【事例1066】両突発性難聴|障害厚生年金2級(初診日の証明ができない事例)

両突発性難聴|障害厚生年金2級

対象者の基本データ

病名 両突発性難聴
性別 男性
支給額 年額 約151万円
障害の状態
  • 補聴器を装用していても会話は聞き取れず、筆談やチャットなどで意思疎通を図る必要がある
  • フルタイム就労中
  • 身体障害者手帳4級
申請結果 障害厚生年金2級

当事務所スタッフによる事例紹介動画

当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。

当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。

ご相談までの経緯

ご依頼者様は、20年以上前に会社の健康診断で聴力に異常が見つかりました。

その後、すぐに医療機関を受診されましたが治療方法がないことから、数回の受診だけで定期的な通院はしていませんでした。

しかし、状態は徐々に悪化し、毎年会社の健康診断で異常を指摘され続けていました。

難聴が進行したため、補聴器の使用を考え、医療機関を受診した際に身体障害者手帳を取得され、その後も通院は途絶えていました。

更に症状が進行し、再び医療機関を受診した際に、手帳の等級改定を勧められ、手続きのために市役所を訪れたところ、障害年金制度を知り、当社にご相談をいただきました。

申請のポイント

今回の申請の大きなポイントは「初診日」の証明でした。

ご相談者様の場合、健康診断で異常を指摘されたことを契機に医療機関を初めて受診されていましたが、初めて医療機関を受診した日は今から20年程前で当該医療機関では既にカルテが破棄されており、初診日の証明書類を取得することは出来ませんでした。

また、その次に受診された医療機関でもカルテが破棄されており、これまで受診されたいずれの医療機関においても当初の20年程前の初診日を証明することの出来る客観的書類を取得することは出来ませんでした。

障害年金上、初診日は原則として初めて医療機関を受診した日であり、健康診断日は原則として初診日にはなりません。

ただし、初めて治療目的で医療機関を受診した日の証明を取得することが出来ない場合で、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、健康診断日を初診日とするよう申立てがあれば健診日を初診日として認定される可能性があります。

そこで、毎年の健康診断の記録を確認し、異常が初めて指摘された記録を基に、初診日の申立てを行うことにしました。
具体的に初診日を特定することは出来ませんでしたが、初めて異常を指摘された健康診断日以降、取得可能な限り最も受診歴の古い医療機関の初診日までの間の期間に初診日があることまでは特定することが出来ました。
特定出来た一定期間において、ご相談者様は厚生年金に継続加入しており、一定期間のいずれの日においても保険料納付要件を満たしていることから、主張が認められる可能性は高いと考え、申請を行いました。

結果

結果として、主張通り、健康診断日を初診日として認定され、障害年金の2級が無事に認定されました。

具体的に初診日の証明が出来ない場合でも、客観的資料より一定期間内に初診日があることが確認でき、保険料の納付要件を満たしていることで認定されました。

感想

医療機関にて初診日の証明が難しいケースでも、健康診断の記録や職場での状況を活用することで、無事に障害年金を取得することができました。

ご依頼者様自身で申請されていた場合、初診日の証明が難しいと諦めてしまうことがあったかもしれませんが、当社のサポートにより、認定に導くことができました。

このような通知通達を利用し、他の方々の申請もサポートしていけるよう、情報を共有していきたいと思います。

【ポイント1】初診日の証明が出来ない場合

障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。

初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。

この受診状況等証明書は必ずカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。

そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。

この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。

ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。

申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。

客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。

  • 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
  • 身体障害者手帳等の申請時の診断書
  • 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
  • 事業所等の健康診断の記録
  • 母子健康手帳
  • 健康保険の給付記録
  • お薬手帳、領収書、診察券
  • 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
  • 第三者証明

など

受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。

なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

【ポイント2】医証が取得できない場合の健診日の取扱いについて

初診日は原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日であり、健康診断を受けた日は初診日として認定されることはありません。

ただし、初めて治療目的で医療機関を受診した日の証明を取得することが出来ない場合で、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、健診日を初診日とするよう申立てがあれば健診日を初診日として認定される可能性があります。

【ポイント3】聴力の測定時の注意点

障害年金に必要となる聴覚障がいの測定は「補助器具や装置を使わない状態で測定する」とされています。

もし補聴器などの補助器具を使用している場合は必ず外して測定を行ってください。

その他の聴覚の障害の事例

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