目次
対象者の基本データ
病名 | 左大腿軟部肉腫 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約69万円 遡及金額 約110万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金3級 |
当事務所スタッフによる事例紹介動画
当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。
当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。
ご相談までの経緯
ご依頼者様は「軟部肉腫」という、主に手や足の筋肉や神経に発症する非常に稀な悪性腫瘍を抱えておられました。
発症当初、左太ももにしびれや腫れを感じていたものの、すぐには受診せず症状が進行。
最終的に腫れが増し、医師の診断を受けた際に「軟部肉腫」と診断されました。
病院での手術、化学療法は終了し、現在は経過観察中ですが、痛みと動作の制限により発症前と同じ様に働くこともできなくなり、収入も減り経済的な不安から障害年金の申請を考えるに至りました。
当初はご家族で申請をお考えでしたが手続きが思った以上に煩雑であり、当社にご相談いただくことになりました。
申請結果
申請に際して最も重要だったのは、診断書の種類の選択です。
軟部肉腫はがんの一種であり、痛みが主な症状であることから、どの診断書がご依頼者様の障害の状態を適切に反映できるかを考えました。
がんの場合は「その他の診断書」を利用することが多いですが、本事例では下肢の基本的動作に大きな支障があるため、肢体の機能の障害での審査をしてもらうのが最も適切であると判断し「肢体の障害用の診断書」を利用して申請を進めることにしました。
結果
結果として、ご依頼者様は「3級」の障害年金に認定されました。
診断書の日常生活の動作の評価だけを見ると「2級」相当の可能性もありましたが、制限要因が関節可動域や筋力の低下ではなく主に疼痛によるものであることから、疼痛による認定の基準に準じての結果となりました。
感想
この事例では、診断書の選択が重要なポイントとなりました。
軟部肉腫という稀な病気であったため、ご依頼者様やご家族も不安を抱えていましたが、肢体の障害として申請したことで、無事に障害年金の認定を受けることができました。
本事例のように、稀な傷病での申請については、診断書の種類の選択だけでなく、診断書の記載方法についての医師への橋渡し、病歴就労状況等申立書の作成など審査を左右する要所要所で社会保険労務士のサポートが欠かせない事、そして、責任の重さを再認識いたしました。
【ポイント1】がんによる障害とは?
がんは、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々で、それによる障害も様々です。
そのため次のように症状を区分して評価されます。
①癌よって生じる局所の障害
②癌による全身の衰弱又は機能の障害
③抗がん剤などの副作用として生じる全身衰弱又は機能の障害
特に注目すべきは③の治療の過程における副作用もまた障害年金の対象となるという点です。
【ポイント2】診断書の種類
障害年金請求に使用する診断書は以下の8種類あります。
①眼の障害用
②聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用
③肢体の障害用
④精神の障害用
⑤呼吸器疾患の障害用
⑥循環器疾患の障害用
⑦腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
⑧血液・造血器・その他の障害用
受給の可能性を1%でも上げるためには、ご自身の障害状態を最も伝えることが出来る診断書を選ぶ必要があります。
症状が多岐にわたる場合は複数の診断書を使用しても構いません。
①~⑦のいずれの傷病にも当てはまらないものは、⑧その他の障害用の診断書を使用します。
その他の障害用の診断書は記載できる項目が他の診断書に比べ限られるため、限られた項目でいかに障害状態を伝えることが出来るかが大切です。