遅れてしまったり、手続きを忘れていた場合には認定日請求(遡及請求)という方法があります。

認定日請求(遡及請求)とは、障害認定日(原則的には初診日から1年6ヶ月後)の状態が定められた症状に該当すると、貰い忘れていた障害年金を一括で受け取れる可能性があります。

なお、遡って受給ができるのは時効の関係上、最大で5年までと決められています。

 

【ポイント3】初診時と現在の傷病が違う

初めて病院で診察を受けた日を初診日と言いますが、初診日の病名と現在の病名が異なるケースがあります。

特に精神疾患の場合はよくあり、障害年金の手続き上は特に問題はありません。

病名が違うということで心配される方も多いですが、ご安心ください。

 

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