障害年金と障害者手帳は同じ制度ですか？

障害年金に関してよくある「障害年金と障害者手帳は同じ制度ですか？」というご質問にお答えします。

障害年金と障害者手帳は同じ制度ですか？

いいえ、障害年金と障害者手帳は全く異なる制度です。

名称が似ているため混同されがちですが、それぞれ根拠となる法律、制度の目的、手続きを行う窓口、得られるメリットなどが異なります。

障害年金は社会保険制度の一部で「国⺠年金法」「厚生年金保険法」に基づいて日本年金機構が行っています。

目的は「障害により日常生活に支障がある方を対象として所得を保障する」ことです。

障害者手帳は、「障害がある方が社会生活をしやすいようにするための支援が目的」であり、税金軽減や公共交通機関の割引などの「サービス」を提供します。

障害者手帳を所持しているか否か、またその等級が、障害年金の受給資格や等級に直接影響することはありません。

障害年金と障害者手帳の対象となる障害の種類や範囲に違いはありますか？

障害年金と障害者手帳では、対象となる障害の範囲が異なります。

例えば、障害年金では強迫性障害などの神経症や薬物の後遺症は原則として対象外ですが、障害者手帳では対象となる場合があります。

このため、障害者手帳の方が対象範囲が広いと言えます。

障害年金と障害者手帳の手続きはどこで行うのですか？

障害年金の手続きは、日本年金機構が管轄しており、年金事務所や街角の年金相談センターで行います。

一方、障害者手帳の手続きは、居住地の市区町村の福祉課が窓口となります。

障害年金は全国どこの年金事務所でも手続き可能ですが、障害者手帳は住民票のある自治体で行う必要があります。

障害年金と障害者手帳では、得られるメリットは何が違いますか？

障害年金は、障害により日常生活に支障がある方を対象とした所得保障制度であり、2ヶ月に1度、偶数月の15日に年金が振り込まれます。

一方、障害者手帳は、障害がある方が社会生活を送りやすくするための支援が目的であり、税金の軽減、公共交通機関の割引、各種サービスの利用などのメリットを受けることができます。

障害年金が直接的な金銭給付であるのに対し、障害者手帳は間接的な経済的支援や生活支援が中心となります。

障害年金と障害者手帳の等級は連動していますか？

いいえ、障害年金と障害者手帳の等級は必ずしも一致しません。

それぞれの制度で等級の基準が異なり、例えば人工関節の設置や人工透析を受けている場合でも、障害年金と障害者手帳では等級の判断が異なることがあります。

そのため、障害者手帳の等級が低いからといって、障害年金の受給を諦める必要はありません。

精神障害の場合、障害年金と障害者手帳の間で特別な連携はありますか？

はい、精神障害を理由に障害年金を受給している場合に限り、例外的に障害年金の等級を証明することで、同じ等級の精神障害者保健福祉手帳を取得することができます。

この制度を利用することで、手帳の申請や更新時に通常必要となる診断書の費用（5,000円〜10,000円程度）を節約できるというメリットがあります。

ただし、これは精神障害に限られ、身体障害や知的障害には適用されません。

また、年金から手帳への適用は可能ですが、手帳を持っているからといって同じ等級の年金がもらえるわけではありません。

まとめ

障害年金と障害者手帳は、名称は似ていても全く異なる目的と仕組みを持つ別々の制度です。

それぞれの違いを理解し、両方のメリットをうまく活用することが重要です。

日本では、本来障害年金を受給できるはずなのに、制度を正しく理解していないために受け取れていない方が多くいらっしゃいます。

ご自身が受給対象となるか知りたい方、あるいは申請を検討されている方は、専門家への相談を検討してみることをお勧めします。

本記事の内容は以下の動画でもご紹介していますので、ご覧ください。