障害年金に関してよくある「がんで障害年金を受給するのは難しい?」というご質問にお答えします。
目次
はじめに
「がんで障害年金を受給するのは難しい」と耳にすることがあるかもしれません。
なぜそのように言われるのでしょうか。
いくつかの理由が考えられます。
障害年金がん受給が難しい理由とは?
がんで障害年金の受給が難しいと言われる主な理由の一つは、障害の状態の評価が難しい点にあります。
障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事にどれくらいの支障が出ているか、その「障害の状態」によって支給されるかどうかが決まります。
がんの場合、同じ種類のがんであっても、進行度(ステージ)、治療の効果、副作用の出方、体力や気力の状態などが一人ひとり大きく異なります。
【理由1】自覚症状と客観的な所見のズレ
ご本人は、倦怠感、持続的な痛み、吐き気、食欲不振、あるいは精神的な落ち込みといった、目に見えない非常につらい症状を日々抱えていても、血液検査の数値や画像検査の結果といった客観的なデータだけでは、その苦しさの程度や日常生活への影響が十分に伝わりにくいことがあります。
症状の感じ方には個人差が大きいですし、日によって症状の強さが変動することも少なくありません。
特に、精神的な苦痛は数値化することが難しいため、診断書に反映されにくい傾向があります。
【理由2】治療による状態の変化
抗がん剤治療や放射線治療など、治療中は副作用で体調が悪化しても、治療が終わるとある程度回復することがあります。
そのため、どの時点の状態で評価するのかが難しく、一時的な状態悪化だけでは障害年金が認定されにくい場合があります。
当事務所での申請事例の中にも、診断書の現症日以降申請までの間の期間にも化学療法の副作用により体調がさらに悪化し、仕事に従事することも困難となり、休職となられた依頼者様が受給できた事例があります。
【事例1680】膵頭部癌|障害厚生年金2級(適正な診断書を取得するため工夫した事例)
【理由3】就労の状況
働きながらがん治療を続けられている方もいらっしゃると思います。
働きながら治療を続けている場合、「仕事ができているなら、障害の状態はそれほど重くないのでは?」と判断されてしまう可能性もゼロではありません。
しかし、実際には無理を押して働いていたり、周囲のサポートがあってなんとか成り立っていたりするケースも多くあります。
これらの要素が複雑に絡み合うため、がんによる障害の状態を客観的に評価し、障害年金の基準に照らし合わせることが難しいのです。
当事務所での申請事例の中にも、がん治療を続けながら正社員として働かれていた方が受給できた事例があります。
【事例227】直腸癌・転移性肝癌|障害厚生年金3級(正社員でフルタイム勤務している事例)
ステージ4でも通らない?
「ステージ4のがんでも障害年金が通らなかった」という話を聞くと、不安に思われるかもしれません。
確かに、がんのステージは障害の状態を判断する上での一つの指標にはなりますが、ステージだけで障害年金の受給が決まるわけではありません。
障害年金の審査では、
- 日常生活能力: 食事、着替え、排泄、入浴、移動など、日常生活をどれだけ自分で行えるか。
- 労働能力: 仕事にどれだけ支障が出ているか。
- 治療の状況と予後: 現在の治療内容や、今後の見通し。
- 検査成績: 血液検査、画像検査などの結果。
- 自覚症状: 痛み、倦怠感、食欲不振、精神的な落ち込みなど。
これらの情報を総合的に見て、障害の等級に該当するかどうかが判断されます。
そのため、たとえステージ4であっても、治療の効果が出て日常生活がある程度送れていたり、短時間でも働くことができていたりする場合には、障害年金が認定されないこともあります。
逆に、ステージがそれほど高くなくても、治療の副作用が強く出て日常生活に大きな支障が生じている場合や、がんの種類や部位によっては、障害年金が認定される可能性もあります。
大切なのは、ご自身の今の状態を正確に医師に伝え、診断書に具体的に記載してもらうことです。
がんで障害年金を受け取るための条件と注意点
では、がんで障害年金を受け取るためには、どのような条件があり、どんな対策をすれば良いのでしょうか。
障害年金3級でももらえる?がんで障害年金を受け取るための条件
障害年金には、障害の程度に応じて1級、2級、3級の等級があります(障害基礎年金は1級と2級のみ)。
障害年金を受給するための基本的な条件
障害年金を受給するための基本的な条件は以下の通りです。
- 初診日(しょしんび)の証明: がんの症状で初めて医師の診療を受けた日(初診日)がいつであるかを証明する必要があります。この初診日にどの年金制度に加入していたかによって、受け取れる障害年金の種類(障害基礎年金または障害厚生年金)が決まります。
- 保険料納付要件: 初診日の前日において、一定期間以上、国民年金や厚生年金の保険料を納めている必要があります。具体的には、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
- 障害認定日(しょうがいにんていび)における障害の状態: 初診日から1年6ヶ月を経過した日(または症状が固定したと認められる日)を「障害認定日」といい、この日に法令で定められた障害の状態(障害等級)に該当している必要があります。がんの場合は、初診日から1年6ヶ月を待たずに、人工肛門や尿路変更術、喉頭全摘出術などを行った場合は、その日を障害認定日とすることもあります。
がんの場合の障害等級の目安
がんの場合の障害等級の目安としては、以下のような状態が考慮されます。
- 3級(主に障害厚生年金): 労働に著しい支障がある状態。例えば、がんの治療や副作用により、以前のように働くことが難しくなり、仕事の内容を変えたり、労働時間を短縮したりする必要がある場合などが考えられます。
- 2級(障害基礎年金・障害厚生年金): 日常生活に著しい支障がある状態。例えば、食事や身の回りのことが自分だけでは困難で、常に誰かの援助が必要な場合や、ほとんどの時間をベッドで過ごさなければならないような状態などが考えられます。
- 1級(障害基礎年金・障害厚生年金): 他人の介助がなければ日常生活のことがほとんどできないような、極めて重い障害の状態。
これらの等級はあくまで目安であり、個々の状況によって総合的に判断されます。
がんで障害年金を申請するときの注意点
具体的な対策としては、以下の点が重要になります。
医師とのコミュニケーション
ご自身のつらい症状や日常生活での支障、仕事への影響などを具体的に、そして正確に医師に伝えましょう。
診断書は障害年金の審査において非常に重要な書類です。
医師に現状をしっかりと理解してもらうことが、適切な診断書を作成してもらうための第一歩です。
病歴・就労状況等申立書の丁寧な作成
障害年金の申請には、「病歴・就労状況等申立書」という書類を自分で作成して提出する必要があります。
この書類は、発病から現在までの経過や、日常生活や仕事で困っていることを具体的に伝えるためのものです。
診断書だけでは伝えきれない情報を補う大切な書類なので、できるだけ詳しく、具体的に記入しましょう。
専門家(社会保険労務士など)への相談
障害年金の制度は複雑で、申請手続きも煩雑です。ご自身で手続きを進めるのが難しいと感じたら、障害年金専門の社会保険労務士に相談することも検討してみましょう。
専門家は、申請書類の作成サポートや、審査に通りやすくするためのアドバイスなど、心強い味方になってくれます。
相談料や手数料はかかりますが、受給できる可能性を高めるためには有効な手段の一つです。
がんで障害年金はいくらもらえる?等級ごとの受給額の目安
障害年金の受給額は、加入していた年金制度や障害の等級、家族構成などによって異なります。
障害基礎年金(自営業や専業主婦/主夫、学生などが対象)の令和7年度の年金額(定額)
- 1級: 1,039,625円 + 子の加算
- 2級: 831,700円 + 子の加算
※子の加算額:第1子・第2子は各239,300円、第3子以降は各79,800円(子は18歳になった後の最初の3月31日まで、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある場合に加算されます)
障害厚生年金(会社員や公務員などが対象)の年金額
障害厚生年金は、厚生年金に加入していた期間の長さや、その間の給与(標準報酬月額)などに基づいて計算されるため、一人ひとり金額が異なります。
- 1級: (報酬比例の年金額) × 1.25 + 配偶者の加給年金額
- 2級: (報酬比例の年金額) + 配偶者の加給年金額
- 3級: (報酬比例の年金額) ※最低保障額あり(令和7年度は623,800円)
※配偶者の加給年金額:239,300円(配偶者が65歳未満であるなどの条件があります)
詳しくは「2025年(令和7年)に障害年金でもらえる金額はいくら?」のページでご説明していますので、ご参照下さい。
まとめ
がんで障害年金を受給することは、確かに簡単ではない側面もあります。
しかし、諦める必要は全くありません。
ご自身の状態を正確に把握し、必要な情報を集め、適切な準備をすれば、受給できる可能性は十分にあります。
この記事でお伝えしたかったことは、
- がんで障害年金が難しいと言われるのは、障害の状態の評価が複雑なためであること。
- ステージだけでなく、日常生活や仕事への支障の程度が総合的に判断されること。
- 受給のためには、初診日の証明、保険料納付要件、障害認定日の状態という基本的な条件を満たす必要があること。
- 医師との連携、病歴・就労状況等申立書の丁寧な作成、専門家への相談が有効な対策となること。
ということです。
闘病生活は心身ともに大変なことが多いと思いますが、利用できる制度は積極的に活用し、少しでも経済的な負担を軽減して、治療に専念できる環境を整えることが大切です。
この記事が、がん治療を続けられて障害年金申請を検討されている方に少しでもお役に立てましたら幸いです。
わくわく社労士法人が選ばれる理由
2025年6月19日時点で当社宛にお送り頂いた依頼者様からのご感想が536件、Googleに投稿頂いたクチコミが208件あります。
その中から、わくわく社会保険労務士法人を選んで頂いた理由として書いて頂いたものの一部をご紹介します。
【理由1】対応が良かった
一度地元の社労士さんに相談したのですが、「厚生年金は初診証明ができないととても難しい!」との返事で、私も半分、諦めていました。
ですが、YouTubeでよく見ていたわくわくさんに一度相談してみようと思い立ち、電話をさせて頂きました。
受けてくれた方が、とても前向きなご意見で、私も勇気をもらい、こちらにお願いすることに決めました。
(N.Y 様からのご感想)
神経質な部分があり、ささいな事でも気になってしまうのですが、この程度のことをわざわざ聞かない方が良いかな…と思いがちなのですが、貴社は聞いても親切に答えてくださり、本当に何でも聞いて大丈夫だなと安心感しかないです。
優しい文章で送ってくださるので、良い人達だな〜と思っています ^_^
(Y.S 様からのご感想)
【理由2】遠隔でも安心してお願いできた
遠方でも、郵送とLINEでやりとりできると実感して決めました 。
遠方なので、直接お会いしての相談ではなかったけど、TELとLINEと郵送で、安心して進めることができました。
不安な事、わからない事など、TELやLINEで問い合わせると、いつも迅速な対応、解答で、素晴らしかったです。
(O.C 様からのご感想)
遠方からの依頼だったため、お互いに顔が見えない状態でしたので不安もありましたが、担当者様のLINEでの対応がよかったため安心して進められました。
不明な点等の問い合わせや進捗状況についても、レスポンス良くご回答いただけました。
(S.T様からのご感想)
【理由3】事務所に行かずにLINE、電話、メールだけで完結する
対面や電話が苦手なのもあり、LINEと郵送でやり取りできるところがとても良く、自分には合っていると思いました。
LINEで翌日にはご連絡を頂けたので、とてもスムーズに安心してやり取りができました。
(O.S様からのご感想)
全てLINEでのやり取りで良いということで、わくわくさんにお願いしました。
対面でのやり取りや、社労士事務所に行く事が、体調的にも難しいので、すごくありがたかったです。
受給できるのか、結果が出るまでの間不安もあったのですが、分からない事など、全てLINEで丁寧に答えて頂いて、心強かったです。
(S.M 様からのご感想)
【理由4】他の事務所では断られたけれど受けてくれた
初めは、地元の社労士さんに依頼しようとしたが、現状フルタイムで働いているということで、ことごとく断られていた。
困り果てていたときに、こちらの事務所にたどり着き、可能性はあるのでやってみましょうと受けて下さった。
(N.H様からのご感想)
1度落ちたため、他の事務所では断られ、こちらの社労士さんにたどり着きました。
他の社労士さんは話を聞くだけで無理と断られ続けてましたが、こちらの社労士さんに相談して、通る可能性はあると言って頂けて安心しました。
(S.Y 様からのご感想)
【理由5】書類がわかりやすい
申請の状況などをLINEで聞けたり、送られてきた記入しないといけない書類に関しても質問を気軽にすぐできたり、付箋で分かりやすく書いてあったりと、丁寧な所が良かったです。
(匿名様からのご感想)
必要書類も丁寧に詳しい説明(付箋などで)がしてあり、難しいのはなかったです。
また、書く場所など分からない時も優しく教えて頂き、申請までほとんどおんぶにだっこで、私は楽をして待っているだけでした!
(O.M様からのご感想)
【理由6】すべて任せられる
他の社労士さんにも数件問い合わせたが、難しい質問の繰り返しばかりで、診断書は本人がもらう必要があったので、フルサポートで対応してもらえる事が決め手です。
(匿名様からのご感想)
近くの社労事務所へ相談に行きましたが、自分の場合は難しいと。
「病院にカルテが残っていないか」「自分で調べて」とか「通学していた学校に資料が残っていないか調べてみなさい」と。
全部自分でやらされた挙句、「今は忙しいから無理」と「私のケースは難しいので、受理される自信がない」とか「ご自身で申請されたら?」と断られてしまいました。
(わくわく社労士事務所は)全部お任せで申請する事ができました。
前の社労士さんには、いろいろ働かされたので、本当に何もしなくていい事に驚きでした。
不安なことはありませんでした。
(H.C 様からのご感想)
【理由7】口コミが良かった
ネットでいろいろな社労士事務所さんを調べていた中で、わくわく社会保険労務士法人さんのクチコミを見たのが決め手でした。
自分と同じような悩みから救われたというクチコミがたくさんあり、実際利用した人達の声にいちばん説得力があったからです。
(H.Y様からのご感想)
ホームページを見て口コミの内容でお願いしてみようと思いました。
良い口コミばかりでなく低評価のものもあったのですが、その対応の内容が心打たれるものがあり、信念を持ってられるのだと思い決めさせて頂きました。
(K.Y 様からのご感想)