目次
対象者の基本データ
病名 | 陳旧性心筋梗塞 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約59万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
40歳頃、転職時に行った会社の健診にて『心筋梗塞の可能性あり』との結果を受け取ったそうです。
特に自覚症状は無かったそうですが、要検査とあったため翌日病院を受診したところ、心電図検査で心筋梗塞の所見が認められました。
精密検査のため県立病院に転医し、そこで『陳旧性心筋梗塞』と診断されたとの事です。
診断後すぐに冠動脈ステント留置術が行われ、症状が安定したことを機に退院。
職場にも戻ることが出来ましたが、動悸や息切れ、むくみ等の心不全症状があったため就労には支障があり、いつまで今の仕事を続けられるかと不安を感じてたそうです。
そんな時に友人から「ステントグラフトで障害年金が受給できる」と聞き、当事務所にご相談がありました。
申請結果
ご相談者さまは『ステントグラフト』により障害年金を申請したいとご希望でしたが、
実はステントグラフトによる障害年金は「挿入箇所」により大きく異なってきます。(ポイント①)
今回は陳旧性心筋梗塞による(冠)動脈に対するステントグラフトであったため、ご希望の内容にて申請することは困難でした。
そこで、さらに詳しくヒアリングしたところ、検査数値等から別の方法にて等級を満たす可能性が見えてきました。
検査数値によって等級が異なるため、期限切れとならないように予め計画を立て、申請に着手しました。(ポイント②)
お手続きは順調に進みましたが、取得した診断書内に既往症として『糖尿病』の記載がありました。
一般的に糖尿病と心筋梗塞は、医学的な関連性があるとされており、障害年金でも関連性が強いと判断されると『相当因果関係あり』として、先発傷病にて初めて医師の診察を受けた日が初診日とされます。(ポイント③)
糖尿病と心筋梗塞の関連性によっては、申請内容すべてを見直す必要があるため、過去の事例を元に注意深く関連性を調査し『障害年金上の相当因果関係は無い』とされていることを確認。
病歴就労状況等申立書には、現在は糖尿病の症状は無く、治療も行っていないことを申立て、過去の事例も添付することで審査上で問題を生じないように配慮しました。
既往症の記載は想定外でしたが申請は計画どおりに完了、結果は既往症が問題となることも無く、無事『障害厚生年金3級』として認定を受けることが出来ました。
【ポイント1】 ステントグラフト(人工血管)の申請
大動脈解離や大動脈瘤、心筋梗塞、狭心症などの治療として、ステントグラフトと言う人工血管を留置する手術があります。
ステントグラフト(人工血管)の申請では留置「部位」が重要になります。
障害年金では(大)動脈に人工血管を挿入している場合、一定の要件を満たすと3級に該当します。
しかし(冠)動脈に人工血管を挿入している場合は、上記に含まれず必ずしも3級に認定されるとは限りません。
【ポイント2】検査数値で等級が決まる申請
障害年金では、各種検査の『結果数値』がいくら以上だと〇級という具体で、検査結果により等級を定めているケースがあります。
検査数値で等級が決まる申請は「期限切れ」に注意が必要です。
検査数値は診断書に反映されますが、診断書には原則として『有効期限』があり、期限を過ぎてしまった場合は改めて検査を行い診断書を取り直す必要が出てきます。
その日の体調等により変化する検査数値は、必ずしも毎回同じ数値になるとは限らないため、等級を満たす検査結果が出たときは『期限切れとなる前』に申請する必要があります。
【ポイント3】相当因果関係について
障害年金を1年以上、遡って請求する場合、原則として2枚の診断書が必要となります。
2枚というのは記載された症状が、それぞれいつ分が必要なのかが異なるためです。
1枚目:障害認定日の症状
2枚目:請求時の症状
しかし現在の診断書だけで、初診日から1年6ヶ月の段階で以下に該当することが分かる場合については、例外的に1枚の診断書だけで遡及請求が出来ることになります。
- 人工関節や人工骨頭を挿入置換
- 植込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着
- 新膀胱を造設
- 人工肛門を造設
- 手足を切断または離断
- 在宅酸素療法を開始
- 喉頭を全摘出
動画で解説
大動脈解離で障害年金を受給する3つのポイントを動画でも説明していますので、是非ご覧ください。
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