【事例818】潰瘍性大腸炎(人工肛門)|障害厚生年金3級

潰瘍性大腸炎(人工肛門)|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 潰瘍性大腸炎(人工肛門)
性別 男性
支給額 年額 約59万円
障害の状態
  • 人工肛門(ストーマ)造設している
  • 慢性的な下血、出血、血便、下痢等の症状は継続している
  • ストーマ合併症により、業務への支障制限が生じている
  • 身体障害者手帳4級
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

10代の頃、腹痛が出現し下痢を1日5~6回も繰り返すようになり様子を見ていましたが、血便がみられたため医療機関を受診することにしました。

問診、触診にて精密検査をしたほうがよいとのことで、即入院となりました。

その後、数日間にわたって検査が行われた結果、「潰瘍性大腸炎」と診断されました。

しばらく通院して経過観察をしていましたが、度々、腹痛や下痢、血便がみられ、症状は増悪。

再度、入院加療を行い、一旦症状は落ち着き、検査でも異常は認めない程改善しました。

自覚症状も完全になくなり、その後6年間ほどは通常の日常生活を送れており、接客業の仕事もフルタイムで勤務できていました。

ところが、ある日、腹痛、下痢、発熱の症状が見られたため、風邪だと思い様子を見ていたところ、血便を確認したため医療機関を受診。

各種検査の結果、潰瘍性大腸炎の再発と診断されました。

投薬による治療を行っていましたが、症状は徐々に悪化し、日常生活にも支障をきたし一人暮らしを継続できなくなったため実家へ戻ることになりました。

病状は一進一退で、度々入院をしての治療が必要となりました。

血尿、気尿、発熱が見られたため検査をしたところ、S字結腸膀胱瘻と診断されました。

腹腔内膿瘍が長引き細菌感染による発熱が続き、ついには人工肛門の手術をすることとなりました。

現在も継続して治療をしていますが、症状に改善が見られないため、大腸全摘手術も検討する段階となっています。

人工肛門の手術を受けた場合、障害年金の対象になるということを知人に教えてもらい、当事務所にお問い合わせいただきました。

 

申請結果

ご相談者様は現在人工肛門を造設されていますので、障害年金上では原則「3級」に該当します。(ポイント①)

3級は初診日時点で厚生年金や共済年金に加入していた方のみが受給の対象となります。(ポイント②)

今回の申請で考えられる初診日は次のA時点又はB時点のいずれかでした。

A時点:「10代の頃」⇒障害基礎年金の対象
B時点:「再発後受診時の厚生年金加入期間中」⇒障害厚生年金の対象

治療歴等の詳細をお伺いすると、A時点とB時点の間の約6年間は自覚症状もなく、日常生活も就労も支障なく過ごせていた期間であったため、この期間を社会的治癒期間として主張し、再発後のB時点を初診日として申し立てていく方針としました。(ポイント③)

B時点の再発後に受診した医療機関にて受診状況等証明書を取得し、現在通院中の病院で診断書を取得しました。

取得した受診状況等証明書及び診断書にも社会的治癒期間前の治療歴の記載がありましたが、医証の内容だけではわからない社会的治癒期間前の治療状況や社会的期間中の様子などを病歴就労状況等申立書にて詳述し、申請しました。

結果、社会的治癒が認められ、申し立てたB時点を初診日として「障害厚生年金3級」の年金が支給されることとなりました。

 

【ポイント1】 人工肛門、新膀胱の等級について

人工肛門又は新膀胱を造設したもの若しくは尿路変更術を施したものは、3級と認定されます。

以下のように、これらを合わせて手術をした場合は、2級と認定する。

  • 人工肛門+新膀胱
  • 人工肛門+尿路変更
  • 人工肛門+完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)

なお、手術をしてもなお症状が悪い場合には、全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断し、さらに上位等級として認定されることもあります。

 

【ポイント2】『初診日に加入していた年金制度』と『受給できる等級』

障害年金には主に3種類あり、いずれを申請するかは『初診日に加入していた年金制度』により決まります。

①初診日に国民年金に加入していた場合は『障害基礎年金』

  • 対象:20歳未満のため未加入、アルバイト、自営業、主婦等の第3号被保険者、免除申請中等
  • 等級:1,2級のいずれかに該当(※)3級はありません。
  • 加算:2級以上で子の加算

②初診日に厚生年金に加入していた場合は『障害厚生年金』

  • 対象:会社員、社会保険に加入しているアルバイト等
  • 等級:1,2、3級のいずれかに該当
  • 加算:2級以上で子・配偶者加算

③初診日に共済年金に加入していた場合は『障害共済年金』

  • 対象:公務員等
  • 等級:1,2、3級のいずれかに該当
  • 加算:2級以上で子・配偶者加算

初診日による等級の違いは、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

【ポイント3】社会的治癒

社会的治癒が認められると、初診日が変わります。

社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。

今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。

障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!

社会的治癒の事例
障害年金制度の社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。

 

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