目次
対象者の基本データ
病名 | ブルガダ症候群(ICD) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約58万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は、35歳の時に会社の健診で心電図異常の指摘を受けたそうです。
小学生時代にも不整脈の指摘を受けたことがありましたが、その後も問題なく生活出来ていた為「今回も大丈夫だろう」と考えたものの、要精密検査であったことから念のために病院を受診しました。
しかし病院でホルダー心電図検査を実施した結果、高度の房室ブロックが認められ、その後『ブルガダ型心電図』と診断を受けました。
ただ直ちに治療を要する状態で無かったことから、経過観察となりました。
それから約1年後に意識障害等の症状を発症し救急搬送され、検査を行ったところ『ブルガダ症候群』と診断されました。
その後ICD埋め込み術を行ったそうです。
術後、少しの動作でも息切れを起こす等の症状があり、もともと力仕事を行っていたご相談者様は医師から就労を止められてしまったとのこと。
結局、職場の退職を余儀なくされました。
体調のことを考慮すると就労にはどうしても制限があり、不安や焦燥感が強くなっていたとき、たまたまインターネットで『ペースメーカーで障害年金を受給』といった記事を目にし、自身も受給の可能性があるのかと考え、当事務所にご相談がありました。
申請結果
まず、障害認定基準に照らし合わせると『ICDを装着した場合』は、原則3級です。
しかし3級は初診時点に「厚生年金や共済年金」に加入していたときに限り認められている等級のため、初診において国民年金・または20歳未満だった場合は不支給とされてしまいます。(ポイント①)
今回のケースは『小学校時に不整脈と指摘された日』を初診日と認定される可能性があり、その場合は不支給となります。(ポイント②)
そこで申請では『社会的治癒』を主張していく方針を取りました。(ポイント③)
社会的治癒が認められると、一定要件を満たすと傷病があっても一度治ったものとして取り扱い、その後症状が出たときは『再発』したとして、再発時に病院を受診した日を初診日とすることが出来ます。
病歴就労状況等申立書には『不整脈を指摘された時からその後再発するまで』の間、症状が無かったこと・通院していなかったこと・生活に支障が無かったことなどを明記することで社会的治癒を立証していきました。
その他の申請書類も、再発時を初診日として一貫した内容にて申請を行いました。
審査の結果、課題となっていた社会的治癒が無事に認められ『障害厚生年金3級』の認定を得ることができました。
【ポイント1】初診日と障害年金
障害年金では初診日に「国民年金・厚生年金」のいずれに加入していたかで、請求する障害年金種類が異なります。
(※)初診:国年=障害基礎年金、厚年=障害厚生年金
障害厚生年金の方が、基礎にはない(3級、配偶者加算、給与による支給額の増加)など、有利な点があります。
【ポイント2】 相当因果関係
「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。
つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。
例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。
- 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
- 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
- 肝炎→肝硬変
- 結核の化学療法による副作用として聴力障害
- ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
- 事故または脳血管疾患→精神障害
他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。
【ポイント3】 社会的治癒
社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。(※詳しくは『社会的治癒とは』をご参照下さい。)
社会的治癒が認められると、初診日が変わります。
今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。
障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!
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