【事例313】うつ病|障害基礎年金2級(初診の病院が内科だった事例)

うつ病|障害基礎年金2級 

対象者の基本データ

病名 鬱病(うつびょう)
性別 女性
支給額 年額 約78万円
障害の状態
  • 仕事は出来ない
  • 家に引きこもって家族の助けで生活している
  • 気分の落ち込み、倦怠感、悪夢など
  • 精神障害者保健福祉手帳:2級
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

中学の頃よりテスト前になるとストレスにより腹痛や下痢が現れていました。

高校に入学する頃には腹痛が慢性化して、週に2-3回は下痢で学校を休んでいたとのことでした。

腹痛・下痢・動悸・偏頭痛等の症状から精神的にも弱っていた為、18歳の時に両親に連れられて1度だけA内科を受診したところ、過敏性腸症候群・胃腸炎として診断を受けました。

その後は体調は改善しないものの、我慢をしながら過ごしていました。

高校を卒業した後はアルバイトをはじめましたが、易疲労・倦怠感等を感じ欠勤が多く、就労中や出勤前は辛く感じ泣く事が多かったといいます。

そこでB精神科を受診したところ、うつ病と診断をされました。

その後、1ヶ月に1回程度の通院で治療を行いましたが一向に改善しませんでした。

家に引きこもった生活を送る中で、障害年金を知り自力で手続きを開始しましたが、B精神科を受診した時期が国民年金の納付が出来ていなかったため、諦めかけていたとのことでした。

そんな中、最後の希望を掛けて、当事務所へ相談の連絡を頂きました。

 

申請結果

今回のポイントは何と言っても初診日がいつかという問題でした。(ポイント①)

一見するとB精神科を初めて受診した日が初診日のように考えられます。

しかしその時点では国民年金を滞納しており障害年金を受給することが出来ませんでした。

そういった場合であっても、絶対に「初診日を意図的に変える」ことを考えてはいけません。

初診日が変わる可能性があるのは以下のいずれかに限定されます。

  • 相当因果関係(ポイント②)
  • 社会的治癒(ポイント③)

今回のケースでは唯一の可能性があるのがA内科の受診日(過敏性腸症候群)が、うつ病の初診になるかというのが一番のポイントでした。

つまり、過敏性腸症候群とうつ病の間に相当因果関係が認められれば、障害年金を受給出来る可能性が見えてくるということです。

A内科を受診した際に、うつ病につながるような症状を訴えていればA内科が初診日として認められる可能性がありました。

しかし調査の結果、カルテにそのような記述はありませんでした。

こういった場合、精神科以外の診療科を初診日として認められることは大変むずかしい傾向があります。

続いて、B病院へ問い合わせをしたところ、B病院を初めて受診した際に、A内科を受診した経緯の事が、かすかに記載されていることが分かりました。

すぐに診断書へ、その内容を反映していただくことが出来ました。

また、病歴就労状況等申立書にも、中学時代からメンタル的に不安定だったエピソードを盛り込んで請求を行いました。

その結果、障害基礎年金2級として認定されました。

 

【ポイント1】初診日が大切な理由

障害年金では、初診日が最も重要とされています。

なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。

 

①制度加入要件

初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。

 

②保険料納付要件

障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。

 

③障害認定日の起算点

原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。

これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。

初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

【ポイント2】相当因果関係について

「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。

つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。

例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。

  • 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
  • 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
  • 肝炎→肝硬変
  • 結核の化学療法による副作用として聴力障害
  • ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
  • 事故または脳血管疾患→精神障害

他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。

 

【ポイント3】社会的治癒

社会的治癒が認められると、初診日が変わります。

社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。

今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。

障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!

 

その他の精神の事例

 

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