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障害年金の申請は「診断書」で9割が決まる!?
「障害年金の診断書作成ってどうやってやるんだろう。。」
「診断書が大切とは聞くけど、どれくらい重要なの?」
障害年金の申請に迷う中で、一度はこんな風に考えたことはないでしょうか?
実は、多くの方が同じような悩みを持ち、診断書作成に苦労しているんですよね。
でも意外とその答えを知らない方は多いです。
障害年金は、診断書の内容を見て受給できるかどうかの判断が下されます。
たとえどんなに日常生活が苦しくても、それが適切に診断書へ反映できていないと、現状に見合った障害年金は受け取れません。
また、診断書についてよく理解せず申請を進めてしまった場合、後から内容の齟齬に気付き、一から作り直しになったというケースもあります。
そんなことにならないためにも、申請する前に診断書についてよく理解しておくことが大切です。
そこで今回は障害年金における診断書の重要性や、診断書を準備する際のポイントや注意点を徹底解説していきたい思います。
本記事をお読みいただければ、
- 診断書作成では何が重要なのか
- また実際にどうすればいいのか
が明確になり、自信を持って申請に取り組めるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。
診断書の重要性(障害年金の認定の仕組み)
障害年金は、日本年金機構からの依頼を受けた”認定医”と呼ばれるドクターが審査し、等級を決定することになっています。
ちなみに認定医が誰なのか、どのような基準で決められているのかは公表されていません。
認定医は基本的に、「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」の両方の記載内容を元に審査を行うとされています。
ここで注目すべきポイントが「記載内容を元に」という部分です。
すなわち障害年金は「書類審査」だけで等級判定がされます。
介護認定のように認定医が実際に見に来たり、申請者と面接をしたり、といったことは一切ありません。
ご自身やそのご家族が記載する「病歴・就労状況等申立書」は、どうしても主観的な内容になりがちです。
そのため、専門家でもある医師が客観的な視点から作成した「診断書」のほうが信憑性が高いものとして扱われます。
また、診断書に事実とは異なった記載があればその一点のみで、不支給になることもあります。
したがって障害年金の書類審査でもっとも重要視されるのは「診断書」ということがおわかり頂けたと思います。
「重要なのはわかったけど、お医者さん書くなら私は関係ない」と思われた方、ご注意ください。
診断書を書く医師は病気を治療するプロであり、障害年金のプロではありません。
なかには、障害年金用の診断書を書き慣れていない医師の方も多くいらっしゃいます。
障害年金の診断書を見たことがあるという方はご存じかと思いますが、項目が内容がすごく細くなっています。
自立支援医療や障害者手帳の診断書に比べても断然、障害年金の方が細かくなっています。
例えば、
- 「学生時代は普通学級だったか、特別支援学級だったか」
- 「複数の病院に通院していた場合、どこにどれくらいどんな治療をしていたのか」
- 「これまでの職歴」
など、非常に細かい項目が多くて、これまでの通院の中で伝えていなかった項目もたくさんあると思います。
実際に、きちんと伝えたつもりが診断書に正確に反映されていなかったというケースもたくさんあります。
そのためにも、「診断書の内容はどういうものなのか」また「どのように医師に症状を伝えればいいのか」を知っておくことが非常に大切になってきます。
診断書の種類・受け取り場所
ここからは、障害年金申請で利用する診断書の種類について紹介します。
障害年金診断書の種類は主にこの通りです。
- ➀様式第120号の1 眼の障害用
- ➁様式第120号の2 聴覚、鼻腔機能、平衡機能、そしゃく・嚥下機能、音声又は言語機能の障害用
- ➂様式第120号の3 肢体の障害用
- ➃様式第120号の4 精神の障害用
- ➄様式第120号の5 呼吸器疾患の障害用
- ➅様式第120号の6-(1) 循環器疾患の障害用
- ➆様式第120号の6-(2) 腎疾患・肝疾患、糖尿病の障害用
- ➇様式第120号の7 血液・造血器、その他の障害用
これらの診断書様式のうち、いずれか一種類を使用します。
しかし、複数の障害がある場合は、診断書も複数枚必要になります。
たとえば脳出血による右半身麻酔と高次脳機能障害が併存するような場合には、「肢体の障害用」と「精神の障害用」の2つの診断書を準備する必要があります。
ただし、複数枚提出しても、必ず併合認定されるとは限らないということは頭にいれておきましょう。
診断書は年金事務所や街角の年金相談センターの窓口で受け取れるほか、日本年金機構のホームページからダウンロードすることも可能です。
年金事務所等へ障害年金の相談に行った際に「どのような症状に困っているのか」を相談すると、症状に合わせた様式の診断書を選んで渡してくれます。
ほとんどの方が障害年金の申請は初めてだと思います。
そして申請に対して手探りで不安な方も多いと思うので、ダウンロードよりも、お近くの年金事務所などで実際に相談しながら診断書を受け取ることをおすすめします。
請求方法別の診断書の枚数
次に請求方法別の診断書について解説します。
診断書の提出枚数や提出期限は、障害年金の請求方法によって異なります。
請求方法には
- 1.本来請求
- 2.遡及請求
- 3.事後重症請求
- 4.初めて1級または2級
この4種類があります。
実際は本来請求と遡及請求をまとめて認定日請求と言いますが、分かりやすさのために別々の呼び名が用いられています。
それぞれの必要な診断書について確認していきましょう。
1.本来請求
本来請求とは障害認定日から1年以内に請求する方法です。
障害認定日とは原則として初診日から1年6カ月を過ぎた日のことを指します。
必要な診断書は障害認定日から3ヶ月以内の症状を記載したもの1枚です。
また、診断書の有効期限は障害認定日から1年未満となっています。
このように3月15日が障害認定日の場合、6月14日までの症状を診断書に記載してもらう必要があります。
翌年の3月14日までが診断書の有効期限です。
診断書の有効期限は、診断書の作成日から1年未満ではなく、障害認定日から1年未満であることに注意しましょう。
2.遡及請求
遡及請求とは簡単に言うと過去にさかのぼって請求する方法です。
障害認定日の当時の症状が障害等級に該当していたにもかかわらず、障害認定日から1年以内に請求ができなかった場合に利用します。
必要な診断書は原則2枚です。
1枚目は障害認定日から3ヶ月以内の診断書。
そしてもう1枚は現在の診断書です。
遡及請求の請求期限というのは現在の診断書の中に記載されている現症日から3ヶ月以内となります。
3.事後重症請求
事後重症請求とは障害認定日の時点では障害の重さが等級に該当しなかったけれど65歳になるまでに障害が悪化した場合にする請求方法です。
また遡及請求をしたかったけれども認定日の診断書を取れなかったケースなどもこの請求方法となります。
ここで必要な診断書は現在の診断書1枚です。
こちらも遡及請求同様に診断書の現症日に記載された日付から3ヶ月が請求期限となりますのでご注意ください。
4.初めて1級または2級
最後が初めて1級または2級による請求です。
これはもともと障害等級1級または2級に該当しない程度の障害があった、その上でその後に新しい傷病が発生した、そして前からの傷病と新しい傷病を合わせると1級または2級に該当するよっていう時に行う請求です。
この場合は現在の症状のわかる診断書が必要となります。
また提出期限は現症日から3ヶ月以内です。
指定期間の診断書が入手できない場合
それぞれの請求ごとに、必要な診断書の枚数やその期限について解説しました。
しかし、②遡及請求を行いたいのに障害認定日当時の診断書が入手できない場合はどうすればいいのでしょうか?
例えば、当時のカルテが廃棄されていたとか、医療機関を受けていなかったといった場合です。
障害認定日当時の診断書が入手できない場合は、障害認定日の状態を他の客観的な資料により証明していくことで、障害年金を受給できる可能性があります。
遡及請求をするために診断書が必要なのは、診断書がなければ障害認定日当時の障害状態が分からず、審査が出来ないことが理由です。
逆説的に考えると、障害認定日当時の障害状態さえ明確に証明できたら診断書が無くても遡及に請求を認めてもらえる可能性があるということです。
指定の診断書が入手できない場合の対応方法としては
こんな方法が考えられます。
- 障害認定日の前と後の診断書を提出する
- 補完資料を提出する
- 病気の特徴を考慮して請求する
- 請求方法を事後重症に変更する
それぞれ解説します。
1.障害認定日の前と後の診断書を提出する
障害認定日の診断書が取得出来なかったとしても、その前後の診断書が取得出来れば、「この間にある障害認定日の症状もこれだけ悪かったんです!」と主張できます。
そしてこの前後の診断書が、本来の指定期間に近ければ近いほど、その間の症状も推測しやすいことから、本来の診断書と同様に認めてもらえる可能性があります。
ただし、却下される可能性ももちろんあります。
2.補完資料を提出する
ここでいう、補完資料というのは、ケースバイケースになります。
例えば、
- 指定期間内に作成された障害者手帳の診断書•生命保険や介護認定等の診断書
- 指定期間に前後に見てもらった医師によるカルテに基づかない意見書
などが考えられます。
あくまでも本来の時期の診断書がなければ請求が却下されることも充分考えられるので、できる限りの指定期間内の様子がわかる資料を集めていくことが大切です。
3.障害の特性を考慮して請求する
病気によっては、障害の程度がずっと一定だったり、または悪くなる一方で改善は見込まれないような特性を持った障害があります。
この特徴を使うことで、障害認定日の症状を推測して遡及請求が出来る可能性があります。
例えば、知的障害のケースでは障害認定日当時に病院を受けていないこともよくあります。
そんな時、知的障害は基本的に障害の程度が一定という特徴を使って、「今がこうだから、障害認定日当時もこのくらいの障害があったはず!」と申請して認められたケースがあります。
これはうつ病などのように、良くなったり悪くなったりという波のある病気では難しいです。
4.請求方法を事後重症に変更する
この場合は過去にさかのぼる「遡及部分」が受け取れないため、受け取れる年金っていうのは大きく減少してしまいます。
なので、まずは方法の123を検討したうえで、どうしても資料が見つけられなかったり、どうしても無理だとわかった場合に、請求方法を変更して事後重症による請求を行いましょう。
診断書の作成費用・完成までの期間
次に診断書を作成するにあたってかかる費用と、完成までの期間について紹介します。
診断書を作成の費用は病院によって異なりますが、だいたい1枚5,000円~10,000円かかります。
しかし、過去には、2,000円台で済むこともあれば、「40,000円台」だったという方もいらっしゃいました。
あくまで相場が5,000円~10,000円と覚えておいてもらえればと思います。
診断書はA3サイズで、ほとんどの診断書は表裏の両面を記載する必要があるため、お願いをしてもすぐに受け取れるわけではありません。
病院によってことなりますが、およそ1か月くらいかかることを念頭においておきましょう。
心配な方はあらかじめ、どれくらいの期間がかかりそうか聞いておくと安心です。
診断書作成時のポイント
診断書作成時のポイントとして、診断書を見るだけで、
- 現在の症状
- 障害認定日の様子
- 現在までの経過
等がしっかり伝わるようにする必要があります。
そのため、医師に正確に現状を伝える必要があります。
日常生活で一体どのような支障があるのかを、メモを作るなどして先生に伝えましょう。
また特に精神の障害用診断書においては、「日常生活能力の判定」という日常生活の状況を細かく記載する欄があります。
それぞれの項目ごとの現状を細かくメモしておきましょう。
診断書受け取り時の注意点
お医者さんから診断書を受け取ったら、必ず中身を確認してください。
受け取った診断書には封がしてあることもあって開けてもいいか不安になる方もいらっしゃいますが、封を切って中身を確認しても問題ありません。
また、診断書を確認するポイントは4つあります。
- 1.記入漏れ・誤りはないか
- 2.現状と診断書の内容に隔(へだたり)たりはないか
- 3.検査結果などの添付漏れはないか
- 4.ICDコードがしっかり記載されているか(精神の障害のみ)
ここで内容をチェックせずに誤ったまま提出してしまうと、差し戻しになったり、後々不支給につながったりするケースもあります。
そのため、念入りに確認しましょう。
もし、記入漏れや誤りがあった場合は、そのままにせずに必ず追記や訂正をお願いしてみてください。
ただし、絶対忘れては行けないのは、障害の評価については医師が評価する部分です。
つまり、こちらサイドの思いに沿って自由に記載してもらえる場所では無いということです。
例えば、精神の障害であれば裏面の日常生活能力の判定や程度です。
中には、「障害年金を受けるために実際よりも重たい評価にしてほしい」と言われる方もおられるようです。
お気持ちはわかりますが、これは絶対にやってはいけません。
しっかりと、情報を伝えた上で、最終的な障害状態の評価は先生に任せます。
あまりにも自己評価とかけ離れている場合は、「私はこう思うんだだけど、先生の意見を教えてください」といった形でお互いの認識を会話してみるのが良いと思います。
最後に診断書だけでなく障害年金の請求書類というのは、必ずコピーをとったりクラウド保管しておきましょう。
障害年金の手続き上でいえば、不支給の際にその内容を元に、今後の方針を考えることが出来ます。
- 不服申立ての可能性があるのか?
- もう一度、最初から申請をすれば可能性があるのか?
- どうやっても今の状態では障害年金は難しいのか?
といったかんじです。
他にも更新の際には役に立ったりと、障害年金の書類というのは請求者の病気の情報が詰まってるので、病院を転院するときとか、あとは障害福祉のサービスを受ける時などにも役に立ったりします。
まとめ
本記事では「障害年金における診断書の重要性や、診断書を準備する際のポイントや注意点」を解説しました。
- そもそも障害年金における診断書ってなに?
- 診断書って障害年金でどれくらい重要なの?
- 診断書をお医者さんに依頼する方法わからない…
本記事を通して、少しでも障害年金に関する理解を深めていただけれたら嬉しいです。
「私は障害年金もらえるの?」「障害年金の申請は何から始めたらいいの?」とお悩みの方はお気軽にご相談下さい。