目次
対象者の基本データ
病名 | 膵頭部癌 |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約58万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
黄疸が現れ受診したところ、検査で膵頭部癌の疑いを指摘されました。
すぐに精査のために転院となります。
転院先で膵頭部癌と診断され、外科的治療、抗がん剤治療を受けることになります。
その後、症状は改善し経過観察目的で通院を続けていましたが、肺への転移が発見され、再び、外科的治療のため入院となります。
退院後は、現在も抗がん剤治療を続けていますが、その副作用で体調の波が激しく、手先も思うように動かせないため就労もできない状態です。
今後も就労の目途が立たずに、経済的にご家族に負担をかけていることを心苦しく思っておられました。
そんな時、ネットで癌でも障害年金を申請できることを知り、弊社にご相談を頂くことになりました。
申請結果
本事例では、「その他の診断書」で申請することになります。(ポイント①)
「その他の診断書」は、あらゆる傷病の申請に対応しているため、がん特有の記載項目や明確な記載方法はなく、審査で重要となるポイントを理解した上で手続きを進めることが大切になります。
がんは発生部位によって現れる症状が様々なだけでなく、治療の経過や治療の効果によって生じる障害も患者様によって様々です。(ポイント②)
現在のご本人様の状態を確認させて頂くと、①外科的治療の効果により、がんそのものによる臓器等への障害はほとんどなく、③がんに対する治療の効果(抗がん剤治療の副作用)による障害がメインとなっていました。
診断書依頼の際は、自覚症状や日常生活での支障を詳細にまとめた資料を作成し、医師に橋渡しをしました。(ポイント③)
しかし、完成した診断書では、抗がん剤治療の副作用による病態が全く反映されておらず、現在のご相談者様の病態が十分には伝わらない内容でした。
そこで、障害年金ではがんそのものによる臓器等への障害だけでなく、抗がん剤治療の副作用も障害年金の対象になることを改めて医師にお伝えしたところ、ご理解を示して頂き、抗がん剤治療の副作用による所見や労働への影響について追記して頂けました。
最後に診断書では伝えられない日常生活の状況などについて、病歴就労状況等申立書に詳述し診断書との整合性を確認後、申請しました。
結果は、「障害厚生年金3級」に認定され、ご相談者様からは、これからは治療に専念できるとお喜びのお言葉を頂きました。
【ポイント1】診断書の種類
障害年金請求に使用する診断書は以下の8種類あります。
①眼の障害用
②聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用
③肢体の障害用
④精神の障害用
⑤呼吸器疾患の障害用
⑥循環器疾患の障害用
⑦腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
⑧血液・造血器・その他の障害用
受給の可能性を1%でも上げるためには、ご自身の障害状態を最も伝えることが出来る診断書を選ぶ必要があります。
症状が多岐にわたる場合は複数の診断書を使用しても構いません。
①~⑦のいずれの傷病にも当てはまらないものは、⑧その他の障害用の診断書を使用します。
その他の障害用の診断書は記載できる項目が他の診断書に比べ限られるため、限られた項目でいかに障害状態を伝えることが出来るかが大切です。
【ポイント2】がんによる障害とは?
がんは、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々で、それによる障害も様々です。
そのため次のように症状を区分して評価されます。
①癌よって生じる局所の障害
②癌による全身の衰弱又は機能の障害
③抗がん剤などの副作用として生じる全身衰弱又は機能の障害
特に注目すべきは③の「治療の過程における副作用」も障害年金の対象となるという点です。
【ポイント3】医師への診断書作成依頼
「障害年金の請求を考えている」ことを医師にあらかじめ相談しておかれると、診断書の作成がとてもスムーズです。
中には、医師から障害年金の請求を勧められて当事務所へご相談にお見えになる方もいらっしゃいますが、そうではない場合、いきなり診断書作成を医師にお願いすると、作成することを躊躇されることがあります。
障害年金制度や障害年金用の診断書の作成に馴染みがないという医師もいらっしゃる場合があります。
障害年金の請求には、医師に診断書を書いていただく必要があるので、できる限りの協力を得られるとよいですね。
その他の癌(がん)の事例
癌(がん)の障害の新着事例
よく読まれる癌(がん)の事例