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対象者の基本データ
病名 | 急性大動脈解離 stanfordA |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約151万円 遡及金額 約90万円 |
障害の状態 | ・呼吸困難、息切れ、胸痛、浮腫等の症状がある ・屋外での散歩も行えない ・就労はできない状態 ・家庭内の家事等の軽労作程度でも呼吸困難がある |
申請結果 | 障害厚生年金2級 |
当事務所スタッフによる事例紹介動画
当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。
当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。
ご相談までの経緯
突然の胸痛、背部痛に見舞われ、A病院に救急搬送されました。
急性大動脈解離Stanford Aと診断され、同日に人工血管の手術を受けられました。
術後、感染性心内膜炎、心不全も併発し、呼吸困難や息切れ、胸痛等の症状が継続しており、不安定な状態が続いているため、入退院を繰り返し、発病以降は仕事も出来ず、日常生活にも制限を受けていました。
入院中に障害年金制度を知り、付き合いのある社会保険労務士に相談をされましたが、初診日から1年6ヵ月経過しないと申請出来ないと言われたため、ネット検索で当事務所にご相談をいただきました。
申請のポイント
障害年金はどんなに症状が重たくても、原則、初診日から1年6ヶ月を経過していなければ障害年金の申請そのもの自体は出来ません。
しかし、今回のご依頼者様のように急性大動脈解離に対して人工血管挿入の手術を受けた場合には、特例として、初診日から1年6ヵ月経過していなくともその手術日以降より申請を行う事ができます。
私共にご依頼者様よりご相談を頂いたのは、初診日から約5ヵ月経過した日頃のことでしたが、治療歴より当該障害認定日の特例のケースに該当するため、すぐにでもお手続きを進めていく事となりました。
また、大動脈疾患に対し人工血管挿入手術を行い、日常生活や仕事に軽度の支障・制限がある場合は基本的には障害年金上「3級」として認定されます。
しかし、ご依頼者様の場合は、人工血管挿入術後の感染症や付随する心不全などの合併症も併発しており、これらの症状が日常生活や仕事に大きな影響を及ぼしていました。
診断書にはこれらの合併症が併発していることについても記載していただき、その程度を示す所見や検査結果も添付し、申請を行いました。
結果として、ご依頼者様の障害年金は「2級」で認定されました。
これは人工血管挿入術を受けたという事実だけでなく、心不全などの他の合併症の程度も踏まえて総合的に評価された結果です。
ご依頼者様も3級での認定と考えられていたため、一番良い形での認定が得られ、とても喜んでいただくことが出来ました。
感想
障害年金は原則、初診日から1年6ヵ月経過しなければ申請を行う事ができませんが、申請傷病や治療歴によっては1年6ヵ月待たなくても申請出来る特例に該当するケースもあります。
ひと月でも早く申請を行うことで障害年金が一定の収入源となり、治療継続や就労復帰に対してじっくりと向き合っていただく精神的な安定に繋がる1つの要素になるかと思います。
急性大動脈解離で人工血管挿入手術を受けた方の場合、一般的には3級に認定されることが多いですが、合併症などのその他の病状次第では上位等級に該当する可能性があり、固定概念にとらわれないサポートの大切さを感じました。
【ポイント1】障害認定日の特例(心臓)
障害年金を請求できるようになるのは、原則として初診日から1年6ヶ月を経った日です。この基準日を障害認定日といいます。
しかし、以下の心臓の手術を行った場合、『初診日から1年6ヶ月』と手術日を比べて、どちらか早い方が障害認定日となります。
この障害認定日が初診日から1年6ヶ月以前になることを障害認定日の特例といいます。
- ペースメーカーを装着した日
- 人工弁を装着した日
- 人工血管(ステントグラフト含む)を装着した日
- ICD(植込み型除細動器)を装着した日
- CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓同期医療機器)を装着した日
【ポイント2】人工血管は原則3級
大動脈に人工血管を挿入しても、なお軽度の障害が残る場合は原則「3級」に該当します。
ただし、「3級」というのは初診日に厚生年金や共済年金に加入していなければもらうことができませんので注意が必要です。
※なお、大動脈疾患に関連した合併症の程度や手術の後遺症によっては、更に上位等級に認定されるケースもあります。