目次
対象者の基本データ
病名 | 全身性エリテマトーデス(SLE) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約150万円 遡及金額 約730万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
高校3年生の時に受けた健康診断で異常を指摘されました。
検査を受けたところ、膠原病の疑いと診断されたとのことです。
進学後は、年に一回の定期健診を受診して経過観察をしていました。
当時は特に自覚症状も無く、全身性エリテマトーデス(SLE)の確定診断を受けることもなかった為、何ら治療を行いませんでした。
学校を卒業後は看護師としてハードな仕事に就いていましたが、その間も何ら制限もなく働いていたということです。
25歳の頃より突然、手足の関節痛や発熱、顔面発疹などの症状が現れました。
すぐに病院で精密検査を行ったところ全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され入院治療を行いました。
仕事はこれまでのような無理が出来なくなったため上司と相談のうえ負担の少ない働き方に変えてもらいながら続けられました。
しかし、常に体調に波があり悪い時は重度の倦怠感や易疲労感から一日中横になって過ごし、日常生活は全般的に両親の助けを受けながら生活をしていた時期もあったとのことです。
40代後半までにステロイドの調整や免疫抑制剤、生物学的製剤などを試してきましたが
症状は改善されず、家事や外出にも支障をきたすようになりました。
期待するように治療が進まず症状が悪化する中で仕事を続ける事が出来なくなりました。
将来を考え不安を抱えている中で障害年金を知ったとのことです。
しかし調べれば調べるほど、ご自身の申請が難しいということがわかりtwitterよりご連絡を頂きました。
申請結果
今回の請求はには2つの大きなポイントがありました。
1つ目は「初診日がいつになるのか?」ということです。
初診日の違いにより後の障害年金にどのような影響があるかというと以下のような差があります。
□18歳が初診日となった場合
- 障害基礎年金(1-2級)
- 障害認定日は自覚症状もなく遡及はできない
□25歳が初診日となった場合
- 障害厚生年金(1-3級)
- 障害認定日は自覚症状もあり遡及の可能性がある
ご本人様が年金事務所へ相談された際には18歳が初診日の可能性が高いと案内を受けたといいます。
しかし、18~25歳までの間は自覚症状もなく治療もしていなかったことから25歳を初診日として申請を行うこととなりました。
なお、その際には18歳の時の受診状況等証明書だけでなく当時取得した診断書や紹介状に加えて、初診日が25歳であると考える申立書も合わせて添付しました。
そして、もう一つのポイントが遡及についてです。
25歳が初診日として認められたとしても、その後、約20年の間も就労していたということでした。
全身性エリテマトーデス(SLE)は障害の程度を見るのに労働能力も重要となる病気です。
そこで、就労といっても元気に就労出来ていたわけではなく制限があったことを病歴就労状況等申立書や添付書類によって主張を行いました。
途中、審査の遅延もありましたが約6ヶ月の審査の結果、希望通り25歳を初診とした障害厚生年金2級として遡及も含めて認定が届きました。
【ポイント1】難病の初診日特定
障害年金上『病気で初めて医師等の診察を受けた日』を初診日としています。
しかし原因不明の難病等では、確定診断を得るまでに病院を転々としているケースも多く、通院歴が複雑であることから初診日の特定が大変困難となります。
よって、最初にこれまでの病歴を整理して『初診日』を特定させることが大切となります。
【ポイント2】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
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