目次
対象者の基本データ
病名 | 膵尾部癌・肺転移・腹膜播種 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約152万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
50歳になった頃、左横腹が常にシクシクと痛み、めまいが現れたとのことです。
痛みの範囲は、横腹から背中まで広がり、食事もあまり摂れない状態となりました。
普段、疲れや痛みを口にしないのに「痛い」と言い続けることに、家族も強い不安を感じ、近くの病院を受診したところステージ4の膵臓がんと判明しました。
治療を開始すると、自分が働けないことによる家族への負担や、将来への不安を考える事が増えたといいます。
しかし、焦りとは裏腹に症状は悪くなる一方でした。
そのような中、病院の相談員の方から障害年金の可能性があると教えてもらいました。
すぐさま、年金事務所へ相談に行ったのですが、「がんで障害年金は難しい」と言われガッカリして帰ったといいます。
ただ、がんの治療を続けるには治療費が多く掛かるため、ダメ元で専門家へ相談して、それでも無理なら諦めようとネット経由で当事務所へ相談を頂きました。
申請結果
がんによる申請はなんといってもスピードが大切です。
それは、がんという病気の特徴からいつ病状が急変するかわからないという事があるからです。
1日でも早く年金事務所へ申請出来るようチームでロスの無い動きを共有して着手しました。
申請でまずはじめに行うことは、現在の症状が「どの基準に当てはめるか」を見極める事です。
というのも、ご相談者様は「膵臓」にがんが発症していましたが、障害年金の認定基準には「膵臓の障害」という基準はありません。
そのため、今現在ある「症状」が、認定基準のどれに該当する可能性があるか判断していきます。(参照:ポイント①)
症状の区分が出来ると、次は「どの診断書を使うか」を検討していきます。
今回は、抗がん剤治療による全身の副作用をメインに申請することとして、
「血液・造血器・その他の診断書(様式第120号の7)」に記載していただくことにしました。(参照:ポイント②)
その他の診断書はあらゆる疾患に対応しているため、明確な記載方法が無く、診断書の用紙だけ医師に渡しても「何を書いてほしいのかわからない」といった状態に陥ります。(参照:ポイント③)
そこで、診断書作成依頼時の資料を充実させることにしました。
ステージ分類や転移がんの有無、副作用や必要な検査結果等「審査で重要となる事項」を示し、診断書内に記載して頂きました。
また副作用による倦怠感や疲労感、食欲不振など、検査結果で表せないものは、症状の程度、日常生活の支援内容、日頃の様子などをまとめた資料をお渡することで、診断書に反映して頂けました。
申立書には診断書に反映しきれないことを補足する形で作成し、ご相談者様の現状をより深く理解できるよう工夫しました。
結果、無事、障害厚生年金2級と認定されました。
【ポイント1】がんによる障害とは?
がんは、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々で、それによる障害も様々です。
そのため次のように症状を区分して評価されます。
①癌よって生じる局所の障害
②癌による全身の衰弱又は機能の障害
③抗がん剤などの副作用として生じる全身衰弱又は機能の障害
特に注目すべきは③の「治療の過程における副作用」も障害年金の対象となるという点です。
【ポイント2】診断書の種類
障害年金請求に使用する診断書は以下の8種類あります。
①眼の障害用
②聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用
③肢体の障害用
④精神の障害用
⑤呼吸器疾患の障害用
⑥循環器疾患の障害用
⑦腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
⑧血液・造血器・その他の障害用
受給の可能性を1%でも上げるためには、ご自身の障害状態を最も伝えることが出来る診断書を選ぶ必要があります。
症状が多岐にわたる場合は複数の診断書を使用しても構いません。
①~⑦のいずれの傷病にも当てはまらないものは、⑧その他の障害用の診断書を使用します。
その他の障害用の診断書は記載できる項目が他の診断書に比べ限られるため、限られた項目でいかに障害状態を伝えることが出来るかが大切です。
【ポイント3】医師は診断書を書くプロではない
医師は病気の治療に関するプロであって、診断書を記載するプロという訳ではありません。
とくに障害年金の診断書は、障がい者手帳等と異なり特別な訓練などもありません。
そこで大切になるのが「障害年金上の評価方法」をしっかりお伝えすることです。
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