目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約178万円 遡及金額 約605万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は平成27年に人事異動で職場が変わりました。
新しい職場で上司や同僚の方との人間関係がうまく構築できず、仕事中に手の震えや冷汗が出るなどの症状が現れるようになりました。
やがて不眠や疲労感、倦怠感も出てきて仕事だけでなく日常生活にも支障が出てきたため心療内科を受診されました。
受診の結果、うつ病と診断され、医師の勧めで初診の日から長期休職となります。
その後も復職、休職を繰り返すこととなり、自傷行為を起こすこともあったそうです。そして、仕事を続けることに限界を感じ令和1年に退職となります。
退職後は引きこもりの状態で、奥様の支援・介助がなければ日常生活も成り立たない状況が続いています。
仕事も出来る状態ではなく、経済的にも不安をお持ちでした。
受診の際に相談員の方に障害年金の制度を教えて頂き、奥様ともご相談されて申請することになります。
まず、必要な書類等を取り寄せましたが、手続きが思った以上に煩雑で、とてもご自身では手続きができないと思い、社会保険労務士へ依頼することを決断されました。
そして、ネットで当事務所のホームページをご覧になりご相談頂く事になりました。
申請結果
ご相談者様は、面談や電話対応が難しくメールでのやりとりのみで手続きを進めていきました。
今迄の経緯から、障害認定日頃も仕事ができず長期休職をされており、日常生活も奥様の介助・支援が成り立たない状況だったことが分かりました。
そこで、遡及も視野に入れて申請することにしました。(請求方法につきましては、ポイント①をご参照ください。)
本来は、「受診状況等証明書」(初診の証明)の依頼から始めますが、ご相談者様は、初診から現在まで同じ病院に通院されていますので、「受診状況等証明書」は不要です。(受診状況等証明書につきましては、ポイント②をご参照ください。)
まず、現在受診されている病院に、障害認定日頃及び現在の「診断書」を依頼することから始めました。
予めご相談者様からヒアリングしていた障害認定日頃及び現在の日常生活の状況をまとめた資料を作成し、診断書に添付して主治医の先生にお渡ししました。
「診断書」は2通記載してもらうため完成までには時間を要しましたが、障害認定日の頃そして現在のどちらの「診断書」もご相談者様の状況が正確に反映されていました。
ただ、どちらの診断書にも障害の状態として「乱用(アルコール)」にチェックがされていたことが気になりました。
この点を主治医の先生にお尋ねしたところ、「うつ病の発症後にアルコールを乱用するようになったものであり、アルコール乱用がうつ病発症の原因ではない。」という回答を頂くことができ審査には影響しないと判断しました。
なお、「診断書」では一時点の情報しか記載されないため、発症から現在までの全体の流れについては「病歴・就労状況等申立書」に詳細に記載することで補いました。
書類が全て整い、自信を持って申請することができました。
結果は、『障害厚生年金2級』に認定され、遡及も認められました。
【ポイント1】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
【ポイント2】初診病院と現病院が同じ場合の医証
障害年金では医師に記載して貰う書類(医証)は下記のとおり複数枚あることが基本です。
①うつ病で初めて受診した病院で記載してもらう『受診状況等証明書』が1枚
②現在の病院で書いてもらう『診断書』が1枚
一方、初診から現在まで同じ病院で、今後の障害年金のみを請求する場合は、①が不要となり、②の1枚でOKです。
(※)認定日請求といって過去にさかのぼって申請を行うときはさらにもう1枚必要となることがあります。
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