
目次
対象者の基本データ
| 病名 | うつ病・自閉症 |
|---|---|
| 性別 | 女性 |
| 支給額 | |
| 障害の状態 | ・パート勤務をしているが、欠勤が多く、職場では孤立している ・対人関係に著しい困難 ・意欲が低下しており家事は夫任せとなっている ・入浴や着替え等の清潔保持も億劫で自主的に出来ない |
| 申請結果 | 不支給 |
当事務所スタッフによる事例紹介動画
当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。
当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。
ご相談までの経緯
ご依頼者様は「うつ病」と「自閉症」を抱え、障害年金の申請を希望されておられましたが、ねんきんネットで調べたところ、初めて病院にかかった平成21年時点では保険料に未納があり、相談員から申請できないと言われました。
平成21年以前に医療機関を受診したこともなく、「納付要件の壁」に阻まれたご依頼者様。
ネットで障害年金専門の社会保険労務士事務所を探していたところ弊社のHPに辿り着き、藁をもすがる思いでご相談いただく事となりました。
【一度目の挑戦】社会的治癒の活用
当社はまず、平成25年9月から平成29年8月までの約4年の空白期間に着目し、これを社会的治癒として主張できるのではないかと考えました。
ご依頼者様はこの期間、就労やサークル活動(山登りなど)を行っており、一定の社会生活を営んでいたことが確認できました。
しかし、診断書には上記の期間中に「お母様が亡くなって症状が悪化した」との記載がありました。
この一文により、社会的治癒の主張は認められず初診日は平成21年と認定され納付要件が満たされないとの事由で却下の判断が下されました。
ポイント
精神疾患における社会的治癒の主張は非常に繊細であり、軽快・治癒していたと主張する期間中に悪化を示唆する事情(本事例では母親の他界)があると、社会的治癒が認められにくくなる傾向があります。
【ニ度目の挑戦】別傷病としての申請
社会的治癒が否定された後、当社では「別傷病」としての再申請に方針転換しました。
- 初回(H21.9〜H22.5)は、友人とのトラブルによる不安障害(神経症)
- 二回目(H25.8〜H25.9)は、仕事上のトラブルによる別の不安障害(神経症)
- 三回目(H29.8〜現在)は、母親の死を契機としたうつ病
これらがそれぞれ異なる原因による別症状であることを、診断書や医師の意見書を通じて丁寧に説明しました。
医師には、以下の3点について意見書を依頼しました。
不安障害(不安症)は、原因となるストレス因子が取り除かれることで自然に治癒する可能性があること。
1回目・2回目の不安障害が、それぞれの要因の解消により回復している可能性があること。
3回目の不安障害は、過去のエピソードとは独立して、母親の死を契機に新たに発症した可能性があること。
医師からは、「可能性がある」といった、想定通りのコメントを得られました。
結果
申請にあたり、当社ではカルテの開示や追加資料の整備も徹底し、慎重に進めました。
しかし、結果は「却下」でした。
理由としては、1回目の不安障害(不安症)が現在のうつ病と相当因果関係があると判断され、切り離して別傷病として考えることができないとの理由で、初診日は前回と同様、平成21年とし認定されたためです。
感想と学び
今回の事例は、初診日が納付要件を満たしていなかったことが大きなハードルでした。
ご依頼者様の生活状況や診療の中断期間から「社会的治癒」や「別傷病」での再申請も検討しましたが、いずれも認定には至りませんでした。
特に精神疾患においては、疾患の名称が同じであっても、原因が異なれば別の傷病として判断される余地があります。
ただし、受診していない期間が短い場合や、因果関係が否定できない内容が診断書に含まれていると、分断が難しくなるということも痛感しました。
お問い合わせ頂いてから、2回目の「却下」通知が届くまで2年を要しました。
弊社としましても、ご依頼者様に障害年金をお届けしたいという思いから全力で取り組みましたが残念な結果となってしまいました。
審査請求も考えましたが、カルテ開示や医師の意見書等のあらゆる資料を提出して手続きをしましたので、これ以上、新たに戦う資料等も提出できる目処が立たず、ご契約者様にもご納得していただいた上で完了となりました。
この悔しさを糧にして、これからも難しい案件にチャレンジしていく決意を新たにしました。
【ポイント1】年金の納付要件
障害年金を受け取るためには初診日までの年金を一定の基準以上、納めている事が大前提となります。
これを納付要件と言います。
具体的には次の①~②のいずれかを満たしている必要があります。
①原則は加入期間の3分の2以上納めていること
初診日の前日の時点で、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間に、保険料納付期間と免除期間を合算した期間が加入期間の3分の2以上あること。
②直近1年間に滞納期間がないこと
初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間に、年金の未納がないこと。ただし、平成38年3月31日までの特例で初診日が65歳までに限られます。
なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は問われません。
【ポイント2】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件:初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件:障害年金を申請するには、初診日の前々月から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点:原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント3】社会的治癒
社会的治癒が認められると、初診日が変わります。
社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。
今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。
障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!
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