うつ病で障害年金を申請される場合の注意点などは『【社労士が解説】うつ病で障害年金を申請するポイント』でも詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
---|---|
性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約146万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
職業訓練校を卒業した頃から自分自身の見た目の違和感、劣等感、性別異和を感じることがあったが、日常生活には何ら支障なく過ごしていました。
やがて結婚して子どもも生まれました。
配偶者の仕事のことで家庭生活にトラブルが生じるようになり、何度も話し合いをするも夫婦仲は悪化。
さらにはモラルハラスメントを受けるようになり、それに伴ってうつ状態、自殺未遂を起こすようになりました。
ついに離婚に至り、ますますうつ状態が悪化。
これまで抱えてきた性別異和についても診てもらうため病院を受診することを決意します。
病院では、うつ病と性別異和の診断を受け、治療を開始。
職場にもトランスジェンダーであることを伝えるもセクハラやパワハラを受けるようになり、不眠や抑うつ状態が増悪しました。
ドクターストップがかかり休職となりました。
その後、復職後も周囲と意思疎通を図ることが難しく、自傷行為や自殺未遂を繰り返すようになり、退職となりました。
新しいパートナーと一緒に生活を始め、日常生活の介助を受けてなんとか最低限の生活は保たれていました。
しかし、疲れやすく気分の落ち込みが激しく、1日の大半を臥床して過ごしています。
通院以外に外出もせず、身の回りのことも自発的には行えません。
とても就労ができる状態にないことから、障害年金のことを知り、申請が可能かどうかを弊社にお問い合わせいただくこととなりました。
申請結果
通院歴や現在の症状についてヒアリングをしたところ、初診の病院と現在通院中の病院は別の病院でした。
そのため「受診状況等証明書」という初診の証明書が必要となります。
性別異和についても触れられていましたが、職場でのストレスなどからうつ病を発病した経緯についても記載がありました。
診断書の依頼の際にも受診状況等証明書の控えを添付して先生にご確認いただきました。
日常生活においてどのようなことに支障があり、障害によってどの程度、日常生活が困難となっているのかを参考資料にまとめ、医療機関へ橋渡ししました。(ポイント①)
幼少期からの性別異和などについても触れられていましたが、現在はうつ病での治療を継続していることが分かる内容となっていました。
希死念慮が継続していることや自傷行為が認められることについても明記されており、支障が大きい様子が伝わる内容でした。
全ての医証を確認し、病歴就労状況等申立書を整え、社内最終チェックを経て提出しました。(ポイント②)
結果、無事、障害厚生年金2級(事後重症請求)として認められました。
【ポイント1】診断書(精神の障害用)
精神疾患での障害年金を申請する際は、病状だけでなく、日常生活及び就労の状況もポイントとなります。
診察時に日常生活及び就労状況をうまく伝えられていない場合は、実際の状況と不釣合いな診断書となってしまう可能性があります。
診断書作成前に医師から詳しく状況を聞かれることもありますが、ヒアリングがない場合などは自ら伝えることが大事です。
伝え方は様々ですが、限られた診察時間では全てを伝えることが困難、医師を目の前にするとうまく伝えられないなどの場合はメモなどに記載してお渡しするのがよいでしょう。
以下の動画でも、精神の障害用の診断書に関する説明をしておりますので、宜しければご覧ください。
【ポイント2】申請書類のチェック
受診状況等証明書や診断書を始めとする障害年金の申請に必要となる全ての書類はその都度、記載漏れや記載間違いがないか確認して手続きを進めていくことが大切です。
特に医師に記載していただく書類は忙しい中、診察時間外に時間を割いて作成をして頂く必要がありますので、早めにチェックをして、再確認が必要な事項がある場合は早めに連絡を取るようにしましょう。
申請を済ませた後に記載漏れや記載ミスが発覚しても、後から訂正や追記をすることは出来ません。
当事務所ではお一人のご相談者様の申請書類について、複数名でのチェック、また特段検討が必要な場合はチーム全体で議論を交わすなど、チーム全員でのサポート体制を取っています。
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