目次
対象者の基本データ
病名 | 脳幹出血 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約168万円 遡及金額 約154万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
当事務所スタッフによる事例紹介動画
当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。
当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。
ご相談までの経緯
ご依頼者様は2年前に脳幹出血を発症し、その後肢体に後遺症が残ることになりました。
初診日は発症した日であり、治療とリハビリに専念する日々が続きました。
発症から6ヶ月後には障害者手帳1級を取得するほどの重篤な状態でした。
その後、リハビリ治療を継続することで緩徐に症状改善はありましたが、現在も左半身麻痺が残存している状態で車椅子で生活を送られています。
仕事に復職出来る状態になく、不安な中、障害年金制度を知り、当事務所にご相談に来られました。
申請のポイント
障害年金では、原則、初診日から1年6ヵ月経過した日が障害認定日とされていますが、脳出血等の脳血管疾患で肢体後遺症が残った場合、初診日から6ヶ月以降で原則の障害認定日到来前に症状固定していれば、症状固定した日を障害認定日とする特例があります。
しかし、今回のご依頼者様のケースの場合、症状が緩やかに改善傾向にあり、初診日から1年6ヵ月経過日前までに症状固定が認められていなかった為、この障害認定日の特例を適用することなく、原則通りの初診日から1年6ヵ月経過した日を障害認定日として請求を進める事となりました。
障害認定日による請求では、通常、障害認定日から3ヵ月以内の診断書を取得する必要がありますが、当該有効期間内にリハビリや計測を行っておらず、診断書を取得することができない状況でした。
そのため、原則で有効期限とされている期間に最も近い日付で診断書作成可能な時点であった「障害認定日から約4ヶ月後の診断書」を取得し、障害認定日請求(本来請求)を進めることとしました。
当該診断書のみでは原則有効とされる診断書とは異なる期間のものであり、これだけでは障害認定日請求が認められない可能性もある為、初診日から6ヵ月後に身体障がい者手帳取得時に作成されている診断書を取り寄せ、補足資料として提出しました。
結果
無事に障害認定日の翌月分から2級の認定を受けることができました。
障害認定日時点の診断書が提出出来なくても、障害認定日頃におけるご依頼者様の障害の状態を審査側に推認してもらうことが出来るよう、障害の特性を理解し、障害認定日前後の障害状態のわかる書類を提出したことが決め手となったと考えられます。
感想
今回のケースでは、初診日から1年6ヶ月経過後の障害認定日の診断書が取得できなかったため、身体障害者手帳取得時の診断書も活用することで、無事に認定を受けることができました。
当社のスタッフも、手帳の診断書が役立つ場合があると再認識し、今後のアドバイスに活かしていく必要があると感じました。障害年金の手続きは同じ傷病であっても症状経過や病歴等も異なるため個別性が高く、状況に応じた柔軟な対応が求められることを再確認しました。
【ポイント1】障害認定日の特例
次の日が、初診日から1年6ヵ月を経過する前にある時は、その日が障害認定日となります。
- 咽頭全摘出・・・摘出した日
- 人工関節、人工骨頭挿入置換・・・挿入置換した日
- 切断、離断・・・切断、離断した日
- 脳血管障害による機能障害・・・初診日から6ヵ月経過後の症状固定した日
- 在宅酸素療法・・・在宅酸素療法開始の日(常時使用の場合)
- 人工弁、ペースメーカー、ICD・・・装着した日
- 心臓移植、人工心臓、補助人工心臓・・・移植日または装着日
- CRT,CRT-D・・・装着日
- 人工血管(ステントグラフトも含む)・・・挿入置換した日
- 人工透析療法・・。透析開始日から3ヵ月経過した日
- 人工肛門造設、尿路変更術・・・造設日または手術日から起算して6ヵ月を経過した日
- 新膀胱造設・・・造設日
- 遷延性植物状態・・・植物状態に至った日から起算して3カ月経過した日以後
【ポイント2】障害認定日から1年以内の請求方法
障害認定日から1年以内に障害年金を請求する方法を本来請求(障害認定日請求)と言います。
診断書は、原則『障害認定日から3ヵ月以内のもの』を用意します。
認定された場合は、障害認定日の翌月から障害年金が支給されます。
なお、障害認定日から1年以上経過してから障害認定日請求を行う場合は、下記の2枚の診断書が必要となります。
- 原則、障害認定日から「3ヵ月以内」のもの:1枚
- 請求日から「3ヵ月以前」のもの:1枚
以下の動画でも「申請方法に応じた診断書の枚数」についてご説明していますので是非ご覧ください。
【ポイント3】障害認定日の診断書が取得できない場合
障害認定日による請求を行う場合、原則、初診日から1年6月経過した日(障害認定日)時点の診断書が求められます。
しかし、これはあくまでも原則論である為、障害認定日時点の障害の程度を判断するための合理的資料が得られる場合には、障害認定日時点の診断書が取得出来なくても認定される余地があります。
障害認定日頃の診断書が取得できないからといってすぐに諦めることなく、傷病の性質や病態、考えられる症状の経過等により障害の程度を推認できないか検討する方法も有効となり得ます。
ただし、全ての傷病で診断書が取得出来なくても認められるというものではありませんので、ご注意ください。