目次
対象者の基本データ
病名 | 慢性疲労症候群・筋痛性脳脊髄炎(CFS/ME) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
3年程前より、全身倦怠感・疲労感・めまい・脱力感等の症状が出現するようになり、A病院へ通院を始めました。
A病院より様々な病院へ紹介を受け、検査を受けましたがいずれの病院でも原因不明と診断され、治療を継続するも症状に改善は見られず、次第に悪化し、就労も困難となり退職となりました。
A病院から紹介を受けたB病院で慢性疲労症候群の疑いを示唆された事がありました。
治療を継続しても、症状に改善が見られなかった事や、主治医から病状への理解が得られず、さじを投げられるような状況だった為、次第に通院することが出来なくなりました。
一向に改善しない状況に病状の理解と治療を受けて少しでも改善し、現状を変えたいという思いで、自宅からは距離があったものの慢性疲労症候群の専門医であるC病院へ自ら予約を入れ受診されました。
これまでの経過、症状から「慢性疲労症候群」と確定診断を受け、ようやく治療が始まりました。
治療により、疼痛はやや軽減しましたが、現在も全身倦怠感、疲労感は改善せず、日中の70%以上は就床し、自力での外出はほぼできない状態が続いていました。
患者会等より、障害年金のことを知り、申請をしたいと考えていましたが、どのように手続きを進めればいいのか分からず、社労士にお願いするのが一番いいとアドバイスを受け、HPをご覧になり、メールより当事務所へご相談いただきました。
申請結果
今回のご相談者様の場合、A病院の初診日時点から確定診断を受けるまで約2年かかりました。
慢性疲労症候群をはじめとする難病の場合、診察可能な医療機関が限られていることもあり、発病から確定診断までに何年もかかり、障害年金における初診日の認定に難航するケースが多くあります。
今回の請求では、まず原則どおりの初診日が認定されることを想定し、体調が悪くなり最初に受診したA病院で初診日の証明となる受診状況等証明書を取得しました。
完成した証明書の内容からは慢性疲労症候群の主症状を認めていることが分かりましたが、専門医でないということもあり、経過の中で確定診断や疑いには至っておらず、傷病名は「不詳」とされ、治療経過として「様々な医療機関へ紹介したものの、いずれも原因不明で治療継続するも改善が乏しい」旨の記載があり、作成いただいた証明書だけでは、慢性疲労症候群の初診病院であるという確たるものではありませんでした。
当時のカルテに基づき作成していただいた受診状況等証明書では慢性疲労症候群の治療歴はなかったものの、確定診断をされている今、当時のカルテから慢性疲労症候群の可能性がなかったかどうかについて、当時の主治医の先生よりご意見をお伺いし、意見書として追加で書類を作成していただきました。
次にA病院へ通院中の経過の中でB病院にて慢性疲労症候群の疑いを受けていたことがあったため、A病院で初診日が認められなかった場合の予備的請求として、B病院でも受診状況等証明書を取得しました。
初診日の証明が整ったため、C病院にて診断書を作成していただくとともに、症状や通院歴の経過等からみて想定される慢性疲労症候群の発病及び初診日について、確定診断をされた主治医の先生からもご意見をお伺いし、意見書として書類を作成していただきました。
A病院及びB病院における受診状況等証明書、A病院及びC病院における意見書の内容から、初診日に関する申立て書類を作成し、A病院における本来の初診日を主位的請求とし、B病院の初診日を予備的請求として申請を行いました。
結果、審査では予備的請求が採用される形で初診日は認められ、障害基礎年金2級として認定されました。
【ポイント1】難病での特殊な初診日の考え方
線維筋痛症や慢性疲労症候群といった難病の場合は、確定診断までに、病院を転々としたり、長く時間が掛かるケースがあります。
本来の初診日の考え方は、体調が悪くなり最初に医療機関を受診した日が初診日とされています。
しかし難病の場合は、確定診断日を初診日とする傾向が増えてきています。
ただし発病から現在の症状や医師の意見、各病院での検査結果などにより、原則どおり体調が悪くなり最初に医療機関を受診した日が初診日と認定されることもあります。
そのため、治療内容や経過を良く精査し因果関係の有無を考えながら、申請の方針を定めていく必要があります。
【ポイント2】 慢性疲労症候群のPS値
慢性疲労症候群の疲労・倦怠の程度は、厚生労働省が発表したPS値で分類します。
『PS値』と『疲労・倦怠の程度』は以下のとおりです。
PS0:倦怠感がなく平常の生活ができ、制限を受けることなく行動できる。
PS1:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 倦怠感を感ずるときがしばしばある。
PS2:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 全身倦怠の為、しばしば休息が必要である。
PS3:全身倦怠の為、月に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。
PS4:全身倦怠の為、週に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。
PS5:通常の社会生活や労働は困難である。軽作業は可能であるが、 週のうち数日は自宅にて休息が必要である。
PS6:調子のよい日は軽作業は可能であるが、 週のうち50%以上は自宅にて休息している。
PS7:身の回りのことはでき、介助も不要ではあるが、 通常の社会生活や軽作業は不可能である。
PS8:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、 日中の50%以上は就床している。
PS9:身の回りのことはできず、常に介助がいり、 終日就床を必要としている。
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