目次
対象者の基本データ
病名 | 1型糖尿病 |
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性別 | 男性 |
支給額 |
年額 約61万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金3級 |
※糖尿病での障害年金の受給金額に関しましては『1型糖尿病でもらえる障害年金の金額はいくら?』のページでも詳しくご説明していますので、ご参照下さい。
当事務所スタッフによる事例紹介動画
当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。
当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。
ご相談までの経緯
ご依頼者様は糖尿病網膜症を患い、日常生活や家事に大きな支障を抱えていました。
障害年金の申請を試みるも、必要書類の整備や年金機構からの返戻対応に不安を感じ、当社へ相談されました。
特に、障害認定日請求(遡及請求)をご希望でしたが、障害認定日頃に血清Cペプチドの検査を受けていないことが大きな課題でした。
申請結果
今回の事例では「障害認定日請求」で申請することにしました。
障害認定日請求では、障害認定日頃と現在の診断書が必要となります。
糖尿病の審査では血清Cペプチド値が重要となり遡及請求については、障害認定日以前1年以内の血清Cペプチドの検査成績が必要となります。
しかし、ご依頼者様は上記の期間に検査を受けておられず障害認定日請求を諦めることも検討しました。
ただ、上記の期間から1年ほどのズレがありますが、上記の期間の前後に血清Cペプチドの検査を受けておられ検査結果はいずれも0.3ng/mlで等級に該当する状態でした。
そこで、審査側に「障害認定日以前1年内に血清Cペプチドの検査を受けていないが、その前後の検査結果から障害認定日以前1年内も結果から血清Cペプチド値は0.3ng/ml未満であったと推測できる」ことを主張して申請しました。
結果
審査の結果、ご依頼者様の障害年金は「障害認定日請求」と「事後重症請求」の双方で3級認定となり、障害認定日の翌月まで遡って障害年金支給が決定しました。
特に、遡及が認められたことで、ご依頼者様の生活の安定に大きく貢献するものとなりました。
感想
スタッフ間での振り返りでは、「必要な期間に検査がない場合でも諦めずに提出することの重要性」が改めて確認されました。
また、今回のケースでは、次のことが学びとして挙げられます。
- 前後の検査結果の活用:認定基準を満たすデータがあれば、多少の期間の乖離があっても審査を通る可能性がある。
- 諦めない姿勢:一見困難と思われる状況でも、正しい方法でアピールすれば結果に繋がる。
- 提出段階での工夫:可能であれば、過去の検査結果を複数添付することで申請につなげる等の工夫が必要。
【ポイント1】障害認定日とは
「障害認定日」とは、原則「請求する傷病の初診日から1年半経過した日」または「1年半経過前にその傷病が治った日(症状固定した日も含まれます。)」のことを言います。
傷病が治った日、症状固定した日とは、医学的に傷病が治ったとき、または、その症状が安定・固定し、これ以上治療の効果が期待出来ない状態に至った場合のことを言います。
ただし、医師が症状固定とした場合でも障害年金では症状固定として認められないこともありますのでご注意ください。
【ポイント2】障害認定日から1年以内の請求方法
障害認定日から1年以内に障害年金を請求する方法を本来請求(障害認定日請求)と言います。
診断書は、原則『障害認定日から3ヵ月以内のもの』を用意します。
認定された場合は、障害認定日の翌月から障害年金が支給されます。
なお、障害認定日から1年以上経過してから障害認定日請求を行う場合は、下記の2枚の診断書が必要となります。
- 原則、障害認定日から「3ヵ月以内」のもの:1枚
- 請求日から「3ヵ月以前」のもの:1枚
以下の動画でも「申請方法に応じた診断書の枚数」についてご説明していますので是非ご覧ください。
【ポイント2】糖尿病による障害認定基準
糖尿病での障害認定基準は平成28年6月1日に一部改正がなされています。
必要な治療を行ってもなお、血糖コントロールが困難な症状の方は、障害等級「3級」と認定されます。
具体的には以下の全ての条件を満たす方が対象となります。
①90日以上継続してインスリン治療を行っているもの
②以下のいずれかに該当するもの
・空腹時または随時の血清Cペプチド値が0.3ng/ml未満を示す
・意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上あるもの
・インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシスまたは高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもの
③日常生活の制限が一定程度のもの
※ただし症状、検査成績、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定される可能性があります。