【事例953】心筋梗塞・うっ血性心不全|障害厚生年金3級(人工弁やペースメーカーの手術治療歴が無い事例)

心筋梗塞・うっ血性心不全|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 心筋梗塞・うっ血性心不全
性別 男性
支給額 年額 約86万円
障害の状態
  • 重量物の運搬など重労作は出来ない
  • 医師から歩行はゆっくり行い、坂道や階段の利用は控えるように言われている
  • 月10日程事務職に復帰している
  • 身体障害者手帳なし
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

1年半程前に通勤中の電車内で突然胸の痛みが起こり、その後呼吸困難も出現し、途中下車してすぐに病院へ救急搬送されました。

急性心筋梗塞と診断され、即日、冠動脈にステント留置術と大動脈バルーンパンピング術を受けました。

心筋梗塞にうっ血性心不全を合併していたこともあり2か月程入院加療が続き、退院後は内服加療を継続しています。

現在ペースメーカーの治療などは行っていませんが、買い物の為の外出や布団を干すなどの生活動作でも息切れがあり、発病前に比べて活動は制限されています。

発病後より休職していた仕事は徐々にリハビリ勤務を始めましたが、無理せず安静に移動するために発病前の倍以上の時間をかけて出勤している状況です。

これまで出来ていた家庭内の家事が出来なくなったことで家族へ負担をかけていることやリハビリ勤務にて職場復帰したものの今後これまでと同じような働き方に復職できるか今の身体の状態では判断が出来ず、経済的にも将来に不安を抱えていました。

知人に障害年金受給者がいるため、ネットで自分の状態でも障害年金が受給できるのか調べていましたが判断が難しく、当事務所までお問い合わせいただきました。

 

申請結果

ご相談者様より初めてご相談をいただいたのは初診日から1年数ヶ月経過後位のことでした。

今回のご相談者様の場合は初診日から現在に至るまで障害認定日の特例(ポイント①)に該当するような手術治療歴がなかった為、原則通り初診日から1年6ヶ月経った障害認定日到来後に申請を行うこととなります。

人工弁やペースメーカーのような手術治療歴がなく等級該当が明確ではない状態であった為、血液検査、心電図異常の指摘の有無、医師からの指示、自覚症状や日常生活の様子などのヒアリングを行い、受給の可能性を検討しました。

血液検査結果に基準値を超える異常があり、日常生活上の家事を行ったり、外出時に酷い息切れや呼吸苦などの自覚症状があり、通勤にもこれまでの倍以上の時間を要するなど社会生活にも支障をきたしている状況から、手術治療歴がなくとも障害年金上「3級」に該当する可能性があると考えられました。

障害認定日到来に向け、申請の準備を始め、診断書を取得した時点で想定通り等級該当する可能性が高いことが確認でき、認定日到来後に申請しました。

結果、「障害厚生年金3級」として障害認定日の翌月分から年金が支給されることとなりました。

手術治療歴がない場合の心疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、治療や病状の経過等により認定されることとなります。

特に検査成績上に障害年金の認定基準に定められている異常検査所見があることは必須となりますので、診察時に医師に確認するなど丁寧に可能性を検討していくことが認定への道筋となります。

手術治療歴がないからといって諦めることなく、ご相談くださいませ。

 

【ポイント1】障害認定日の特例(心臓)

障害年金を請求できるようになるのは、原則として初診日から1年6ヶ月を経った日です。この基準日を障害認定日といいます。

しかし、以下の心臓の手術を行った場合、『初診日から1年6ヶ月』と手術日を比べて、どちらか早い方が障害認定日となります。

この障害認定日が初診日から1年6ヶ月以前になることを障害認定日の特例といいます。

  • ペースメーカーを装着した日
  • 人工弁を装着した日
  • 人工血管(ステントグラフト含む)を装着した日
  • ICD(植込み型除細動器)を装着した日
  • CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓同期医療機器)を装着した日

 

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