目次
対象者の基本データ
病名 | 1型糖尿病 |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約58万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
20年程前に倦怠感、異常な喉の渇き、体重の減少を自覚するようになり、医療機関へ受診されたそうです。
「1型糖尿病」と診断を受け、即日入院するように指示を受け、すぐにインスリン治療が始まりました。
治療を継続していましたが、低血糖の症状は頻回にあり、倦怠感、体重の減少などの症状は引き続いてあり、発病以降はこれまでと同じ仕事を継続することは困難で、日常生活の家事や育児にも支障をきたし、家族のサポートが必要な状況が続いていました。
将来への不安があり、2年程前にご自身で障害年金の請求を行いましたが、結果は不支給。
病状が以前よりも悪化していることもあり、再度申請して受給の可能性がないか当事務所にご相談をいただきました。
申請結果
過去に申請歴があるとのことでしたので、過去の申請書類一式を拝見させていただき、再度申請して可能性があるのかどうか、また不支給の原因を見つけることから手続きを始めました。
過去の申請書類から初診日の証明は問題なく出来ていることが確認できたため、障害の程度がうまく申請書類に反映出来ていないことが想定出来ました。
合併症のない糖尿病での申請では、「初診日要件」と「障害の程度」がポイントとなります。(ポイント②)
ご相談者様の場合、初診日時点で厚生年金に加入していたため、現在の障害の程度を申請書類に反映することができれば、再度申請して認定される可能性が高いと考えました。
通常の申請では、初診日の証明から準備を始めますが、過去に同一傷病で申請歴があり、同一の初診日で再請求する場合は一定の要件を満たしていれば、新たに初診日証明書類を取得し直さなくとも、再請求する事が出来ます。(ポイント③)
前回証明書類を再請求時における初診日証明書類として用いることで初診日の証明書類を整え、診断書の依頼へと手続きを進めました。
診断書の様式をお渡しするだけでなく、診断書の評価方法について参考資料を主治医の先生に橋渡しすることで今回は障害の状態を診断書に的確に反映していただくことが出来ました。
申請の結果、「障害厚生年金3級」として認定されました。
【ポイント1】一度不支給となっていても受給の可能性あり
過去に不支給となっても、障害年金を再度申請することは可能です。
大切なのは「なぜ不支給となったか」原因を見つけることです。
原因を見つけるのは慣れていないと難しいこともありますので、ぜひ専門家にご相談ください。
【ポイント2】糖尿病による障害認定基準
糖尿病での障害認定基準は平成28年6月1日に一部改正がなされています。
必要な治療を行ってもなお、血糖コントロールが困難な症状の方は、障害等級「3級」と認定されます。
具体的には以下の全ての条件を満たす方が対象となります。
①90日以上継続してインスリン治療を行っているもの
②以下のいずれかに該当するもの
- 空腹時または随時の血清Cペプチド値が0.3ng/ml未満を示す
- 意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上あるもの
- インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシスまたは高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもの
③日常生活の制限が一定程度のもの
※ただし症状、検査成績、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定される可能性があります。
【ポイント3】同一傷病かつ同一初診日で障害年金を再請求する場合における初診日証明
障害年金の請求には、障害の原因となった傷病にかかる初診日を明らかにすることができる初診日証明書類が必ず必要とされています。
これは再請求をする際にも同様です。
前回と同じ書類とはいえ、初診日証明書類を取得するためには費用や労力がかかることが懸念されます。
そこで請求者の手続き負担軽減のため、”同一傷病かつ同一初診日で障害年金を再請求する場合”においては次の①、②いずれにも該当する場合は「前回請求時の初診日証明書類のコピー」と「①の申出書」を提出することで新たに初診日証明書類を再取得し直さずとも、再請求時の初診日証明書類とする事ができるものとされています。
- ①請求者が再請求時において、請求書に添えて、前回証明書類を再請求時における初診日証明書類として用いる事を希望する旨の申出書を提出していること
- ② ①の申出書の提出を受けて、日本年金機構において前回証明書類の存在を確認できること
ただし、前回請求時の初診日が認められずに却下された場合については上記取扱いを受けることは出来ませんので注意が必要です。