目次
対象者の基本データ
病名 | 高次脳機能障害 |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約123万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
30歳の時に原因不明の高熱に腰痛、尿が出ないといった症状が出ました。
インフルエンザだと思い近くのかかりつけ医を受診したところ『腎盂腎炎』との診断を受けたそうです。
薬を処方されましたが症状は改善せず、高熱が続いたため総合病院を受診し入院。
一時的に熱が下がったため退院したところ、急激に症状が悪化し意識不明のまま救急搬送されたとの事です。
原因は『脳炎』とされ2週間ほど意識混濁の状態が続き、ようやく意識を取り戻しましたが、高次脳機能障害が残ったそうです。
退院後して自宅に戻りましたが、物の手順がわからず身のまわりの事にも支援が必要な状況で勤めていたパートを辞めました。
また家事や育児、自身の生活介助を旦那さまが担う事となり、ご主人の勤務時間も減少。
収入が減ってしまうことに不安を感じ、ケースワーカーに相談したところ当事務所を紹介され、ご主人からお問合せがありました。
申請結果
高次脳機能障害で障害年金を申請する場合、気を付けたいのが『初診日』です。
初診日は、病気で初めて医師の診察を受けた日とことを言いますが、高次脳機能障害は初診日を誤解する方が多くいらっしゃいます。
高次脳機能障害は、病気や事故などの「後遺症」により起こるものとされています。
今回のケースでは、腎盂腎炎による発熱から脳炎となり、結果的に高次脳機能障害という後遺症が残りました。
このような関係性を障害年金上『相当因果関係がある』とされ、『前の病気』にて初めて医師の診察を受けた日が初診日となります。(ポイント①)
よってお手続きは、今回の初診日である腎盂腎炎による発熱にて受診したかかりつけ医にて初診日の証明書を取得することから始めました。
次に診断書の取得ですが、このときにも注意が必要です。
高次脳機能障害は一見して障害が分かりづらいこと等により、診察時にしっかり会話していなければ生活上の支障等が詳しく伝わりません。
よって診断書の作成を依頼する際に、最も状況を把握しているご家族にヒアリングし、生活上の支障や制限・介護状況・頻度、日常で見られる症状などをまとめたメモを添付しました。
これにより、より実態が反映された診断書を取得することが可能となりました。
申請結果は『障害基礎年金2級』と認定。
無事に障害年金をお届けすることが出来ました。
【ポイント1】相当因果関係について
「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。
つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。
例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。
- 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
- 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
- 肝炎→肝硬変
- 結核の化学療法による副作用として聴力障害
- ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
- 事故または脳血管疾患→精神障害
他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。
【ポイント2】 医師への伝達(高次脳機能障害)
実態を反映した診断書を取得するには、高次脳機能障害による症状や生活での支障等を医師にしっかりと伝えることが大切です。
高次脳機能障害による失語症(考えたことが上手く伝えられない)や病識欠如(自分に障害があることを上手く理解できない)などがある場合は、ご家族が診察に同行して代わりに伝えたり、メモなどにまとめて医師に渡す等の方法がおススメです。
その他の精神の事例
精神の障害の新着事例
よく読まれる精神の障害の事例