【事例538】うつ病|障害厚生年金3級(障害者雇用で就労している事例)

うつ病の障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 鬱病(うつびょう)
性別 男性
支給額 年額 約59万円
障害の状態
  • 障害者雇用で事務の仕事に従事している。
  • 家族以外とのコミュニケーションは困難。
  • 家事や身の回りの事も家族のサポートが必要。
  • 精神障害者保健福祉手帳 2級
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

ご相談者様は、職場で上司から叱責されることが増え、段々と気分が落込み、何事にも意欲が湧かなくなったそうです。

暫く様子を見ていましたが、症状が改善せず、仕事だけでなく日常生活にも支障が出てきたため、受診されます。

病院では、適応障害と診断され、仕事も長期休職となりました。

休職して療養できたことで、症状が軽減したので、受診を中断し、仕事に復帰します。

しかし、復帰後、暫くして、以前と同じような症状が現れ、職場では上司や同僚とのコミュニケーションも取れなくなります。

再び、通院を始めましたが、病状が改善せず、医師の勧めで入院することになりました。

1ヵ月程で退院となりましたが、以前と同じように働くことができなくなり、障害者雇用で、上司からの見守りなど手厚い配慮の元、なんとか就労を続けています。

ただ、収入も減り、また、いつまで仕事を続けられるかもわからず、強い不安をお持ちでした。

そんな時、医師から障害年金の申請を勧められました。

早速、ネットで申請方法などを調べましたが、とても自分で手続きを進めていく事はできないと思い、当事務所に代行についてのご相談を頂く事になりました。

 

申請結果

本事例では、まず、申請方法を検討しました。<ポイント①>

ご相談者様は、障害認定日の頃は、正社員としてフルタイムで勤務されていました。

そのため、遡及請求は難しく、事後重症請求を提案させて頂きました。

しかし、遡及にチャレンジしたいというご相談者様の強いご希望があり、遡及請求での手続きとなりました。

揃える医証は、「受診状況等証明書」(初診日の証明)、「障害認定日の診断書」、「請求日以前3カ月以内の診断書」です。<ポイント②>

初診日は5年以上前でしたが、カルテが残っており、スムーズに「受診状況等証明書」は取得できました。

初診日が確定でき、診断書の依頼になります。

診断書は、2部必要になりますので、診断書依頼の際は、障害認定日頃と現在の就労状況や日常生活についての資料をそれぞれ作成し、医師に橋渡しをしました。

完成した診断書にはご相談者様の状態が正確に反映されていました。

就労についても、仕事内容だけでなく、同僚との意思疎通、職場での配慮についても記載されていました。<ポイント③>

遡及の認定には不安が残りましたが、全ての書類が揃い申請となりました。

結果は、『障害厚生年金3級』に認定されましたが、遡及に関しては残念ですが、認められませんでした。

 

【ポイント1】「事後重症請求」と「遡及請求」

本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。

『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。

つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。

注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。

遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。

 

【ポイント2】初診病院と現病院が同じ場合の医証

障害年金では医師に記載して貰う書類(医証)は下記のとおり複数枚あることが基本です。

①初めて受診した病院で記載してもらう『受診状況等証明書』が1枚
②現在の病院で書いてもらう『診断書』が1枚

一方、初診から現在まで同じ病院で、今後の障害年金のみを請求する場合は、①が不要となり、②の1枚でOKです。

(※)認定日請求といって過去にさかのぼって申請を行うときはさらにもう1枚必要となることがあります。

 

【ポイント3】精神疾患と就労

必ずしも「就労している=不支給」とは限りません。

とはいえ、精神疾患の場合は、審査上、就労の有無が重要なポイントとなってきます。

就労している継続年数や、就労形態についても審査では見られます。

就労している場合は、会社から受けている配慮や、帰宅後や休日の体調などを申し立てることも必要です。

たとえば、体調が悪化した場合の早退、通院のための遅刻や、その他、業務を行う上での配慮を受けていれば、そのあたりも記載します。

また、なんとかがんばって会社に行けても、帰宅した途端どっと疲れが出て寝込んでしまう場合や、休日は家事も一切できない場合なども、医師にしっかり伝え、診断書に反映していただくことも大切です。

障害年金と就労に関しては以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

その他の精神の事例

 

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