【事例232】遅発性ジストニア|障害基礎年金2級(相当因果関係が認められた事例)

遅発性ジストニア|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 遅発性ジストニア
性別 男性
支給額 年額 約78万円
障害の状態
  • 左腕と両足に運動障害がある
  • 屋内は伝い歩き
  • 外出は車椅子を使用
  • 終日、横になって生活している
  • 身体障害者手帳2級
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

30代前半に、急に友人の言葉が自分のことを悪く言っているように感じたり、意欲の低下といった症状が現れたそうです。

家族の勧めからメンタルクリニックを受診したところ、持続性感情障害と診断を受けました。

10年ほどメンタル疾患として治療を続けましたが、高熱や痙攣といった身体症状が出始めたといいます。

検査の結果、遅発性ジストニアと診断を受けました。

全身の痛みやしびれから歩行もままならず、家族からの介助ががなければ生活が成り立たないという状況から、障害年金の請求を希望されました。

いくつかの社労士事務所に相談をされましたが、珍しい病気ということから事例がなく断られ続けて当事務所へたどり着かれました。

 

申請結果

今回のケースでは初診日がいつで認定されるかが、大きな鍵となりました。

障害年金を受け取る為には一定以上の年金の納付が要件になってきます。

当初のメンタルクリニックを受診した時点では国民年金を納めていましたが、遅発性ジストニアと診断をされた頃は症状も悪化しており国民年金が未納となっていたのです。

もし、持続性感情障害が遅発性ジストニアの間に相当因果関係(参考ポイント①)が認められれば、30代前半の受診が初診となる可能性がありましたが、これは難しいと考えました。

そこで、遅発性ジストニアの発症というアプローチにしました。

メンタルの治療の中で遅発性ジストニアの発症を証明出来る証拠を探すという事です。

その結果、通院初期の段階でジストニアによる影響とみられる身体症状がカルテに記録が残っており、これを初診の根拠として請求を試みました。

また、病歴就労状況等申立書では長期間に渡るメンタルの治療に加えて、ジストニアの症状についても、しっかりと審査担当へ伝わるように作成していきました。

その結果、無事にコチラの主張が認められ、障害基礎年金2級として認定を受けることが出来ました。

 

【ポイント1】相当因果関係について

「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。

つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。

例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。

  • 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
  • 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
  • 肝炎→肝硬変
  • 結核の化学療法による副作用として聴力障害
  • ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
  • 事故または脳血管疾患→精神障害

他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。

 

【ポイント2】 初診日の証明

障害年金は初診日主義とも言われています。

つまり、障がいがどんなに重たくても初診日の証明が出来なければ障害年金を受給することが出来ないということです。

カルテの法定保存期間が5年と定められている為、初診日の証明が出来ず悔しい思いをする方が多くおられるのも事実です。

そんな時でも証拠を積み上げて、間接的に初診日を証明出来たケースが多くありますので諦めない事が大切です!

 

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