【事例237】大腿骨骨頭壊死症|障害共済年金3級(自家骨移植で受給が認められた事例)

大腿骨骨頭壊死症|障害共済年金3級

対象者の基本データ

病名 大腿骨骨頭壊死症
性別 男性
支給額 年額 約58万円
障害の状態
  • 痛みや筋力低下等により長時間の歩行は不可
  • 外出時などは杖を使用
  • 術後これまでの仕事を続けることが出来なくなったため現在は自営
  • 身体障がい者手帳なし
申請結果 障害共済年金3級

 

ご相談までの経緯

22歳頃、大学のサークル中に柔軟したところ股関節に痛みが出ました。

医務室で診てもらったがとくに異常ないとの事でだったので、病院へは受診せずにいました。

卒業後に幼稚園教諭として働き始めたところ、再び股関節に痛みが出現したそうです。

痛みは増していき、次第に杖の使用を余儀なくされるほど症状が悪化したため病院を受診。

検査の結果『左大腿骨骨頭壊死症』と診断され、大学病院の紹介を受けました。

しばらくは温存療法となり、痛み止めを服用して生活していたそうです。

しかし30歳頃になると、椅子に座ることにも困難なほど疼痛が増悪したことから『自家骨移植術』を行うことになりました。

手術のため休職し術後は復職の予定でしたが、思うようにリハビリが進まず退職せざるを得なくなりました。

その後は負担が少ないように自宅でIT関連の仕事をしていますが、収入が減ってしまったことから不安を感じていたところ、

障害年金の存在を知り当事務所にご相談がありました。

 

申請結果

自家骨移植の場合、人工関節・人工骨頭のように等級が決まっている訳ではありません。(ポイント①)

そのため等級該当の可能性があるか、事前に『障害の程度』を確認することにしました。

ヒアリングでは、筋力低下により杖を使用している事や生活・就労上の支障などから3級相当と考えられ障害年金を受給できる可能性が高いことから、申請することになりました。

今回の申請で最も課題となると思われたのが『症状固定』です。(ポイント②)

障害認定基準における3級は、以下の2つに分かれます。

①症状固定に関係なく3級
②症状固定してない場合は3級、症状固定した場合は障害手当金(一時金)

ご相談者さまの障害程度は3級相当と考えられましたが、上記②に該当する状態であったことから『症状固定をしている場合』は年金ではなく、一時金になってしまいます。

そこで診断書の作成を依頼する際、リハビリを継続中である旨を明記して貰う等により、『症状固定はしていないこと』を主張。

また労働能力も審査に影響するため、筋力低下や疼痛などによる就労への支障を病歴就労状況等申立書に詳しく記載することにしました。

その後、申請から約1ヶ月のスピードで『障害厚生年金3級』と認定されました。

 

【ポイント1】自家骨と人工関節・人工骨頭の違い

人工関節や人工関節は原則として『3級』と定められています。

一方、自家骨は可動域制限や筋力低下、日常動作による支障などの『障害の程度』によって等級が異なります。

必ず等級に該当する訳ではありませんので、ご注意ください。

 

【ポイント2】症状固定とは

症状固定とは、簡単に言うと「症状が治った」という意味です。

症状が固定して、これ以上の治療効果が期待できない場合も症状固定に含まれます。

また医師が症状固定を確定した場合であっても、障害年金では認められないこともありますのでご注意ください。

 

【ポイント3】就労と障害年金

就労(就労移行支援等も含む)している場合は仕事上で問題があっても、労働能力ありと評価されて不支給となってしまうことがあります。

そこで就労に制限がある際は「就労時の状況などを詳しく伝える」ことが大切となります。

周囲からの支援や免除されている業務がある場合は、診断書や病歴就労状況等申立書にしっかりと反映しましょう。

 

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