
精神障害者保健福祉手帳(以下「障害者手帳」)2級をお持ちの方が受け取れるお金について解説します。
結論から言うと、障害者手帳を持っているだけで自動的にお金が支給される制度はありません。
しかし、障害者手帳2級を取得することで申請できる障害年金や各種手当によって、経済的な支援を受けられる可能性があります。
2025年度の情報に基づき、専門家の立場から優しくご説明します。(※精神障害者保健手帳に関しましては『精神障害者保健福祉手帳とは?わかりやすく解説します』のページで詳しくご説明していますので、ご参照ください。)
障害年金で受け取れる金額(2025年度)
精神障害者保健福祉手帳の等級と障害年金の等級は、認定基準が異なるため一致するとは限りません。
手帳2級であっても障害年金2級に該当しない場合があり、逆に手帳がなくても障害年金が認定される場合もあります。
障害年金は公的年金制度に基づく給付で、初診日(障害の原因となった病気の初診日)が国民年金加入中(または20歳前など特例期間)であり、保険料納付要件を満たす場合に申請できます。
障害者手帳2級の方でも、初診日・保険料納付要件等を満たし、障害等級(障害基礎年金は1級又は2級、障害厚生年金は1級~3級)に該当すると認められれば、障害年金を請求できます。
実際に障害年金2級が認定されれば、2025年度時点で年額約83万1700円(月額約6万9308円)が支給されます。
これは障害基礎年金2級の金額で、年金は原則として年6回、偶数月の15日(15日が土日祝の場合は直前の平日)に、前月・前々月の2か月分が支払われます。
障害年金には1級と2級があり、1級は2級の1.25倍の金額です(1級は日常生活の全てに常時介護が必要な重度の状態)。
2025年度は物価変動等により前年度から1.9%増額されており、障害基礎年金2級は年額831,700円、1級は年額1,039,625円となっています。
下表に障害基礎年金の金額と支給例をまとめます。
| 等級 | 年金額(2025年度) | 月額換算(目安) |
|---|---|---|
| 障害基礎年金2級 | 831,700円 + 子の加算 | 約69,308円 |
| 障害基礎年金1級 | 1,039,625円 + 子の加算 | 約86,635円 |
| 子の加算 | 18歳到達年度末までの子1人につき年額239,300円 (3人目以降は年額79,800円) | (1人につき月額 19,942円) |
※年金額は生年月日(昭和31年4月1日以前/以後)により異なる場合があります。
※子の加算は「生計を維持している子」がいる場合に加算され、子とは「18歳になった後の最初の3月31日まで」または「20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子」をいいます。
上記のように、障害年金2級では月約6万9千円(年約83万円)を受け取れます。
たとえば子どもがいる場合は、18歳までは1人あたり月約1万9942円が加算されます。
一方、障害者手帳2級の方でも障害の程度がさらに重く日常生活に全面的な介助が必要な場合は、障害年金で1級相当と認められれば月約8万6635円(年約103万9625円)を受給できます。
障害年金の等級は障害者手帳の等級と必ずしも連動するわけではありませんが、おおむね対応する目安となっています。
なお、初診日が厚生年金加入中(会社員など)の場合は障害厚生年金も受給できます。
障害厚生年金2級の場合は上記の障害基礎年金2級額(831,700円)に加え、加入期間中の給料に応じた報酬比例の年金額が上乗せされます。
そのため現役で厚生年金に加入していた方は、障害基礎年金のみの場合より多くの年金を受け取れることになります(厚生年金の報酬比例部分は加入状況によって人それぞれです)。
一方、厚生年金の3級相当の障害状態(障害者手帳では3級程度)に該当する場合は報酬比例部分のみの支給となり、最低保証額は年額623,800円です。
精神の障害で厚生年金3級に認定されるケースは比較的軽度な場合ですが、いずれにせよ障害年金は原則非課税所得であり、受給者の負担にならないよう配慮されています(障害年金を受け取っても所得税・住民税はかかりません)。
また、所得等が一定以下で、障害基礎年金を受けている場合は「年金生活者支援給付金(障害年金生活者支援給付金)」が上乗せで支給されることがあります(要申請)。
障害等級2級の場合、2025年度は月額5,450円が障害年金に上乗せ支給されます(1級の場合は月6,813円)。
この給付金を受け取るには別途申請が必要ですが、障害年金と同時に年金機構から支給されるため、障害年金2級の方で収入が低い方はぜひ活用したい制度です。
障害年金以外でもらえる手当・給付
障害者手帳2級を持っていることで受けられる公的手当もあります。
代表的なものとして、重度障害者向けの「特別障害者手当」や、20歳未満の障害児向け手当などがあります。
これらは障害年金とは別に自治体(市区町村)に申請して受給する福祉手当で、所得制限や支給条件があります。
- 特別障害者手当(国の制度):精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活で常時特別な介護が必要な20歳以上の方に支給されます。障害者手帳2級の方でも、たとえば常に介助が必要な状態であれば該当する可能性があります。2025年度の特別障害者手当の額は月額29,590円です。支給は年4回(3ヶ月分ずつ)行われます。所得が一定額を超えると受給できず、また施設入所者や長期入院者は対象外となる場合があります。
- 障害児福祉手当(国の制度):在宅で生活する20歳未満の重度障害児(常時介護が必要な場合)に支給される手当です。2025年度の金額は月額16,100円です(こちらも年4回まとめて支給)。障害者手帳の有無にかかわらず重度の障害状態であれば対象となり、精神障害のあるお子さんの場合も支給要件を満たせば受け取れます。こちらも所得制限があります。
- 特別児童扶養手当(国の制度):20歳未満で中程度以上の障害のある子を養育している保護者に支給される手当です。障害の程度に応じて1級と2級があり、精神障害者手帳2級程度の障害がある子の場合は2級相当となります。2025年度の支給額は1級が月56,800円、2級が月37,830円です。特別児童扶養手当は、原則として年3回(4月・8月・12月)に、前月までの分がまとめて支払われます。所得制限がありますが、重度の障害児を育てる家庭の生活を支える重要な手当です。
上記のほか、障害者手帳を持つ方には自治体独自の手当が用意されている場合があります。
これは地域によって名称や金額、対象条件が異なりますが、比較的障害の軽い方や他の年金・手当を受けていない障害者に対してわずかな給付を行う自治体もあります。
例えば以下のような例があります。
| 自治体名 | 手当の名称 | 支給額の例 |
|---|---|---|
| さいたま市 | 心身障害者福祉手当 | 月額2,500円 |
| 富山市 | 心身障害者・児福祉金 | 年2回 合計18,000円 |
| 姫路市 | 障害者福祉金 | 年額23,000円 |
| 西脇市 | 精神障害者福祉年金 | 年額18,000円 |
ご覧のように、自治体独自の手当は月数千円程度から年数万円程度と決して高額ではありませんが、地域によっては経済的支援の一助となります。
お住まいの自治体でこうした制度があるかは、市区町村の福祉担当窓口で確認してみるとよいでしょう。
所得制限や在住期間要件が設けられている場合もありますが、条件を満たせば申請する価値があります。
なお、上記の特別障害者手当や障害児手当と障害年金は重複受給が可能です。
例えば障害年金2級を受給しながら、さらに介護が常時必要な状態であれば特別障害者手当(月29,590円)を併せて受け取ることもできます。
特別児童扶養手当は、対象児童が障害を支給事由とする公的年金を受けられる場合などは支給されません。
一方、障害児福祉手当は年金ではないため、要件を満たせば特別児童扶養手当と併給できるとされています(所得制限や入所等の条件は各制度で別途あります)。
制度ごとに支給要件が細かく定められていますので、申請の際には確認しましょう。
さらに、国民年金の障害基礎年金を受け取れなかった方向けに「特別障害給付金制度」というものも存在します。
これは過去に国民年金に任意加入できた学生や主婦だった期間に未加入で、現在障害基礎年金1級・2級相当の障害状態になっている方が対象です。
該当すれば障害基礎年金2級相当で月額45,480円(2025年度)が支給されます。
これは主に高齢の方など、年金制度の経過措置的な救済給付ですが、障害者手帳2級程度の障害があり年金をもらっていない場合に該当するケースがあります。
お心当たりのある方は年金事務所や市区町村で相談してみてください。
税金や費用の減免などその他の支援
障害者手帳2級を取得すると、お金を「もらえる」制度だけでなく税金の控除や各種料金の減免といった経済的優遇も受けられます。
障害者控除
代表的なものが障害者控除です。
障害者手帳2級の所持者は所得税法上「障害者」に該当し、ご本人や扶養家族として所得控除を受けることができます。
障害者控除の控除額は、所得税は27万円(特別障害者は40万円)で、住民税は原則として26万円(特別障害者は30万円)とされています。
例えば収入がある方ですと、所得から控除されることで税負担が減り手取りが増える効果があります。
NHK受信料の免除
税金以外にも、障害者手帳があると公共料金等の割引を受けられることがあります。
NHK受信料の免除には「全額免除」と「半額免除」があり、要件が異なります。
たとえば全額免除は住民税非課税世帯等の条件があり、半額免除は世帯主・契約者であることに加え、手帳の等級など所定の条件があります。
詳細はNHKの免除基準で確認してください。
公共交通機関の割引
公共交通機関の割引は事業者ごとに条件が異なりますが、JRグループでは精神障害者保健福祉手帳も運賃割引の対象となっています(適用には手帳の記載等の条件があります)。
また、ANA・JALなど航空各社でも、精神障害者保健福祉手帳を含む障がい者割引運賃が案内されています。最新の条件は各社の案内をご確認ください。
これらの減免措置は「お金をもらう」わけではありませんが、支出を減らすことで結果的に生活にゆとりを与えてくれる支援策です。
医療費の公的補助
もう一つ重要なのが医療費の公的補助です。
精神障害がある方は、手帳の有無に関係なく自立支援医療(精神通院医療)の制度を利用できます。
これは通院による精神科の医療費(診察代や薬代)の自己負担が原則1割になり、収入に応じた月額上限が設定される制度です。
例えば外来精神医療費が高額になりがちな方でも、この制度を使えば医療費負担を大幅に軽減できます。
精神障害者手帳を取得していると手続きも円滑になる場合がありますので、まだ利用していない方は自治体の窓口で相談してみましょう。
まとめ

精神障害者手帳2級そのものに金銭給付はありませんが、手帳を持つことで申請できる障害年金や各種手当によって毎月一定の収入を得ることが可能です。
特に障害年金2級に該当すれば、2025年度時点で年約83万円(月約6万9千円)の年金を受け取れます。
加えて、重度の場合は特別障害者手当(月約3万円)などの福祉手当を併せて受給できる可能性があります。
自治体による小規模な手当や、税金の障害者控除・医療費助成など金銭面の支援策は多岐にわたります。
大切なのは、これらの制度は申請しなければ受けられないという点です。
障害者手帳2級を取得されたら、お住まいの地域の窓口や専門の社会保険労務士に相談し、該当する年金・手当・減免措置をもれなく活用しましょう。
経済的な支援を受けることで、安心して治療や生活に専念できる環境づくりにつながります。
困ったときは一人で抱え込まず、遠慮なく専門家に相談してみてください。
読者の皆さまの不安や疑問が少しでも解消し、適切な支援を受けられる一助になれば幸いです。
※各制度は「手帳の等級」だけで自動決定されるものではなく、所得・年齢・就労状況・医療状況・世帯状況などで対象が変わります。最新の要件は自治体・日本年金機構・各事業者の公式案内で必ず確認してください。
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