障害年金の申請準備を進める中で、「受診状況等証明書」という書類の名前を初めて目にして、戸惑われている方は少なくありません。これは初診日を証明するための、申請の出発点ともいえる重要な書類です。
簡単にいえば、障害の原因となった病気やけがで最初に医療機関を受診した日(初診日)を、公的に証明するための書類です。この記事では、受診状況等証明書とは何かという基本から、誰がどこで作成するのか、取得の手順、提出が不要になるケース、そして取得できないときの対応まで、はじめての方にも分かりやすく解説します。
受診状況等証明書とは
受診状況等証明書とは、障害年金の請求において初診日を証明するための書類で、初診時の医療機関が作成します。通称「初診日証明」とも呼ばれます。
初診日を証明する書類という位置づけ
初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日のことをいいます(国民年金法第30条)。受診状況等証明書は、この初診日を客観的に裏づける役割を担っています。
複数の医療機関を受診してきた方の場合、現在診断書を作成してもらう医療機関と、最初に受診した医療機関が異なることがよくあります。そうした場合に、最初に受診した医療機関に作成を依頼するのが受診状況等証明書です。
なお、初診日は必ずしも最終的な診断名で最初に受診した日とは限りません。前の傷病と後の傷病に相当因果関係があると認められる場合は、前の傷病で最初に受診した日が初診日として扱われることがあります。詳しくは<a href="/sotoingakankei/" target="_blank" rel="noopener">相当因果関係とは</a>もご参照ください。
なぜ重要なのか
初診日は、障害年金の3つの受給要件すべての基準となる日です。具体的には、どの年金制度に加入していたか(初診日要件)、保険料を納めていたか(保険料納付要件)、いつ障害の状態を判定するか(障害認定日)の起点になります。
そのため、初診日を証明できないと、障害の程度が重い場合でも受給につながらないことがあります。受診状況等証明書が「申請の出発点」と呼ばれるのは、このためです。受給要件の全体像は<a href="/jukyu-joken/" target="_blank" rel="noopener">障害年金を受け取るための条件とは</a>で解説しています。
受診状況等証明書は誰が・どこで作成するのか
「受診状況等証明書は自分で書くのですか?」というご質問をよくいただきます。ここでは、作成するのは誰か、取得の主体は誰かを整理します。
記載するのは初診時の医療機関の医師
受診状況等証明書は、初診時の医療機関の医師が記載します。申請者ご本人が記入する欄はありません。
記載される内容は医療機関の記録に基づくものですので、ご本人や弊事務所が内容を書き込むことはできません。あくまで医療機関に作成を依頼する書類です。
用意するのは申請者ご本人
「本人が用意する書類」という説明を目にすることがありますが、これはご本人が医療機関に依頼して取得するという意味です。記載は医師が行いますが、どの医療機関にいつ依頼するかを手配するのは、ご本人(またはご家族や弊事務所などの支援者)です。
受診状況等証明書に記載される主な内容
受診状況等証明書には、初診日のほかにも、傷病の経過に関する情報が記載されます。主な記載項目は以下のとおりです。
| 記載項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名・生年月日 | 受診当時の情報 |
| 傷病名 | 障害の原因又は誘因となった傷病名 |
| 発病年月日 | 傷病が発病したと考えられる年月日 |
| 発病から初診までの経過 | 当時の症状や受診の経緯 |
| 初診年月日 | 初めて受診した日 |
| 終診年月日 | その医療機関での最後の受診日 |
| 初診から終診までの治療内容・経過 | 当時の診療内容 |
ここで注意したいのが、「発病日」と「初診日」は別の概念だという点です。受診状況等証明書における発病年月日は「傷病が発病したと考えられる年月日」を指し、実際に医療機関を受診した初診日とは一致しないことも多くあります。それぞれ別のものとして区別して扱われます。
なお、実際の記載内容のイメージは<a href="/jushinjokyotoshomeisho/" target="_blank" rel="noopener">受診状況等証明書の記載例</a>でご確認いただけます。
受診状況等証明書の取得方法・手順
受診状況等証明書は、初診時の医療機関に依頼して取得します。ここでは、依頼の流れと、つまずきやすいポイントを具体的にご説明します。
取得までの流れ
おおまかな流れは次のとおりです。
- 初診の医療機関に連絡する:電話で「以前受診していた者だが、障害年金の申請のために受診状況等証明書を作成してほしい」と伝えます。取得の手順や費用、郵送で対応してもらえるかを確認しておくとスムーズです。
- 様式を入手して渡す:受診状況等証明書の様式は、日本年金機構の公式サイトからダウンロードできます。医療機関に持参するか、郵送して記載を依頼します。
- 医師に記載を依頼する:医療機関の記録に基づいて医師が記載します。文書料(作成費用)がかかるのが一般的で、金額は医療機関によって異なります。
- 受け取る:完成した受診状況等証明書を受け取り、ほかの請求書類とあわせて提出します。
様式は以下の公式ページから入手できます。
<a href="https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/20140421-20.html" target="_blank" rel="noopener">受診状況等証明書の様式(日本年金機構の公式ページ)</a>
取得時のポイント
依頼の際は、いくつか押さえておきたい点があります。
まず、結婚・離婚などで受診当時の姓が現在と異なる場合は、当時の姓を伝えます。診療科や受診していたおおよその時期も伝えると、医療機関が記録を探しやすくなります。
また、複数の医療機関を受診してきた方は、現在の医療機関ではなく、いちばん最初に受診した医療機関に依頼するのが原則です。どの医療機関が初診にあたるか分からない場合は、<a href="/shoshinbi-shiraberareru/" target="_blank" rel="noopener">障害年金の初診日は調べられる?</a>もあわせてご覧ください。
さらに、医療機関には診療録(カルテ)の保存期間が定められているため、初診から年月が経っているほど記録が残っていないことがあります。申請を検討し始めた段階で早めに取得しておくと安心です。
受診状況等証明書が不要になるケース
受診状況等証明書は原則として必要ですが、例外的に提出が不要と認められる場合もあります。代表的な2つのケースをご説明します。
初診の医療機関が診断書も作成する場合
初めて受診した医療機関と、障害年金用の診断書を作成してもらう医療機関が同じである場合は、受診状況等証明書は不要です。診断書のなかに初めて受診した日を記載する欄があり、診断書そのもので初診日を確認できるためです。
診断書の重要性については<a href="/shogainenkin-shindansho/" target="_blank" rel="noopener">障害年金の申請は「診断書」で9割が決まる</a>でくわしく解説しています。
出生日が初診日とされるケース
先天性の知的障害など、生まれつき障害があり、出生直後から症状が認められるものは「出生日が初診日」として取り扱われます。完全脱臼したまま生育した先天性股関節脱臼なども、これに含まれます。こうしたケースでは、受診状況等証明書の提出は求められません。
ただし、生まれつきの傷病かどうかの判断は個別の事情によって異なります。ご自身のケースが該当するかどうか迷う場合は、年金事務所でご確認いただくのが確実です。
様式の記載根拠欄(⑩欄)が示す意味
受診状況等証明書を受け取ったら、様式の**⑩欄(記載根拠を示す欄)**を確認することが大切です。ここは、医師がどの記録に基づいて初診日などを記載したかを示す欄で、初診日が確認できるかどうかに関わります。
⑩欄には、(1)診療録、(2)受診受付簿・入院記録、(3)その他の記録、(4)本人の申し立て、という記載根拠の選択肢があり、医師が該当する番号に○をつけます。(1)〜(3)のように記録に基づいて記載された場合は、その日付が初診日として確認できる状態です。
一方、(4)「本人の申し立て」のみに○がついている場合は、それだけでは初診日の証明にはなりません。これは様式の記入要領にも明記されています。この場合は、さらに前に受診した医療機関への確認など、追加の対応が必要になることがあります。判断に迷う場合は、年金事務所や専門家にご相談ください。
受診状況等証明書が取得できない場合
初診から長い年月が経っていると、受診状況等証明書を取得できないことがあります。ここでは、取得できない主な理由と、その場合の対応の入口をご説明します。
取得できない主な理由
最も多いのが、診療録(カルテ)が廃棄されているケースです。診療録の保存義務は医師法第24条第2項により5年間とされているため、初診から長期間が経過していると、記録がすでに処分されていることがあります。また、初診の医療機関が廃院・統廃合しているケースもあります。
なお、当時の担当医が在籍していなくても、医療機関に診療録や受診受付簿などの記録が残っていれば、別の医師などが記録に基づいて作成できる場合があります。「担当医が辞めた=取得できない」と決めつけず、まずは医療機関に問い合わせてみることをおすすめします。
取得できない場合の対応
受診状況等証明書を取得できない場合は、**「受診状況等証明書が添付できない申立書」**を作成して対応します。これは受診状況等証明書とは別の書類で、取得できない理由をご本人(またはご家族)が申し立てるものです。「理由書」ではなく「申立書」が正式名称です。
この申立書だけでは初診日の証明にはなりません。次のような参考資料や、第三者による証明とあわせて、総合的に初診日が判断されます。
- 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳、これらの申請時の診断書
- 生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録、母子健康手帳
- 健康保険の給付記録(レセプトを含む)、お薬手帳、診察券、領収書
- 小学校・中学校等の健康診断の記録や成績通知表、盲学校・ろう学校の在学証明・卒業証書
これらは、できる限り複数そろえると、初診日が認められやすくなります。とくに、初診のころの受診状況を直接見て認識していた医療従事者(担当の医師や看護師など)による証明は、医療機関の証明と同等の資料として扱われ、ほかに参考資料がなくても、その証明のみで初診日が認められることがあります。
取得できない場合の具体的な手続きは、次の記事でくわしく解説しています。
<a href="/jushinjokyo-tenpudekinai-moshitatesho/" target="_blank" rel="noopener">初診日が証明できない時は?受診状況等証明書が添付できない申立書</a>
受診状況等証明書に関するよくあるご質問
ここでは、受診状況等証明書についてよくいただくご質問にお答えします。
Q. 受診状況等証明書は自分で書けますか?
いいえ。受診状況等証明書は初診時の医療機関の医師が記載する書類で、ご本人が記入する欄はありません。ご本人が行うのは、医療機関への作成依頼です。
Q. 「書けない」「分からない」と言われたら?
受診状況等証明書は、当時の担当医本人でなくても、診療録などの記録に基づいて作成できる場合があります。まずは記録が残っているかどうかを医療機関に確認してみましょう。それでも取得できない場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」で対応することになります。
Q. 発病日と初診日が違っていても大丈夫ですか?
問題ありません。発病日(傷病が発病したと考えられる年月日)と初診日(初めて受診した日)は別の概念で、一致しないことも多くあります。それぞれ正確に区別して扱われます。病歴の記載については、<a href="/byoreki-shurojokyo-moshitatesho/" target="_blank" rel="noopener">【自分で書ける】病歴・就労状況等申立書</a>もあわせてご確認ください。
Q. 初診日がかなり前でも申請できますか?
初診から長い年月が経っていても、参考資料や第三者証明によって初診日が認められれば申請は可能です。<a href="/faq/shoshinbi-20years-ago/" target="_blank" rel="noopener">初診日が20年以上前で障害年金をもらえますか?</a>もご参照ください。
初診日証明を乗り越えた事例
弊事務所(全国障害年金サポートセンター)では、受診状況等証明書の取得や初診日の証明に悩まれた方の申請を数多くお手伝いしてきました。
初診から20年以上が経過していた方や、初診の医療機関が廃院していた方、カルテがすでに廃棄されていた方でも、参考資料や第三者証明を組み合わせて初診日が認められたケースがあります。一方で、初診の医療機関が現存し、診療録に基づいて受診状況等証明書を作成できたことで、手続きがスムーズに進んだ方もいらっしゃいます。
※個別事案により判断は異なります。
まとめ
受診状況等証明書は、障害年金の請求において初診日を証明する、申請の出発点となる書類です。要点を整理します。
- 受診状況等証明書は初診時の医療機関の医師が作成し、ご本人は医療機関への依頼を行う
- 初診と診断書作成の医療機関が同じ場合や、出生日が初診日とされる場合は不要なことがある
- 取得できない場合は「受診状況等証明書が添付できない申立書」と参考資料・第三者証明で対応する
初診日の証明でお困りの方は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年6月時点の年金法令・障害認定基準に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は<a href="https://www.nenkin.go.jp/" target="_blank" rel="noopener">日本年金機構の公式サイト</a>等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。


