【事例412】クローン病|障害基礎年金2級(カルテが既に破棄されていた事例)

クローン病|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 クローン病
性別 女性
支給額 年額 約101万円
障害の状態
  • 体力の消耗、倦怠感、疲労感が強く、単独では外出困難
  • 在宅IVHと経管栄養での水分とカロリーの摂取が必要で1日の半分以上をベッド上で過ごしている
  • 人工肛門再増設あり
  • 身体障害者手帳4級
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

中学生の頃に腹痛と下痢が日を追うごとに頻回となり、発熱も伴うようになり、学校を欠席する事が増え、不安になり医療機関へ通院するようになりました。

血液検査の結果から即日入院を勧められ、各種検査より「クローン病」と診断を受け、治療が始まりました。

治療が始まってからは寛解期と活動期を繰り返し、障害がありながらも学生生活を過ごし、社会人になってからは普通に家事をこなしたり、働くことが出来ている時期もありました。

しかし、2年前の手術を境に体力低下・倦怠感、易疲労感が著しく、日中の活動も数時間に限られ、毎日在宅での点滴が欠かせなくなり1日の半分以上をベッドで過ごすことになりました。

家族への負担やこの状態がいつまで続くのかという将来への不安から病院の相談コーナーにて障害年金の請求準備を進めていましたが、相談を重ねるうちに「受給が厳しいかも、、」というニュアンスのことを何度か言われ、体調の悪い中書類作成をしていたこともあり、心が折れ、途中で手続きを中断していました。

半ば諦めかけていた時にTwitterより当事務所のことを知り、一度相談だけでもと思い、お問い合わせいただきました。

 

申請結果

ご相談者様から状況をお伺いし、受給の可能性があると思った為、すぐに申請の手続きに着手しました。

ご自身で準備をされていた書類を引き継ぎ、必要となる書類の精査から始めました。

既に初診時点のカルテは破棄されていたため、当時の主治医をあたり、主治医の記憶を基に作成された受診状況等証明書を取得されていました。

当時の主治医が作成したものであっても、初診日の証明となる受診状況等証明書はカルテを基に記載されたものでなければ、それだけでは初診日の証明としては不十分で認められない可能性があります。(ポイント①)

そのため、既に取得されている証明書を確たるものとする為、次に受診した病院でカルテを基に受診状況等証明書を作成していただき、相互に記載されている内容に相違がないことを確認し、客観的にみても明らかにわかるよう受診状況等証明書2枚で初診日の証明とすることとしました。

初診日が確定した為、次に診断書の依頼を行います。

クローン病はこの傷病専用となる診断書の様式がないため、その他の障害用(様式120号の7)を使用します。(ポイント②)

傷病特有の専用様式ではない分、記載出来る項目が限られている為、病状や治療経過だけでなく、診察時には伝えきれていない自覚症状や日常生活状況等を限られたスペースの中にも反映してもらえるよう参考となる資料を添付し、診断書の依頼を行い、実際の状況が十分に反映された診断書を作成していただくことが出来ました。

申請の結果、障害基礎年金2級として認定されました。

 

【ポイント1】受診状況等証明書はカルテをもとに記載する

障害年金の申請には、初診日を記載する「受診状況等証明書」という専用様式があります。

この様式は必ず「カルテ」をもとに、初診病院にて記載してもらいます。

カルテ以外の入院記録や受付簿、レセプトなどをもとに記載しても、初診日を証明できた事にはならず不支給となるケースもあります。

 

【ポイント2】診断書の種類

障害年金請求に使用する診断書は以下の8種類あります。

①眼の障害用
②聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用
③肢体の障害用
④精神の障害用
⑤呼吸器疾患の障害用
⑥循環器疾患の障害用
⑦腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
⑧血液・造血器・その他の障害用

受給の可能性を1%でも上げるためには、ご自身の障害状態を最も伝えることが出来る診断書を選ぶ必要があります。

症状が多岐にわたる場合は複数の診断書を使用しても構いません。

①~⑦のいずれの傷病にも当てはまらないものは、⑧その他の障害用の診断書を使用します。

その他の障害用の診断書は記載できる項目が他の診断書に比べ限られるため、限られた項目でいかに障害状態を伝えることが出来るかが大切です。

 

その他の事例

 

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