【事例29】双極性障害|障害共済年金2級(過去にアルコール依存症だった事例)

双極性障害|障害共済年金2級

対象者の基本データ

病名 双極性障害(そうきょくせいしょうがい)
性別 女性
支給額 年額 約202万円
障害の状態
  • アルコール依存症であったが、現在は断酒している
  • 意欲低下が著しく自宅に引きこもっている
  • 身のまわりの事さえ家族の支援を要する
  • 症状増悪のため退職し、以降は無職
  • 精神障害者保健福祉手帳は持っていない
申請結果 障害共済年金2級

 

ご相談までの経緯

地方公務員として働いていたご相談者さまは、40歳頃より過労やストレス等から抑うつ状態となり、それを紛らわすためお酒を呑むようになったそうです。

しかし症状は変わらず飲酒量も増えたことから、メンタルクリニックを受診し『うつ病』として治療を開始しました。

症状は一時軽快したものの、41歳の時に職場で異動がありこれを機にストレスが増加。

一気に症状が悪化し飲酒量も増えた結果、病院にてアルコール依存症と診断されたそうです。

以降、症状は一喜一憂し、就労も休職と復職を繰り返す状態となりました。

そんな中、アルコール依存治療を受けられる病院へと転医したところ、46歳の時に断酒に成功しました。

これで症状が改善すると思ったのですが、うつ病が軽快することは無く、就労困難となり職場を退職。

以降は自宅に引きこもる状態が続いており、現在、生活は家族の支援により成り立っている状況との事でした。

家族に頼っている状況に自責の念が強くなるも、とても働ける状況にないとの事で、障害年金を受給したいと当事務所にご相談がありました。

 

申請結果

障害年金ではアルコール依存による障害も対象となっていますが、実態としては認定を得ることはなかなか難しく、不支給となるケースが多くあります。(ポイント①)

また断酒しても精神症状がある場合は認定されることもありますが、断酒して間もないと、上記同様に不支給となることがあります。

ご相談者さまの場合、現在は断酒していますが、アルコール依存歴があったことから、申請内容によっては不支給となる可能性があった為、対策を必要としました。

対策として『断酒している事実』と『断酒を開始した時期』を診断書に明記し、現在の精神障害が飲酒によるものでないことを主張しました。

また、申立書における発病からこれまでの経緯について、症状・就労状況・日常生活への支障等を記載するとともに、断酒に至るまでの経緯も明らかとし、より詳細な背景を申立てていきました。

その結果、アルコール依存が審査に影響することは無く『障害年金3級』と、無事に認定がなされました。

しかしご相談者さまの障害程度は、身のまわりの事もままならない程であり、到底3級にとどまるとは思えません。

申請内容と審査結果があまりに解離していることから、審査した共済組合に申立てを行ったところ等級が3級から『2級』へと変更されることとなりました。

 

【ポイント1】アルコール依存症と障害年金

障害年金ではアルコール依存症も支給の対象とされています。(※精神病の症状がない急性中毒や、明らかな身体依存が無い場合は障害年金の対象外となります。)

ただし、実際の審査の傾向を見てみるとアルコール依存症での認定は非常に厳しいのが現状です。

過去にはアルコールの飲酒量のアンケートが厚生労働省から送付されたという事例もあります。

これは、過去の専門家会合にて、委員から「お酒が原因で悪くなっている人を税金や保険料で救済するのは問題がある」という意見が出たことと関係している可能性があります。

 

【ポイント2】障害共済年金の手続きについて

初診日の段階で共済年金に加入していた場合、障害共済年金での請求となります。

障害共済年金による請求の場合、一般的な基礎年金や厚生年金の請求と比べて、必要な書類や提出のタイミングが異なる事があります。

まずは加入していた共済組合へ連絡して手続きの方法を確認してから着手することとなります。

 

その他の精神の事例

 

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