【事例530】左変形性股関節症(人工関節)|障害厚生年金3級

変形性膝関節症(人工関節)|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 左変形性股関節症(人工関節)
性別 女性
支給額 年額 約59万円
障害の状態
  • 1年間のギプス固定が終了した後は、通院を継続していない
  • 症状が無く、通院していない期間は約30年間
  • 社会人となって以降、現在に至るまで厚生年金に加入
  • 術後の経過は順調で、現在は生活・就労ともに支障はなし
  • 身体障害者手帳なし
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

ご相談者様がもともと「先天性股関節脱臼」と「発育性股関節形成不全」と診断され、乳児期は1年間程ギプス固定をされていたそうです。

ただその後は問題なく成長。学生時代は運動部に所属し、社会人となった後も趣味でスポーツをされていたとのことでした。

ところが30代頃より、どうも足に違和感を感じ始めました。長時間歩くと股関節付近に痛みが出てしまったそうです

しかし翌日になると痛みは消えていたため、あまり深く考えずに過ごしていましたが、時が経つにつれて痛みが長引くようになりました。

痛みを感じ始めてから約15年後、軽い歩行でも足に強い痛みが走り、いよいよおかしいという事で病院を受診。結果「変形性股関節症」との診断を受けました。

しばらく経過観察となった後、60歳頃に「人工股関節置換術」を受けました。

その際、知人から「人工関節でも障害年金が貰えるみたいだよ」と教えられ、ネットで調べたところ当事務所を見つけ、ご相談に至りました。

 

申請結果

障害年金では人工関節は「3級」と定められており、3級は「初診日に厚生年金・共済年金に加入していた方のみ」にある等級で、ご相談者の場合は社会人となった以降、継続して厚生年金に加入していたことから認定される可能性が高いと判断できました。(ポイント①)

しかし課題となったのは「先天性股関節脱臼等と診断されたことがある」という点です。

このようなケースでは「先天性股関節脱臼等で初めて病院を受診した日」が初診日とされる可能性があります。

当然その頃は厚生年金には加入していないため、3級認定はされず、不支給となってしまいます。

そこで対策として「社会的治癒」を申し立てることとしました。(ポイント②)

社会的治癒とは、一定の要件を満たすと「発症後に治癒し、その後に再発した日を初診日」と取り扱って貰えます。

ご相談者様は、先天性股関節脱臼等の治療以降、長らく症状も無く、通院もしておらず、社会人となってからは就労も行っていたことから、この社会的治癒に該当すると考えられ、病歴就労状況等申立書にて主張を行いました。

申請の結果、社会的治癒期間後の申し立てた初診日が認められ、「障害厚生年金3級」として永久認定されました。

 

【ポイント1】『初診日に加入していた年金制度』と『受給できる等級』

障害年金には主に3種類あり、いずれを申請するかは『初診日に加入していた年金制度』により決まります。

①初診日に国民年金に加入していた場合は『障害基礎年金』

  • 対象:20歳未満のため未加入、アルバイト、自営業、主婦等の第3号被保険者、免除申請中等
  • 等級:1,2級のいずれかに該当(※)3級はありません。
  • 加算:2級以上で子の加算

②初診日に厚生年金に加入していた場合は『障害厚生年金』

  • 対象:会社員、社会保険に加入しているアルバイト等
  • 等級:1,2、3級のいずれかに該当
  • 加算:2級以上で子・配偶者加算

③初診日に共済年金に加入していた場合は『障害共済年金』

  • 対象:公務員等
  • 等級:1,2、3級のいずれかに該当
  • 加算:2級以上で子・配偶者加算

初診日による等級の違いは、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

【ポイント2】社会的治癒

社会的治癒が認められると、初診日が変わります。

社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。

今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。

障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!

 

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