【事例497】うつ病|障害厚生年金3級(社会的治癒が認められた事例)

うつ病の障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 鬱病(うつびょう)
性別 男性
支給額 年額 約59万円
障害の状態
  • 現在休職中で復帰時期も見通しが立っていない
  • 食事、整容等の自己管理も出来ない状態となっている
  • 他者との交流もなく無気力な状態
  • 精神障害者保健福祉手帳なし
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

15年程前、仕事上のトラブルでストレスがたまり、食欲不振、気力低下等の憂うつ気分が出現し、Aメンタルクリニックへ受診をされました。

治療により、症状軽快したため、受診を中断し、その後は自覚症状もなく日常生活、就労ともに支障のない期間が約5年程継続していました。

しかし、業務体制が変わったことにより強いストレスを感じて、憂うつ気分が再燃し、希死念慮まで生じるほど症状が悪化し、Bメンタルクリニックへ受診されるようになりました。

Bメンタルクリニックへ通院治療を開始しましたが、改善は乏しく、気分の落ち込み、意欲低下の継続により、通院する気力さえもなく、次第に受診も不定期な状況となり、自宅で療養する時期が長く続いていました。

仕事は退職し、長期休養を取ることで徐々に落ち着きを取り戻し、再び仕事を開始されましたが、すぐに症状増悪し、再びAメンタルクリニックへ転院し、通院をされるようになりました。

仕事を継続することが困難なため、環境を変えれば気分も変わるのではないかと思い立ち、転居し、新しい環境で仕事を始められましたが、間もなく倦怠感を始め、体の不調を自覚するようになり、Cメンタルクリニックで現在も通院治療をされています。

うつ病の症状により、休職を繰り返し、長く継続して働くことが出来ず、将来への不安を抱えていました。

障害年金制度は知っていましたが、集中力がなく、自分で窓口に出向いたり、書類を作成することが辛く、Youtubeをご覧になり、当事務所にご相談を頂きました。

 

申請結果

状況をヒアリングさせていただいた上で受給の可能性があることをご案内し、サポートさせていただくこととなりました。

ご相談者様の受診歴はA病院→B病院→A病院→C病院という流れですので、通常だとA病院で初診日の証明を取得することとなります。

しかし、ご相談者様の場合は、A病院からB病院の間、またB病院から再びA病院へ受診するまでの間で受診していない期間がそれぞれ5年程ありました。

①A病院からB病院までの期間:約5年
②B病院から再びA病院へ受診するまでの期間:約5年

受診していない期間はなぜ受診していなかったかの理由によって、初診日の取り扱いに違いがあります。

ご相談者様の場合は、①の期間は症状が改善し、自覚症状もなく、日常生活や就労にも支障なく過ごせていたため受診しておらず、②の期間は症状はあったものの、状態が悪すぎる故に受診出来ていなかったようです。

そのため、①の期間は社会的治癒期間に該当する可能性があると考えられました。(ポイント①)

従いまして、今回の請求ではB病院を初診として請求する為、まずB病院にて初診日の証明となる受診状況等証明書を取得しました。

初診日の証明を取得後、C病院に記載いただく診断書にも受診状況等証明書の内容を間違いないよう反映していただけるように、参考資料を橋渡しさせて頂き、社会的治癒を申し立てるための書類を整える事が出来ました。

申請の結果、申し立てた通り①の期間は社会的治癒期間として認められ、B病院を初診として障害厚生年金3級の受給が決定しました。

 

【ポイント1】社会的治癒

社会的治癒が認められると、初診日が変わります。

社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。

今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。

障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!

 

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